テスラの「プロジェクト・ハイランド」として知られている次期ギガ上海製モデル3には、世界最大のEVバッテリーメーカーCATLの新型M3Pリン酸鉄リチウムバッテリーが採用され、ベースモデルのバッテリーパック容量は60kWhから66kWhにアップグレードされると伝えられています。
新型のM3Pバッテリー搭載
テスラの刷新される予定のギガ上海製モデル3は、バッテリーパックがアップグレードし、後輪駆動のベースモデルにはCATLの新型M3Pリン酸鉄リチウムバッテリーが採用され、容量は60kWhから66kWhに増加すると、地元メディア36krが本日報じました。
テスラは、モデルチェンジの度に搭載バッテリーをアップグレードしており、中国製モデル3の標準レンジバージョンは、前回の55kWhから現状では60kWhにアップグレードされている、と同レポートは述べています。66kWhのバッテリーパックはアップグレードされたモデル3だけでなく、将来のモデルYの改良にも使用可能であると、情報筋の話として報道されています。
中国製モデル3のリア駆動バージョンRWDの航続可能距離は現在556kmとなっています。今回リフレッシュされる予定のモデル3の航続可能距離は、バッテリー容量が6kWh増強されるおで、間違いなく伸びると予想されるとの事です。そしてプロジェクト・コード名を「ハイランド」とするリフレッシュ版モデル3は、今年の第3四半期に発売される見込みであると、業界チェーン筋からの情報では伝えられています。
モデルYにも採用か
テスラは上海にモデル3およびモデルYを大量生産するギガ上海工場を持っており、年間生産能力は約110万台で、テスラの工場としては世界最大の製造工場となっています。
ロイター通信は3月1日、テスラがモデル3のリフレッシュ版に向けてギガ上海工場の再整備に取り組んでいると報じ、このプロジェクトはテスラによって「プロジェクト・ハイランド」とコードネームで呼ばれています。またロイター通信は、モデル3のハイランドバージョンは9月に上海で生産が開始される見込みであると、この件に詳しい人物の話を引用して報道もされています。
テスラは今回のハイランド版によって、生産コストを削減した上で、2017年にデビューした電気セダンの魅力を高めることを目指していると、プロジェクト関係者は述べています。モデル3のハイランドバージョンに加え、ロイター通信はテスラがモデルYの生産変更を準備していることにも言及しています。テスラが「プロジェクト・ジュニパー」のコードネームで呼んでいるこのモデルYの刷新は、SUVのエクステリアとインテリアに関わるもので、2024年の生産開始を目指しているとのことです。
ブルームバーグは5月16日、テスラがギガ上海で改良モデル3セダンの試験生産を開始する前の最終段階に近づいているとも報道されています。同報道によると、刷新されたモデル3は、以前のバージョンよりもわずかに長く、スポーティで、洗練されたインテリアデザインを採用しているとのことです。更にバッテリーに関しては、昨年8月にCATLがテスラにM3Pバッテリーを供給するという噂があったことも追加しておきます。
CATLは今年の第4四半期にテスラにM3Pバッテリーの供給を開始し、72kWhパックを使用するモデルYに搭載すると、地元メディアのレイト・ポストが2022年8月3日に報道しました。このCATLのM3Pバッテリーに使用されるリン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)材料は、2022年後半に11万トンのLMFP材料の生産を計画していた深セン・ダイナノニック社から供給されるとのことでした。
更にテスラもLMFPバッテリーを開発しているのですが、開発サイクルが長いため、まずはサプライヤーから調達する予定とのことです。LMFPバッテリーはリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを改良したものです。バッテリーは通常、使用する正極材料にちなんで命名され、LMFPの正極材料は、現在LMFPバッテリーの製造に使用されているLFP正極材料にマンガンを添加することで性能を向上させる仕組みです。
LMFPバッテリーは、100%LMFP材料を正極に使用するタイプと、LMFP材料にアルミニウムやマグネシウムなど他の材料を混合して正極にするタイプに分けられます。CATLのM3Pバッテリーの正極材料は、リチウム三元材料とLMFP材料を混合したもので、LMFPバッテリーに特有のサイクル寿命が短く、内部抵抗が高いという問題を解決するソリューションであると、レイト・ポスト紙のレポートで述べられています。
2022年8月18日、シナテックは2人の関係者の話を引用し、テスラが近く中国製の新型モデル3を発表すると伝え、最大の目玉は、全ラインナップがCATLが供給するM3Pバッテリーを採用し、航続距離が少なくとも10%向上するとの報道でした。その際、新バッテリーパックの採用により、中国製モデル3のRWDとロングレンジの2つのバージョンの航続距離はそれぞれ、従来の556kmと675kmから、600km以上と700km以上になる見込みとのことでした。
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