テスラの2023年第3四半期決算説明会で語られ判明した詳細まとめ

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Credit:Tesla
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テスラ(NASDAQ:TSLA)の2023年第3四半期決算説明会は、同社の2023年第3四半期アップデートレターの発表後に行われました。テスラは、納車台数と生産台数の減少、平均販売価格の引き下げにもかかわらず、第3四半期も黒字を維持しまし、233億5,000万ドルの売上高と7.6%の営業利益率を計上しました。

テスラは2023年第3四半期アップデートレターでいくつかの重要な情報を提供しています。ひとつは、サイバートラックの初納車が2023年11月30日と発表されたこと、そしてテスラの完全自動運転ソフトウェアFSDベータ版の累計走行距離が5億2,500万マイルに増加したことです。定置用大型蓄電設備を販売するテスラ・エナジーは、4.0GWhという記録的なバッテリー納品を実現し、この四半期のダークホースとなりました。

以下は、テスラの2023年第3四半期決算とその説明会で語られた事のまとめです。

決算概要

2023年第3四半期決算によると、非GAAPベースのEPSは0.66ドル、売上は前年同期比9%増の234億ドルとなりました。前年同期比では、以下の項目が収益に影響しました。

(+)車両販売台数の増加 

(+)その他事業の成長

(-)平均販売価格(ASP)の前年同期比低下(為替影響を除く)

(-)マイナス4億ドルの為替影響

収益性

テスラの第3四半期の営業利益は前年同期比減少の18億ドル、営業利益率は7.6%。営業利益は主に以下の項目に影響をうけました。

(-)価格設定およびミックスによるASP(平均販売価格)の減少

(-)サイバートラック、AI、その他研究開発プロジェクトによる営業費用の増加

(-)工場のアップグレードに関連する生産立ち上げ費用および遊休費用

(-)為替によるマイナス影響

(+)(新工場の稼働率低下によるマージンの逆風にもかかわらず)納車台数の増加

(+)車両単価の低下とIRAクレジット(インフレ抑制法)の恩恵

(+)エネルギー生成・貯蔵およびサービスその他における売上総利益の増加

(+)規制クレジット販売台数の増加

エンドー・ツー・エンドFSDには大きな可能性

まず最初にイーロン・マスク氏が語ったのは、テスラの自動運転の進展についてです。彼は、エンド・ツー・エンドのソリューションであるFSDベータ版V12に大きな将来性があると以下のように述べています。

「我々はAI開発に多額の投資を続けます。」

まあ米国におけるFSDオプション価格の直近の値下げに関する質問に対しては、イーロン・マスク氏は、テスラは単に自動運転システムをより手頃な価格にしたいだけだと述べています。現在の価格は一時的な安値だとマスク氏は述べました。

「まあ、私たちはただFSDをより手頃な価格にしたかっただけです。」

このFSDの価格設定について、またテスラがシステムの改良に伴って価格設定を進化させることができるかどうかの質問に対して、イーロン・マスク氏は、完全自動運転車の経済性は相当驚異的であると述べました。

「システムの経済性は非常にポジティブです。私たちはソフトウェアのマージンを持つハードウェア企業なのです。」

続いて、テスラがFSDの法的責任を負うのはいつか、という質問に対してマスク氏は、誰もがすでにテスラに法的責任があると想定している、とジョークを飛ばしました。チームはまた、メルセデス・ベンツのドライブパイロットのようなレベル3自動運転システムはその適用範囲が非常に限定的であるのに対し、テスラのFSDシステムは適用条件の制限がないことを強調しました。

「FSDソフトウェアはAGIの赤ちゃんです。」

自動車以外の収益源が貢献

イーロン・マスクCEOによると、テスラ・エナジーとサービスが現在、四半期利益で5億ドル以上に貢献していると述べます。同社で最も収益性の高い事業の1つになりつつあり、急成長しているとのことです。

サイバートラックは11月30日に納車開始

マスクCEOは、サイバートラックが今四半期(2023年11月30日予定)リリースされる一方で、車両の生産立ち上げに関して目標を設定する必要があることを以下のように強調しました。

「生産台数目標を達成し、キャッシュフローをプラスにするためには莫大な課題があるでしょう。これは過去最高の製品ですが、人々が購入できる価格でキャッシュフローを黒字にするには、これから膨大な作業が必要になるでしょう。少し、サイバートラックへの期待を抑えたいと思います。素晴らしい製品ですが、財務的には、キャッシュフローに大きく貢献するまで1年から1年半くらいかかるでしょう。」

投資家からの質問で、2024年のサイバートラックに対する期待についてがありました。これに対してイーロン・マスク氏は、サイバートラックはこれまでとは非常に異なったクルマのため、予測すること自体が難しい、と述べています。もちろん、サイバートラックが他のピックアップトラックの単なるコピーであれば話は別ですが、「未知の領域であればあるほど、結果は予測不可能です」とマスク氏は言っています。

マスク氏は、テスラは最終的に年間約25万台のサイバートラックを製造販売すると述べています。これはおそらく2025年に達成される目標でしょう。

2023年納車目標180万台は維持

マスク氏はまた、テスラの2023年の納車台数ガイダンスである180万台については、その目標を維持することを明らかにしました。

コスト削減

テスラの新CFO、ヴァイバフ・タネジャ氏が同社の財務について説明。いくつかの工場閉鎖にもかかわらず、1台あたりのコストは約37,500ドルまで減少しました。また、テスラが今後数年間を乗り切るにあたり、コスト削減と将来への投資に注力していることについても述べました。

4680バッテリーセル

4680バッテリーセルに関する最新情報について、テスラは、(製品として利用できない)廃棄が40%減少し、4680バッテリーセルの生産が急増していると述べています。また、ギガファクトリー・テキサスは現在、テスラにおける主要な4680バッテリーセル工場とのことです。

ギガファクトリー

ギガファクトリー上海、ベルリン、メキシコについての質問に対して、テスラは、メキシコで意欲的に工場設計に取り組んでいると述べています。テスラはギガ・メキシコで次世代車の新しい生産ラインに取り組んでいます。イーロン・マスク氏は、テスラはギガ・メキシコでの建設のための基礎固めを行っていると述べ、テスラが全面的に参入する前に「世界経済の感覚をつかみたい」とも付け加えました。

経済が好調でない限りテスラはギガ・メキシコに全力投球しないというイーロン・マスク氏の以前のコメントと、工場なしでテスラの成長が達成できるかどうかについて、マスク氏は、テスラがあくまでメキシコに工場を作るとこたえています。ただ、タイミングの問題は別で、テスラは現在はメキシコに取り組んでいますが、同社は金利の動向に細心の注意を払っているとのことです。そして、ギガファクトリーについて以下のように言っています。

「ギガ・テキサスは今ではその規模が大きくなったとはいえ、テスラが所有する土地のごく一部を利用しているに過ぎず、いざとなればテスラはギガ・テキサスに集中し、自動車製造の複合施設をさらに拡大成長させればいいと考えている。テスラは非常に有能な船ですが、嵐の中の偉大な船にも課題はあり、それが金利で金利が下がればテスラは加速するはずなのです。そして、私が必要以上に被害妄想的なのかもしれないことをお詫びします。私は2008年から2019年頃までいわばトラウマがあるのです。この期間は非常に厳しい状況でした。自動車業界もある種の周期性があります。人々は新車を買うのをためらう傾向がありますし、経済に不確実性があれば尚更そうなるのです。」

広告出稿

イーロン・マスクCEOはテスラが広告をいくつか出していると述べ、彼は広告が有用であることを認めている一方で、人々がテスラの車を買えなければ、広告はあまり役に立たないとも述べています。マスク氏は、米国内における非常に高くなってしまった金利に対する懸念と、テスラが月々の支払いを減らすことに注力することの重要性を強調しました。

今後の成長

テスラの今後の成長率に関する質問に対してイーロン・マスク氏は、テスラはすでに現在最も急成長している自動車メーカーのひとつであると述べています。自動運転ロボタクシーについては、マスク氏はこの車は間違いなくハンドル・ペダルになると述べました。彼は、自動運転に非常に興奮していると強調し、なぜならテスラの自動運転への取り組みがオプティマスへの道を開くことになるからと付け加えています。

次世代プラットフォーム

サイバートラックとその大量生産への立ち上がりに関する質問に加えて、次世代プラットフォームでも同様の立ち上がりが期待できるかという質問に対して、イーロン・マスク氏は、サイバートラックの生産は18ヶ月で立ち上がるだろうと述べました。つまり、サイバートラックの生産立ち上がりは、実際には1.5年に過ぎません。チームはまた、サイバートラックには生産立ち上げに影響する独特の複雑さがあることも述べ、次のように続けました。

「私たちはサイバートラックの製造で墓穴を掘りました。サイバートラックには、たくさんの克服すべき課題があります。」

マスク氏は、テスラの次世代プラットフォームはその意味で「かなり従来型」であると述べました。次世代車両には、単純に新しいものがあまりありません。テスラは、次世代車両をシンプルにし、生産面で1台あたりの生産レベルを達成するために、可能な限りのことをしているとのことです。マスク氏はまた、次世代テスラは「実用的だがクールで美しい」とも述べています。ただ、次世代製品の時期について、イーロン・マスク氏は、テスラが現時点でこの情報を提供することはないとも述べました。

価格弾力性(価格戦略)

テスラ車の価格弾力性に関する質問に対しては、イーロン・マスク氏は、一般消費者が(米国内における高金利ゆえ)支払いに懸念を抱いていることを強調し、また、テスラがこの月々の支払いを減らすことに注力していることの重要性を改めて強調しました。

「価格弾力性は非常に大きいと思います。率直に言って、もし私たちの車がトヨタのRAV4と同じ値段だったら、誰もRAV4を買わないでしょう。少なくとも、買う人はほとんどいないでしょう。これらのEVインセンティブの多くは、一般人が利用するのは非常に困難です。」

加えてイーロン・マスク氏は、自動車の価格設定における「マリー・アントワネットの雰囲気」(贅沢な状況)について簡単に説明しました。これに付随して、マスク氏は在宅勤務制度への不満について述べました。在宅勤務制度は、仕事のために職場にいなければならない人々にとって非常に不公平であると述べました。

車両へのレーダー搭載

中国のモデルYの一部にレーダーがオプション搭載されるのかと質問に対して、イーロン・マスク氏は、テスラはギガ上海のモデル3およびモデルYにレーダーを搭載していない、と述べました。テスラはモデルSとモデルXでレーダー搭載を実験しているが、モデル3およびモデルYではまだその予定はないとのことです。

一方で、マスク氏は、テスラが事故防止の観点からレーダーの有用性を検討していることに言及し、以下のようにコメントしています。

「テスラが設計したレーダーは高解像度のレーダーで、(今後)役に立つ可能性があります。」

今回の決算の説明資料は以下からダウンロードください。

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