テスラのバッテリーサプライヤーであるCATL社(Contemporary Amperex Technology Limited)の曾宇群会長は、先週北京で開催された世界新エネルギー自動車会議において、同社の新しいM3Pバッテリーについて説明しました。CATLは、M3Pバッテリーのエネルギー密度を10%~20%向上させると見込んでいます。
この新型M3Pバッテリーによって、CATLのセルは電気自動車の航続距離をおよそ700kmまで伸ばすことができるとされています。M3Pバッテリーは新材料で作られ、CATLは、ニッケルやコバルトベースのバッテリーよりもコストが下がるとも述べています。
CATLは、LGエナジーソリューションやBYDといったライバル企業に対するリードを広げることを目指しており、この新型M3Pバッテリーセルは、CATLが目標を達成するのに役立つかもしれません。
ギガ上海製テスラにM3P搭載?
先月初め、テスラ・ギガ上海工場がCATLのM3Pバッテリーを搭載した新モデルの3およびモデルYのバリエーションを発売するという噂が中国国内で飛び交いました。現在、ギガ上海の車両はCATLのリン酸リチウムバッテリー(LFPバッテリー)を使用しています。
この記事を書いている時点で、テスラ中国のウェブサイトには、中国小型車テストサイクル(CLTC)規格に基づくモデル3の航続距離は、556km〜675kmであることが記載されています。CLTCの推定値は、通常、欧州のWLTPやmNEDCの数値よりも大きい数値になります。ちなみに、モデルYの航続距離は、CLTCによると545km~660kmとなっています。
中国国内のバッテリーのサプライチェーン改善
北京で開催された2022年世界新エネルギー自動車会議の代表者は、このイベント中に製造工場からの排出ガスと原材料のコスト上昇に関する懸念を持ち出しました。
ブルームバーグによると、会議のなかでこの幹部は中国政府に対し、現地の製造工程に関して国際的な排出基準に従うよう促しました。CATLの曾宇群会長は、中国は製造業者の排出ガスに関して他国に遅れをとっているとも指摘しました。
この会議に出席した代表者たちは、中国政府がエネルギー消費量の少ない製品にもっと投資し、企業が生産設備をアップグレードして排出量を改善するよう促すことを提案しました。また、最新の炭素排出量データベースを構築することも同時に提案されました。
またこれに加えて、原材料費の高騰についても言及され、「私たちは皆、結果として鉱山労働者のために働いている状態なのです。」と上海汽車集団有限公司の陳宏董事長は述べています。
世界中の自動車メーカーが、原材料や物流コストの上昇を理由に製品価格を引き上げているのが現状で、EVトップメーカーであるテスラもこの影響を受けているうちの一つです。
今回の2022年世界新エネルギー自動車会議に出席した幹部たちは、自動車メーカーに影響を与える一部の原材料コストに対抗するため、中国がバッテリーのリサイクル事業をさらに発展させることを示唆しました。
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