まだ底は見通せず、テスラ株今後の行方は…

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これは非常に厄介で感情的な話題です。過去10年で最大の株価ストーリーは、間違いなくテスラ(NASDAQ:TSLA)のストーリーでした。夢想家対懐疑論者という構図で、双方が何十億ドルもの資金を長期間投入しました。夢想家が勝ちました。テスラがモデル3の生産をようやく軌道に乗せ、黒字化した2018年後半が大きな転換点で、2018年秋、大手のテスラ株空売り筋が、完全に反転してテスラ株をロングすることを説明する手紙を書いたことを覚えています。その後、テスラの時価総額は1日で10億ドル以上増加しました。

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かつて多くの人はテスラが利益を上げるとは思っていませんでした。いったん利益が出れば、多くの人は販売台数が伸び続け、利益が出続けるとは信じていませんでした。一方、楽観主義者たちは、テスラモデル3は非常に優れており、口コミで売れるだろうと主張し、彼らは正しく、その後数年間は販売台数が急増しました。

テスラの車種別四半期毎の納車台数移推移

周知の通り、2023年の販売台数では、テスラモデルYが全モデル中、世界で最も売れた自動車となりました。その事もあってテスラの2023年の年間販売台数は200万台に迫る勢いでした。

どれもとんでもなく素晴らしいことですが、株は今後の未来が大事で、それは過去の話です。テスラについては、最近の四半期に様々な懸念が噴出しており、テスラの今後の将来についても、ここ数日で様々な見方が発表されています。

また、テスラは2024年のS&P500種株価指数で最悪のパフォーマンスとなっていることも述べておきます。S&P500種指数を史上最高値に導いた一握りの銘柄、いわゆるマグニフィセント・セブンの一員として注目されてきたテスラは、今や明らかに最悪の意味での異常値です。今年最悪のパフォーマンスであり、今後12ヶ月で収益が縮小すると予想されている唯一の銘柄であるにもかかわらず、群を抜いて最も割高なのです。ブルームバーグが作成したチャートは以下を参照ください。

マグニフィセント「6」+テスラの株価比較
縦軸はEPS成長率、横軸はPER

テスラの営業利益率とPER(株価収益率)を他の自動車メーカーと比較してみましょう。

他の自動車メーカーとの比較
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これだけ株価が下落した今でも、テスラが買いに向かわれる事になるとは考えにくい状況です。そのPER倍率は他の自動車メーカー、それも営業利益率の良いメーカーよりもはるかに高い水準なおのです。また、他の自動車メーカーのPER倍率は一定の範囲に収まっているようですが、テスラだけはその通常の範囲にはありません。他のハイテク企業と比較すると、テスラの一株当たり利益はマグニフィセント6を下回っていますが、PER倍率は他を大きく上回っているということなのです。

最近のテスラが良い株であることを主張するには、基本的に3つの方法があります。

  1. 販売台数が、マージンを削ることなく、この先何年も力強いペースで伸びると仮定すること、言い換えれば、利益が力強く伸びると仮定すること。
  2. FSDがロボタクシー対応FSDとなり、テスラに大金をもたらすと仮定すること。
  3. テスラのAIやその他のイノベーションが他の商業的成功につながり、テスラが大儲けすると仮定すること。

当然ながら、それぞれの仮定には賛否両論ありますが、テスラに賭けるには、少なくともどちらかが実現することが前提です。テスラについて最近何が言われているのか、それが上記とどのように関連しているのか、少し見てみましょう。

成長鈍化の成長株

最近のフォーチューンの記事によるとテスラはもはや成長株ではありません。ウォール街の成長予測が急速に沈む中、テスラの主要アナリストが水曜日に発表した厳しい販売台数予測は、新しい基準で見ても衝撃的でした。ウェルズ・ファーゴのコリン・ランガンによれば、テスラの今年の販売台数はゼロ成長。そして、2025年にはもっと悪くなるという予測なのです。

確かにイーロン・マスクCEOが基本的にそう言っているように、テスラが2024年に大きく成長する見込みがないことに議論の余地はありませんが、テスラの販売台数が減少する可能性さえあります。特にサイバートラックの生産と販売台数は2024年末から2025年にかけて増加すると予想されているため、そのようなことはあまり現実視されていませんが、可能性は確実にあります。イーロン・マスクCEOの予言通りテスラモデルYは昨年、世界で最も売れたモデルとなったのです。

フォーチュンの記事に戻ります。

「テスラが、その高い評価額が約束するような猛烈なペースで成長する能力は、もはや保証されていません。同社は依然として、他のメガ時価総額株よりもかなり高い株価収益率で取引されていますが、収益と利益の拡大ペースは昨年から著しく減速しています。」

確かに販売台数は緩やかに伸びていますが、それは値下げによるものです。彼は、2023年下半期の販売台数は上半期からわずか3%増加しただけで、価格は5%下落したと強調しました。テスラとEVが困ったことになったのは、マスク氏が初めて需要減速を警告した10月中旬からです。しかし1月初旬、テスラが今年の成長率は「著しく低下する」と述べたことから、センチメントはさらに悪化しました。他の自動車メーカー、EVサプライヤー、そしてレンタカー会社までもが、同様に慎重なコメントを発表することになったのです。

皮肉なことに、アプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオ・マネージャーの一人も、ESGからAIへのシフトを述べています。イーロン・マスク氏は過去1年間、ESG政策を批判してきましたが、テスラは環境重視、あるいは気候変動重視の投資先企業を考える際に、人々が思い浮かべる企業のトップでした。

FSD vs. ロボタクシー

テスラの自動運転ソフトウェアFSDはここ数年、あまり改善されていませんでした。12.3という新しいバージョンがあり、多くの人が以前のバージョンよりはるかに良くなっていると言っています。とはいえ、まだ問題があるとも聞いています。ロボタクシーに対応するまでには至っていないようです。でも、いつものように、自分でしばらく体験してみるまでは、強く判断するのは待っています。とはいえ、これまでは多くの過大な約束とスケジュールの未達、そしてハードウェアに関する懸念があり、この10年間にテスラのロボタクシーを期待するのは難しい状況でしょう。

イーロン・マスク氏なしでテスラの株価は好転するのか?

当然のことながら、イーロン・マスク氏が長い間、他の会社や他の事業(特にX)、米国や世界の政治、右翼の陰謀論に飛び込んだことは、多くの投資家、テスラの所有者、そして潜在的な新規購入者を不安に陥れました。このことがテスラの販売台数や株価に影響を及ぼしていると推測する人は多いでしょう。同時に、イーロン・マスク氏なくしてテスラがここまで上り詰めたと主張する人はほとんどいないでしょう。彼はテスラの中核的リーダーであり、テスラを財務的に黒字化し、業界を震撼させる規模を持つに至らせた多くの決断を下してきました。

しかし、長年のテスラ強気派であるロス・ガーバー氏は、イーロン・マスク氏が行動を改めるか(現時点ではその可能性は極めて低い)、あるいは物議を醸すことの少ない新しいCEOに交代すれば、テスラ株は新たな高みへと上昇する可能性があると主張しています。

「テスラが実際に会社を助けようとする本物のCEOを得るか、イーロンは態度を改め、実際にテスラでの仕事に戻り、前向きにブランドを宣伝するかのどちらかであれば、これはあっという間に好転する可能性がある」

私は後者は実際には当てはまらないと思います。その理由を説明するために、冒頭の3つの事柄に戻ります。

新CEOが株価を再び上昇させるためには、販売台数が再び力強いペース(例えば年率50%)で成長すること、テスラFSDが間もなくロボタクシーに対応すること、あるいはテスラがAIやその他の大きな事柄で先頭に立つことを人々に納得させる必要があります。正直なところ、後者の選択肢に関してイーロン・マスク氏を信じる人は非常に多く、この信仰だけがテスラ株をまだ大きく支えているのだと思います。イーロン・マスク氏のために今テスラに強気になっている人の多くが、彼がいなくなったら満足して投資を続けるとは思えません。AIにとって素晴らしいCEOであったとしても、投資家は(全体として)イーロン・マスク氏が指揮を執っているときと同じように強気で、交代に納得するでしょうか?私は懐疑的です。テスラを50%の成長率に戻すことに関しても、それは難しい注文で、新しい人が投資家を納得させるとは思えません。確かに一部の投資家は強気になるでしょうが、多くの投資家は弱気になるでしょう。

「ミート・ケビン」としても知られるケビン・パフラス氏は、以前はテスラ株の強気派でした。彼はイーロン・マスク氏の気晴らしに関してロス・ガーバー氏の意見に共鳴し、最近のテスラはロングではなくショートにしていますが、マスク氏が居るいないに関わらず好転の希望を示しているわけではありません。

「テスラが置かれている状況は不幸なことだと思いますし、まだ悪いことがすべて織り込まれているとは思えません。」

テスラ株の行方は?

率直に言って、テスラがすぐに成長株になるとは考えにくい状況です。それに、25,000ドルの車が登場すると言われていますが、まだ特筆すべき情報は何もありません。テスラ完全自動運転は、当初の予定や期待からあまりにも遅れており、株価が復活すると考えるには、そのアプローチが懐疑的すぎます。AIに関しては、オプティマスの行く末を見守る必要がありますが、FSDの再来になりそうな予感がします。あるいは巨大化するかもしれません。しかし、テスラ株価が再び活況を呈するには、この件でも他の件でも、進歩の確かな証拠と商業的成功の可能性を確認する必要がありそうです。

いずれ分かるでしょう。

この記事はこの投稿を引用・翻訳・編集して作成しています。

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