中国の、そして世界最大の2大バッテリーメーカーであるBYD対CATLのテスラモデルYを通したの戦いが始まり、BYDのLFP(リン酸鉄型リチウムイオンバッテリー)セルを搭載したブレードバッテリーパックのオーナーは、より良い充電パフォーマンスを報告しています。BYDバッテリーを搭載したテスラモデルYは、米国で販売されているLFPセルを搭載した現行のCATLバージョンよりも、ピーク充電速度を長く維持することに成功したのです。
BYD製LFP搭載モデルY
テスラは最近、標準的な航続距離を持つベースグレード向けに、より安価で安全なLFPセルを供給する第二のサプライヤーを承認しました。そのサプライヤーとは、テスラにとって最大のライバルであり、現在ではCATLに次ぐ世界第2位のEVバッテリーメーカーでもある、宿敵BYDである。
CATLは、これまで標準モデルのモデルYおよびモデル3のLFPバッテリーを独占的に供給してきましたが、欧州ギガファクトリー・ベルリン工場で生産される新モデルYのロットには、BYDのバッテリーパックが搭載されています。BYDの「ブレードバッテリー」を搭載したモデルY vs CATLの「キリン」バッテリー仕様の戦いは始まったばかりですが、すでに新しいBYD製モデルYが優位に立っているようです。
高い充電出力を維持
BYD製のバッテリーを搭載するバリエーションが納車された最初のモデルYオーナーは、その充電性能をテストし、CATLパックを搭載した現行モデルと充電カーブを比較しました。その結果によるとBYD製のモデルYは、172kWの充電ピークまで一気に上昇し、バッテリーが50%の充電量に達するまでその状態を維持しました。

一方、62kWhのCATL製LFPバッテリーを搭載したモデルYは、172 kWの充電速度を維持することができず、充電開始後すぐに出力低下し、90%に至るまでに徐々に50 kWへ低減していくカーブを描いています。BYDの60kWhブレードバッテリーは、その間ずっと、CATLバッテリーよりもはるかに速い充電速度を維持することができたという結果です。
BYD製ブレードバッテリーの安全性
「ブレード」とは、より安全で省スペースな技術を提供するため、化学的性質ではなく、パッケージングの様式を指しています。BYDによると、「ブレードバッテリーは、釘の貫通テストを受けたが、貫通後に煙や火は出ず、表面温度は30~60℃にしかならなかった」ということです。また、このバッテリーパックは、「他にも、押しつぶしたり、曲げたり、炉で300℃に加熱したり、260%の過充電をしたりと、極端なテスト条件にさらされている」そうです。
「いずれも火災や爆発には至らなかった」とBYDは主張していますが、このブレードバッテリーは、「爪」によるひっかき試験で「500℃を超え、激しく燃えた」ともいわれています。
BYD製ブレードバッテリーの性能
急速充電入力をより長く維持できるようになると、今度は寿命に関する悪い影響が生じると考えられるのですが、BYDはCATLとは異なる化学物質や最適化の工夫を施している可能性もあります。ブレードバッテリーを搭載して販売されるBYDのSUV「唐(Tang)」は、寿命に関して、宣伝資料の中でいくつかの安心感を与えています。
「ブレードバッテリーの寿命については、3,000サイクルの充放電で120万kmを突破し、ブレードバッテリーを搭載したBYD 唐(Tang)の主要性能は、1回の充電で505km(NEDC基準)、0-100km/h加速はわずか4.6秒です。BYD 唐(Tang)に搭載されたBladeバッテリーは、30分という驚異的な短時間で30%から80%まで充電し、直流充電出力は110kWです。」
上記のようにBYDは発表しており、新モデルYの充電速度172kWは当然といえば当然かもしれません。
CATLのM3Pバッテリー
しかし、テスラは、エネルギー密度と充電速度に優れる次世代M3Pリン酸バッテリーについてCATLと話し合っていると噂されており、モデルYにおけるBYDとCATLの戦いはまだ終わっていないかもしれません。
残念ながら、現地のフォーラムによると、テスラがBYDバッテリー搭載モデルYを適切に登録しなかったため、当面の間、配送納車を停止しているとのことです。新モデルYは、フロント及びリアのメガキャスティングという構造的な違いだけでなく、ボンネット内の駆動系の変更も多いため、新たに登録する必要があるようで、BYD製バッテリー版モデルYを試乗したい方は、テスラの登録に関する難問が解決されるまで待つ必要があるのとのことです。
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