日本国内に海外から輸入される自動車については、業界団体日本自動車輸入組合(JAIA:Japan Automobile Importers Association)が月次速報としてまとめて統計情報を公表しています。この統計情報から、日本国内で一体テスラが何台売れているのか?を推計してみたいと思います。
世界中で戦略的な値下げ
テスラは世界中で国別、モデル別の納車製造台数を公表していません。先日4月2日に発表されたのは2023年第1四半期のモデル3/YとモデルS/Xの納車・製造台数となっています。
具体的には、テスラは2023年1月から3月にかけて、モデル3/Yを421,371台、モデルS/モデルXを19,437台、合計440,808台生産しました。また、テスラは同時期にモデル3/Yを合計412,180台、モデルS/Xを10,695台、合計422,875台を納車しました。
2022年の年末にかけては、テスラ最大の需要国である米国や第2位の中国市場において、テスラ車への需要減退から、昨年8月後には40万台以上あった受注残台数が、極めて低い水準まで落ち、中国では納期もわずか1週間というところまで短くなっていました。
そうした状況の中で、テスラは2023年1月初旬から世界中で全モデル(といっても4つしかないですが)の大幅な値下げに踏み切ったのです。その値下げを受けて世界中で(日本を除いて?)テスラ車の売れ行きが増加しています。
グラフを見てわかるように2023年第1四半期は過去最高の納車台数を記録し、2022年第4四半期の405,278台を4%上回り、昨年同期比では36%も増加するという結果になりました。
中国の一部の新興EVメーカーを除いて、比較的大きな既存自動車メーカーはコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの影響によりサプライチェーンの混乱や半導体不足などにより、販売台数が低迷している中なので、テスラの好調さが際立つ結果となっています。
世界で進むEV化
先日トヨタの新社長がEV化の前倒しに言及していましたが、このグラフは各国の乗用車に占める電気自動車の割合の変化を示したものです。
欧州はノルウェーの電動化が非常に進んでいるので有名ですが、少し景気低迷している中国を追い抜いて、ドイツや英国も相当な勢いで電動化が進んでいる様子を見ることができます。
ちなみに、日本をこのグラフに付け加えるとなんとBEVの割合はおよそ2〜3%になるので、日本の自動車メーカーにとっても、そして消費者にとっても相当危機的な状況といえるでしょう。
2023年モデルYは世界で最も売れる「クルマ」に
先程の各国のEVシェアのグラフで、それぞれ最も売れているのがテスラモデルYです。特に、2022年3月下旬から本格稼働を開始したギガベルリンのあるドイツや欧州各国の販売台数が伸びています。
これは、それまでギガ上海工場で作ったEVを欧州に輸出して需要に応えていたものが、現地生産できることも影響しているでしょうし、先程の今年に入っての大幅な値引きも効果を発揮していると考えられます。
上記の記事にあるように、英国では全乗用車の中で、2023年3月1位、2023年累計は4位にランクイン、スウェーデンでも2023年第1四半期最も売れたクルマになりました。ガソリン車も含めたランキングなので、非常に興味深い結果となっています。
日本国内のテスラ販売台数は…
先述のようにテスラは、国別・モデル別の販売台数を公表していません。日本国内に海外から輸入される自動車については、業界団体日本自動車輸入組合(JAIA:Japan Automobile Importers Association)が月次速報として公表しています。
その車種リストの最後に、「Others」(その他の車種)という項目があり、テスラ車はこの「Others」に計上され、この台数の内数になっているとのことです。この「Others」の中には、上記のリストにない最近流行りの小型中国製EVなどの含まれると思いますので、今回の数字は「Others」の中から「小型」(テスラは小型が無いので)を除いた台数をそのまま使っています。そういう意味では、正確な数字ではなくおよその数字(この統計数字よりは少ない)ということになります。
非常に「恐ろしい」ことに、テスラは日本では売れてません。上記のような世界的なEV化の波があり、更にいろんなものが値上げされている中で、大幅に値下げされたにも関わらず、2023年第1四半期は2022年第1四半期と比較して2.3%減少しています。
2022年第1四半期が1,423台なのに対して2023年第1四半期は1,390台となりました。また、前四半期2022年第4四半期が2,439台ですので、世界のテスラ販売では日本市場は明らかに足を引っ張る存在と言えるでしょう。
この結果をどう評価するかは色々あると思いますが、明らかに日本市場は家電やスマホとおなじような「ガラパゴス」に突き進んでいるように思われます。
最後に、4月7日に米国では再び全ラインナップの値下げを実施しました。これに先行していたのは豪州ですが、これまでのテスラの動きを見ていると日本でもさらなる値下げがあるかもしれませんので、その際はもう少し売れる?のですかね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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