2023年7月時点で、テスラ全工場の生産可能台数は年間202万5,000台以上に増加しています。
2023年第3四半期は減速
世界最大の電気自動車メーカーであるテスラは、潜在的な年間生産台数が少し増加し、2023年第2四半期末時点で202万5,000台以上(第1四半期末比2万5,000台増)となったことを明らかにしました。この増加はギガファクトリー・ベルリンに関連するもので、生産能力は37万5,000台(従来は35万台)と推定されます。その他のギガファクトリーの推定生産能力は3ヶ月前と同水準となっています。
テスラの2023年第2四半期の実際の生産台数が47万9,700台(前年同期比86%増)という新記録を達成し、これを今後4回(1年間)繰り返せば年間190万台以上となる計算になります。また、2023年に、テスラは180万台を納車する目標を持っています。更に、テスラのこれまでの累計生産台数は450万台を突破しました。
テスラのイーロン・マスクCEOによると、第3四半期には、一部の工場がアップグレードされるため、生産台数は若干減速する可能性があるとのことです。
この記事では、テスラのEV製造工場の状況を見ながら、各拠点で何が新しくなったのか、またテスラセミ・クラス8全電動トラックとテスラ・サイバートラックに関連する進捗状況はどうなっているのかを見ていきます。
主な生産拠点別の状況
米国カリフォルニア州 フリーモント工場 – 最大65万台/年
米国カリフォルニア州に位置する、かつてはGMとトヨタの合弁会社NUUMI(New United Motor Manufacturing, Inc.,ヌーミ)が所有していたテスラのフリーモント工場は、年間最大55万台のモデル3/モデルYおよび最大10万台の新型モデルS/モデルXを生産する能力があります。
2022年10月、同地にサイバートラック用バッテリーパック組立ラインを新設するとの報道がありましたがその後の詳細は不明です。
米国ネバダ州 テスラ・ギガ・ネバダ(ギガファクトリー1)
テスラ初のギガファクトリーは、リチウムイオンバッテリーセル工場で、パナソニックと提携して2170タイプの円筒型バッテリーセルを製造するほか、その他の製品(ドライブユニット、パワーエレクトロニクス、エネルギー貯蔵システム、部品)も製造しています。今年6月には、パナソニックが同工場の生産量を約10%増加させる意向であることが報道されました。
2023年初頭、テスラはこの工場に36億ドルを投資し、新型の4680型円筒形バッテリーセル(年間100GWh、今後さらに増える可能性あり)とテスラセミ電気トラック(年間約5万台のテスラ・セミを生産する可能性あり)を生産すると正式に発表しました。
テスラセミの現在のステータスは「パイロット生産」(ここは変更なし)で、テスラのイーロン・マスクCEOは「限定生産」とも表現しています。以前のステータスは、2022年第3四半期の決算報告書アップデートレターでは「初期生産」、2022年第2四半期の財務報告書では「開発中」でした。これまでのところ、同社はおそらく2桁の数のテスラセミ、つまり100台に満たない台数を納入しています。
中国上海 ギガファクトリー上海(ギガファクトリー3)-年産75万台以上
テスラのギガ上海工場は、現在年間75万台以上のモデル3/モデルYを生産する能力があります(ここは前から変わっていません)。同工場は引き続き同社の世界市場への輸出拠点となっています。
「ギガ上海工場は数ヶ月間フル稼働に近い状態で順調に稼動しているため、週当たりの生産稼働率に増加は見込んでいません。ギガファクトリー上海は引き続き当社の主要輸出拠点です。」
ドイツベルリン ギガファクトリー・ベルリン(ギガファクトリー4)-37万5000台/年
ドイツ・ベルリン近郊のグリュンハイデにあるテスラのギガファクトリー・ベルリンでは、2022年3月からテスラモデルY(2170型円筒形バッテリーセルを搭載)を生産しており、第2四半期にはスタンダードレンジバージョンの生産も開始しています。
テスラ社は3月、テスラモデルYの生産台数が週5,000台に達したと発表しました。生産能力は現在、年間37万5,000台(従来は35万台以上)と推定されています。
「ドイツのギガベルリン工場では、第2四半期に初めて標準レンジのモデルY RWDを生産開始しました。モデル Y は、第 1 四半期の成功から勢いを増し、欧州で年間を通じて最も売れた車種となりました。」
将来的には、4680型円筒形バッテリーセルを搭載した新バージョンの生産を開始する予定です。
米国テキサス州 ギガファクトリー・テキサス(ギガファクトリー5)-年産25万台以上
テキサス州オースティンに位置するギガファクトリー・テキサスは、2022年4月にテスラモデルYの生産を開始しました。このバージョンのモデルYは、4680タイプの円筒型セルとストラクチュラル・バッテリーパックを搭載している車体も含まれます。しかし、4680型セルの供給には限りがあるため、同工場ではその後、2170型バッテリーと非構造用バッテリーを搭載した「レガシー」バージョンの生産を開始して、現在に至ります。
また、同社によると、2023年5月、同工場はモデルY(全バージョン)の生産台数週5,000台を達成しました。
2022年12月には、4680型円筒形バッテリーセルの供給量が週100万個に増加し、これは電気自動車1,000台分以上(同工場の生産量の3分の1)に相当する量となります。2023年6月、テスラは1,000万個目の4680型バッテリーセルがギガ・テキサス敷地(カリフォルニア州フリーモントにあるテスラのカトー・ロード試験施設)で生産されたことを明らかにしました。
「4680型セル生産ラインの歩留まり改善で顕著な進歩を遂げました。米国での正極生産とリチウム精製の能力増強を継続します。」
同工場では現在、今年中には納車される予定のテスラサイバートラックの生産開始に向けて準備を進めています。
「ギガファクトリー・テキサスでは、モデルYの立ち上げの成功に加え、サイバートラック生産のための設備設置にも取り組んでおり、今年の初回出荷に向けて順調に進んでいます。」
テスラ サイバートラックは、2023年後半にテキサスで生産を本格開始する予定です。7月には、最初のRC(リリース候補)ユニットが現地で生産されました。テスラ サイバートラックの現在のステータスは「ツーリング」という状況です。イーロン・マスクCEOによると本格的量産は2024年以降になる見込みとのことです。
メキシコ モンテレイ ギガファクトリー・メキシコ(ギガファクトリー6)
2023年3月、テスラはメキシコのモンテレイ(ヌエボ・レオン州)近郊のサンタ・カタリーナ自治体に第6のギガファクトリー工場を建設すると発表しました。この工場は次世代電気自動車に使用される予定で、年間生産台数は数百万台とされています。また車両生産は2025年に開始される可能性があります。
生産拠点別の詳細
テスラの総設備生産能力は年間202万5,000台以上(テスラ・ファクトリーで最大65万台、ギガ上海で75万台以上、ギガ・ベルリンで37万5,000台以上、ギガ・テキサスで25万台以上)となっています。各工場別の詳細は以下です。
米国カリフォルニア州フリーモント工場(テスラ最初の生産拠点)
- モデルS/X(年間10万台までの生産能力) モデルSは2012年半ばから、モデルXは2015年後半から
- モデル3/Y(現在、年間55万台までの生産能力)モデル3は2017年半ばから、モデルYは2020年1月から
- S/X/3/Yの合計生産能力は最大65万台
ギガファクトリー1:米国ネバダ州 ギガネバダ
- リチウムイオンバッテリーセル、モジュール、パックの生産、エネルギー貯蔵製品、ドライブユニット/パワーエレクトロニクス関連
- 近隣にテスラセミのパイロット製造施設(生産能力非公開、2022年第4四半期以降の生産)
- 今後4680型バッテリーセル(100GWh/年)生産予定
ギガファクトリー2:米国ニューヨーク州バッファロー
- ソーラー関連、一部のエネルギー貯蔵製品、スーパーチャージャー等
ギガファクトリー3:中国 ギガ上海
- 2019年後半からモデル3、2020年12月からモデルYの生産を開始
- モデル3/モデルY(年間75万台以上の生産能力)
ギガファクトリー4:ドイツ ベルリン・ブランデンブルク ギガベルリン
- 2022年3月からモデルYの生産開始
- モデルY(年産37万5000台以上の生産能力)
ギガファクトリー5:米国テキサス州オースティン ギガテキサス
- 2022年4月からモデルYの生産開始
- モデルY(年産25万台以上の生産能力)
- 2019年後半に発表されたサイバートラック は「ツーリング」状態
- 4680型バッテリーセル(生産量未公表)
ギガファクトリー6:メキシコ モンテレイ(ヌエボ・レオン州) ギガメキシコ
- 2023年3月1日に発表
- 次世代型車両の生産(2種類)
米国カリフォルニア州フリーモントのテスラカトーロード試験施設
- テスラの4680型円筒型バッテリー・セルに関連。
- 目標:10GWh/年のセル生産
米国カリフォルニア州ラスロップのテスラメガパック工場
- 2021年発表(目標40GWh/年)、生産増強は既に開始
中国上海のメガパック工場
- 2023年4月発表(目標40GWh/年、メガパック10,000個/年)
- 生産開始は2024年第2四半期の予定
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