トヨタが「追いつけない」と主張している件

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最近、トヨタに関するニュース見出しと、それに対する巧妙な反応が目についています。その見出しとは「トヨタ社長、カリフォルニア州のゼロ・エミッション規制を「困難」と主張。」というものです。

これに対して、友人のニキル・チャウダリー氏は、「トヨタにとって難しいことだ」と反応しました。見出しの訂正の仕方が巧妙で、しかも肝心なところを見事に強調しています。米国カリフォルニア州のゼロ・エミッション規制は、すべての自動車メーカーにとって難しいことというわけではなく、いくつかの自動車メーカーにとって難しいことなのです。

つまり、「トヨタにとって難しい」のは、トヨタが電気自動車への移行でトップクラスの遅れをとっているからです。

カリフォルニア州は、それ自体が世界最大の経済圏であり、世界最大の自動車市場の1つでもあることから、2035年までに州内で販売する自動車の100%を電気自動車とすることを約束する法案を最近可決しました。

この約束について、トヨタの豊田章男社長は先週、記者団に対し、「現実的に言って、(達成は)かなり難しいようだ」と述べています。もちろん、2035年の話です。13年も先の話です。

世界最大の自動車市場である中国では、8月の新車販売台数の22%が完全な電気自動車(BEV:バッテリー・エレクトリック・ヴィークル)でした。(プラグインを含めると30%)これは2035年8月ではなく、2022年8月の話なのです。中国は、そのEV政策の大部分をカリフォルニア州をモデルとしています。(数年前、この件で中国政府の最高顧問だったカリフォルニアの大学の中国系アメリカ人教授に話を聞いたことがあります。)

同じ2022年8月、欧州の新車販売の13%が完全な電気自動車でした。(プラグインを含めると21%)英国では新車販売の17%が完全な電気自動車(プラグインを含めると22%)になっています。ノルウェーは、新車販売の77.7%が完全な電気自動車です(プラグインを含めるとなんと89.1%)。

世界的に見ると2022年8月において、新車販売台数の11%が完全な電気自動車販売であり、プラグインを含めると15%です。

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Credit:TOYOTA

もし豊田章男社長が、2035年までにカリフォルニア州でトヨタが完全な電気自動車に移行できないと本当に考えているなら、「彼の負け」でしょう。しかし、彼が本当にそう考えているかどうかは別として、最近の彼の発言は、トヨタがこのトレンドについていけないことを示しているように思われます。トヨタは自社がEVの普及に失敗しているので、世界のトップ自動車メーカーとして業界全体を停滞させたいのでしょう。

2022年第3四半期に米国で販売された完全電気自動車は、20万台を超えました。その中で、トヨタの電気自動車は何台売れたのでしょうか?

ゼロです。そう、ゼロです。

私は、四半期ごとの米国自動車産業販売レポートにも取り組んでいます。トヨタの米国自動車販売は、2022年第3四半期は2021年第3四半期に比べて2万6,419台(5%)減少しています。パンデミック前の2019年第3四半期と比較すると、トヨタの販売台数は9万4,885台(17%)減少しています。同じ時期に、完全電気自動車のテスラは3万2000台(32%)、8万2367台(169%)販売を伸ばした。

トヨタは2021年に米国で販売台数トップになり、1931年以来初めてGMを退けました(他社が1位になったのは初めてで、もちろんトヨタは2021年以前に米国で1位になったことはありません)。

豊田社長は、「私は実際にオフィスで小さな「ハッピーダンス」を踊りました。ありがたいことに、誰にも見られませんでした!」といっていました。

豊田社長は最近のGMを打ち負かしたことを祝っているかもしれませんが、トヨタがこれまでの頑固なEVの抵抗の道に固執するつもりなら、トヨタのパーティータイムは長くは続かないかもしれません。(注目すべきは、一方のGMが2035年までに完全な電気自動車に移行する計画を立てていることです)

トヨタはまだ確かに十分な影響力を持っています。トヨタは、Build Back Better法案を阻止し、2022年インフレ抑制法によって利用可能になったEV税額控除の一部を水増しする重要な存在であったと伝えられています。しかし、EVの進歩に抗う姿勢は、長い目で見れば決して良い結果をもたらさないでしょう。

当然ながら、豊田章男氏のこうした発言は、まったく驚くには値しないものです。トヨタは長年、EVの普及を遅らせたいと声高に主張し、誤解を招く「セルフ充電式電気自動車」(ハイブリッド車の事をこう呼んでいる)を売り出す一方で、真の電気自動車の購入を思いとどまらせてきました。同社は、あるいは少なくともその指導者は、バッテリー電気自動車の未来を信じていないのでしょう。業界の多くが方向転換し、バッテリー電気自動車の未来を真剣に追求し始めていた頃、トヨタは、非実用的で非効率的、そして明るい未来が見えない典型である水素燃料電池車、トヨタ・ミライを大々的に宣伝し、発表していました。(トヨタは9月に米国でミライを7台、今年最初の9カ月間で全体で1,437台を販売した)。

トヨタが巨大な自動車メーカーであることは間違いありません。実際、米国だけでなく、2021年には世界で最も販売台数の多い自動車メーカーとなっているのです。トヨタには影響力があり、パニックに陥るほど急速に顧客を失っているわけでもありません。世界的に進行中のEV移行に大きく遅れをとっているにもかかわらず、です。

豊田章男社長は、2030年や2035年、あるいは2040年までに電気自動車を100%販売するという話は空想に過ぎず、実現することはないと自分に言い聞かせているのです。その話は10年前から続いており、トヨタの現在の状況を見てみると、そうなっています。しかし、現状を見ると電動化へのトレンドが明確に見えます。電気自動車のメリットは明らかであり、いくつかの自動車メーカーが2030年または2035年までに完全な電気自動車にするという決断は、公然のものとなっているのです。

過去10年間は、足を引っ張っていても大丈夫で、EV開発の遅れから生じた自動車会社の倒産はありません。しかし、これからの10年はどうでしょう。今後10年、EV業界で遅れをとっても、成長できるのでしょうか?10年後、EVの後塵を拝して生き残ることができるのでしょうか?豊田社長は、この移行をゆっくり進め、今後数年間は化石燃料自動車に依存することに賭けるのが得策だと確信しているようなのです。

しかし一方で、トヨタが何もしていないわけではありません。同社は最近、米国の電気自動車用バッテリー工場への投資計画を13億ドルから38億ドルに増額しました。さらに、同社は2030年までに完全な電気自動車を年間350万台販売する計画ですし、それは大変なことでしょう。

ただ、カリフォルニア州が2035年に掲げる100%要件には程遠い目標で、加えて、中国やヨーロッパで見ている割合よりもかろうじて多い程度なのです。

がんばれ、トヨタ。

この記事はこのサイトを引用・翻訳・編集して作成しています。

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