トヨタ、フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズ、ホンダ、BMW、メルセデス・ベンツなど既存大手自動車メーカー各社は、急速な電動化を進める中国内自動車メーカーにシェアを奪われています。
中国市場における電動化の大波
中国の自動車メーカーが中国国内消費者の嗜好に合致し、いまや世界最大のEVメーカーであるBYDは、2030年までに市場シェアを4~5%ポイント拡大すると見られています。
環境保護団体グリーンピースの新しい報告によると、かつて中国の自動車産業の支配者であったトヨタやBMWなどの外国車ブランドは、急速な電動化を推進する中国国内メーカーがより大きなパイを獲得するにつれ、電気自動車への移行が遅れ、市場シェアを大幅に失うことになるとされています。
現在、世界最大の自動車市場、中国における販売台数で最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)は、2030年までにそのシェアが3~7ポイント低下することになるということです。VWは昨年、中国本土の顧客に310万台の車を販売し、13.5%の市場シェアを獲得しています。
グリーンピースの報告書によると、ゼネラルモーターズは3〜6ポイント、ホンダは2〜4ポイント、トヨタは1〜3ポイント、BMWとメルセデス・ベンツは0.5〜1.5ポイントの市場シェアを失うと予測しています。
グリーンピースのキャンペーン担当者、バオ・ハング氏は以下のように述べています。
「トヨタやフォルクスワーゲンなど、電気自動車の開発導入が遅れている自動車メーカーは、最も保守的な試算でも、市場シェアの大幅な減少に直面しています。世界最大の自動車市場である中国は、劇的な変化を迎えているのです。」
グリーンピースは、中国の自動車メーカーが消費者の嗜好やニーズにより合致することで、市場シェアが拡大すると予測しています。それによると、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイ社が支援する世界最大のEVメーカーBYDは、2030年までに中国での市場シェアを4~5%ポイント拡大する可能性が高いということです。この自動車メーカーは、2022年に中国の消費者にBEVとPHEVを合わせて180万台販売し、中国全土の総数の8%の台数を占めています。
グリーンピースの予測は、アリックスパートナーズなどのコンサルティング会社による初期の予測や、UBSなどの銀行による、今後10年間に中国本土の道路で電動化のペースが加速すれば、自動車産業の景色が一変するという予測に呼応しています。
「電動化が遅れている自動車メーカーは、内燃機関車の製造設備稼働率の低下に直面するだろう。」とグリーンピースの報告書は述べるとともに、2030年までに中国における従来のガソリン車の生産能力の約3分の1が未稼働になると予測しています。
劇的な変化を迎える世界最大の自動車市場
フィッチ・レーティングが5月23日に発表したレポートによると、今年第1四半期の中国におけるEVの納入台数は、自動車販売台数の31%を占めましたが、昨年の2022年累計では28%、2021年では15%であったとのことです。
中国国内自動車メーカーがEV市場全体の80%近くを占めており、今後数四半期でシフトする可能性があります。この分野では現在、激しい価格競争が繰り広げられていますが、弱小メーカーが利幅を確保しようとする中で、この状況は終わりに近づいているのかもしれません。消費者はさらなる値下げを期待して買い控えをしているためです。
上海のアドバイザリー会社スオレイ社のシニアマネージャーであるエリック・ハン氏は、以下のように述べています。
「BYDに代表される中国国内メーカーは、EVセグメントにおいて製造とデザインの強さを証明し、昨年からグローバルメーカーから市場シェアを奪っている状況です。中国のドライバーは、インテリジェントなバッテリー駆動の車を好むので、EVメーカーがさらに成長するための重要な原動力になっています。」
2000年代初頭にはグルーバルな大手自動車メーカーが、デザイン、品質、性能の面で地元ブランドより優れていることが証明されていたため、中国では80%の市場シェアを占めていました。
最近になって、BYD、吉利、上海汽車、長安、GACなどの国産ブランドが低価格のガソリン車や電気自動車を開発したため、中国の自動車メーカーはこの10年間に大手既存自動車メーカーに追いついた形です。環境に優しいEVの開発への大規模な投資が功を奏し、昨年、予算に敏感なドライバーの多くが、テスラの中国製モデル3やモデルYのような高価なモデルを避け、より安価な国内産電気自動車に乗り換えました。中国自動車工業会のデータによると、中国の国産自動車ブランドは2022年に1180万台の乗用車を販売し、前年比22.8%増となりました。
「ガソリンとディーゼル車の時代はもはや終わりを告げようとしているのです。」
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