自動車輸送の革命に、イーロン・マスクCEOがロボタクシーのお披露目を予告

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これまで、謎に包まれていた「ロボタクシー」(無人自動運転の自動車)のお披露目を今年2024年の8月8日に実施することをイーロン・マスクCEOがXにポストしました。

次世代プラットフォーム

この「ロボタクシー」と廉価版テスラいわゆる「モデル2」は、昨年の3月に実施された投資家向けイベント「インベスター・デイ」で少し触れられました。ただ、そこで触れられたのは、次世代プラットフォームというより、新しいマスタープランPart3に関することが大半を占め、事実上次世代プラットフォームの新しい情報はあまりありませんでした。

このインベスター・デイ2023のイベントでは、自動車製造に関する以下のような方針が語られ、これらが概ね次世代プラットフォームと呼ばれる次のテスラ車の基盤となる技術になります。

  • テスラは、次世代車のコントローラーを100%自社生産することを計画
  • テスラは48Vバッテリーアーキテクチャーへの変更を計画
  • 次世代テスラ車は、イーサネットに接続されたローカルコントローラを使用
  • テスラは、並列組立工程(アンボックス・プロセス)に移行

共通のプラットフォーム

この次世代プラットフォームは、おそらく今回披露されるロボタクシーと廉価版テスラ「モデル2」の両方に共通して利用されると考えられています。下のスライドは、インベスターデイ2023で披露されたもので、形状的なことと製造台数を考えると、300万台の廉価版テスラと700万台のロボタクシーを表しているとされています。

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インベスターデイ2023で示唆された次世代の2車種
Credit:Tesla

つまり、超大型アルミ一体鋳造ギガキャスティングで自動車製造の革命を起こし、次に既にサイバートラックで実用化している48Vアーキテクチャやステアバイワイヤシステムの次に、この次世代プラットフォームが来るのです。自動車製造技術において過去1世紀で最大の変化とも言われる「アンボックス」プロセスで、自動車製造の現場から製造ラインを廃止し、スペースを40%削減できるとされています。

この新しいアプローチで、まずはギガテキサスで製造を立ち上げ、現在建設に向けて取り組みが始まっているギガメキシコや、既に拡張工事に入っているギガ上海、更にはドイツのギガベルリンまで、次世代プラットフォームを使った車両、ロボタクシーと廉価版テスラが製造される予定です。

ロボタクシーはハンドル・ペダルなし

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Credit:Tesla

このロボタクシーと廉価版テスラに関する情報が最も明らかにされたのが、以下のイーロン・マスクの評伝でのやり取りです。そこでは、以下のような会話がイーロン・マスクCEOとチーフデザイナーであるフランツ・ホルツハウゼン氏との間でなされています。

イーロン・マスク
「私たちの主な焦点は生産台数なのです。現在は十分な台数を作ることはできません。いつの日か、年間2,000万台を達成したいのです。主な課題は、政府の安全基準を満たし、特殊な状況に対応できる、ハンドルもペダルもない車をどう設計するかということです。」
イーロン・マスク
「誰かがロボタクシーから降りるときにドアを閉め忘れたら何が起こるでしょうか?ロボタクシーが自分でドアを閉められるようにしなければなりません。ロボタクシーはどうやってゲート・コミュニティやゲートのある駐車場に入るのでしょうか?ボタンを押すか、チケットを取るアームが必要かもしれませんね。」

この2022年8月18日の会議でイーロン・マスクCEOを取り巻くエンジニアのほとんどは、より安全な従来の選択肢を推しました。彼らは、完全自動運転(FSD)の準備が整うまでどれくらいの時間がかかるかについて、より「現実的な見通し」(結構時間がかかる推測)を持っていたのです。2022年8月18日の運命的で劇的な会議に、彼らはこの問題を議論するために集まりました。

テスラの長年のチーフデザイナーであるフランツ・ホルツハウゼン氏はマスク氏にこう言いました。

フランツ・ホルツハウゼン
「ハンドルをつけない選択肢を進んだ場合、FSDの準備が整わなければ、その車は公道に出すことはできません。」

そして彼は、ハンドルとペダルが簡単に取り外せる車を作ることを提案しました。

フランツ・ホルツハウゼン
「基本的に私たちの提案は、今すぐはハンドルを取り付けた状態なのですが、私たちが許可されたときにハンドルを取り外せるようにすることなのです。」

この提案に対してマスク氏は首を横に振るばかりだったようです。

イーロン・マスク:「(自動運転の)未来は、無理強いしない限り、すぐにはやってこないのです。」
フランツ・ホルツハウゼン:「小型のものであれば、相当簡単に取り外せますし、設計も可能です。」
イーロン・マスク:「いいえ、違う、違う」。
長い沈黙。
イーロン・マスク:「ミラーもペダルもハンドルもつけません。これは私がこの決断に責任を持つということです。」

マスク氏はこの冷ややかな雰囲気に対して以下のように話しています。

イーロン・マスク
「はっきりさせておきます。この車はクリーンなロボタクシーとして設計されなければなりません。私たちはそのリスクを負うつもりです。失敗したら私の責任です。しかし、私たちは中途半端な車の両生類のカエルのようなものを設計するつもりはありません。私たちは自動運転に全力を注いでいます。」

こういうやり取りがおよそ1年半前になされていることを考えると、確かにすべてが符合します。

また、このイーロン・マスクのロボタクシーのポストの前にロイターが、廉価版モデルの中止を決めたと報道しました。これに対してイーロン・マスクCEOは「また嘘をついている」と返した顛末がありました。

上の一昨年の会話を見ても(そして下の評伝を読んでも)イーロン・マスクCEOは、廉価版EVの大量生産の方に興味はなく、ハンドルもペダルもないロボタクシーの方に興味があるのが明白に見て取れます。おそらく、テスラにとって、そしてイーロン・マスク氏にとって、よりチャレンジングでイノベーティブなのがロボタクシーなのかと思います。

とはいえ今回のイベント告知は、完全自動運転FSDの目処が立ち、ハンドルもペダルも無いロボタクシーが実現する見込みが立ってきたということです。

どんなイベントになるのか楽しみです。

ウォルター・アイザックソンによるイーロン・マスクの伝記

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