2022年、日本国内でテスラは一体どれほど売れたのか?テスラの国内販売台数を推計してみた

tesla-deliveries-in-japan-2022 TESLA Blog
スポンサーリンク

日本国内に海外から輸入される自動車については、業界団体日本自動車輸入組合(JAIA:Japan Automobile Importers Association)が月次速報としてまとめて統計情報を公表しています。今回は、前回に引き続き、この統計情報から、日本国内で一体テスラが何台売れているのか?を推計してみたいと思います。

テスラの需要減退

テスラ社は、国別の販売・納車台数も公表していませんし、実はモデル別の販売台数も公表していません。公表しているのは決算資料にあるモデル3とモデルY、及びモデルSとモデルXをそれぞれ合計した製造台数と納車台数です。

2022年第4四半期の製造・納車台数

上記の表のように世界中で2022年第4四半期で製造されたテスラ車はとなっており、それぞれ製造が約44万台、納車がおよそ41万台という結果です。この結果を受けて去年大暴落したテスラ株が、更に大幅に価格を下げて100ドル割れ寸前のところまで行きました。

TSLA TSLA
2022年累計の製造・納車台数

そしてこの2022年第4四半期の結果を受けて、2022年累計では約131万台の納車という結果で、もともと目標としていた年率50%の成長(昨年が93万台なので約140万台)には大きく届かいないという結果も、株価を一段と下げる要因となりました。

一方で、テスラは世界中で(日本でも同じ状況でしたが)度重なる値上げを実施していたのですが、これまでのように作れば売れる、という状況が一変してバックオーダーがどんどん減って納車時期が短縮され、去年の12月ごろは中国では納車即日、というような状況となりました。

少し考えればわかるのですが、上記の製造台数と納車台数の乖離は要するに「作りすぎ」「売れていない」という状況を表しており、こうした状況から年始の1月6日に中国から始まって、日本、韓国、豪州といったアジア諸国の思い切った値下げが開始され、最終的には米国、欧州でもアジア諸国と同程度以上の値下げに踏み切ったという状況です。

この値下げの動きはあくまで2023年の販売に効いて来ますので、1月25日に開催される2022年第4四半期と通年の決算発表会で、なんらかの言及がされて、良い方のサプライズに期待したいものです。

公式な統計情報はない

本来であれば、公的な情報によりテスラの輸入台数の正確なところも判明するはずなのですが、JAIAの統計情報には「TESLA」の項目がありません。理由は定かではないですが、下記の輸入車リストがこの統計情報に掲載されている車種の全てとなります。

Mercedes-Benz Land Rover Chevrolet Lancia
VW Mitsubishi Scania Buick
BMW ABARTH Lotus Pontiac
Audi Jaguar McLaren Mini
BMW MINI Alfa Romeo Rolls Royce Bugatti
Toyota Ferrari Aston Martin Detomaso
Volvo Maserati smart Hummer
Nissan DS BMW Alpina Maybach
Jeep Lamborghini Autobianchi Kia
Peugeot Mazda GMC Opel
Honda Ford Morgan Others
Porsche StreetScooter Rover  
Renault Cadillac Unimog  
Fiat Volvo Truck Chrysler  
Citroen Bentley Hyundai  
Suzuki Dodge MG  
日本自動車輸入組合の車種一覧

上記の車種リストの最後に、「Others」(その他の車種)という項目がありますが、テスラ車はこの「Others」に計上され、この内数になっているとのことです。この「Others」の中には、上記のリストにない最近流行りの小型中国製EVなどの含まれると思いますので、今回の数字は「Others」の中から「小型」(テスラは小型が無いので)を除いた台数をまとめています。そういう意味では、正確な数字ではなくおよその数字(この統計数字よりは少ない)ということになります。

日本で販売されるテスラ車はギガ上海製

現状日本で新車で納車されているテスラは、モデル3とモデルYの2車種だけです。フラッグシップセダンのモデルSやSUVのモデルXは新型へリフレッシュした以降、日本では公式に納車されていません。この2モデルは現状米国カリフォルニア州フリーモント工場でのみ製造されており、一方で日本市場の輸出元である中国ギガ上海工場は、モデル3とモデルYのみ製造している拠点ということも関係しています。ただ、モデルS・Xは中国や欧州でも納車が始まっているようなので、今年中には日本国内でも納車開始してほしいものです。

また、今回の統計データは6月にようやく発売されたモデルYも登録台数に入った初めての合計ということになります。

2022年累計ではわずかに増加

下のグラフが、上記の「Others」のうち小型を除いた乗用車の輸入登録台数で、見ていただくとよく分かるのですが、月ごとに非常に大きな台数の増減があります。(緑色の棒グラフが2022年)

日本国内の月別テスラ販売台数(推計)

これは、テスラ社が各四半期を一つのサイクルとして捉え、例えばギガ上海では四半期のはじめに輸出向けテスラ車を製造し、四半期の後半に中国国内向けに製造・納車を集中さていることによります。つまり、四半期の前半で上海で製造された車が輸出され日本国内で(他の国でも)納車されるのが当該四半期の後半に納車が集中する理由です。特に2022年の上半期はこの傾向が大きくなっています。

更に、2022年は6月にモデルYが日本国内でも販売開始され、納車が9月に始まりましたので緑色のグラフを見ていただくと9月以降は比較的コンスタントに納車されています。

つまり、どんどん値上げが実施されていたモデル3は、日本国内でも需要が減退していたところに6月のモデルY発売開始、9月納車開始でようやく持ち直した、というように分析できると思います。年間では2021年が5,169台、そして2022年が5,837台となっていますので、わずか12%の増加という寂しい結果です。

世界累計では目標には届かないと言っても、年率で40%も増加していますので、待望のモデルYが発売されてこの結果は、日本国内のEV後進国ぶりを表していて危機感すら感じさせる結果です。今年に入って日本国内でも大幅に値下げされていますので、大幅な販売台数増加に期待したいものです。

テスラ関連の最新記事を毎日AM7:00にアップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。

 グーグルニュースでフォローする

※免責事項:この記事は主にテクノロジーの動向を紹介するものであり、投資勧誘や法律の助言などではありません。また、記事の正確性を保証するものでもありません。掲載情報によって起きたいかなる直接的及び間接的損害に対しても、筆者・編集者・運営者は一切責任を負いません。また、運営者はテスラ株式のホルダーです。

コメント

  1. […] 2022年、日本国内でテスラは一体どれほど売れたのか?テスラの国内販売台… […]

タイトルとURLをコピーしました