テスラが自動車生産用の一体鋳造で画期的な進歩を遂げたとの報道がありました。テスラ社は、電気自動車の複雑な下部のほぼ全体を完全に一体でダイカスト（鋳造）することを可能にする革新的な技術に近づいています。
新たな技術的ブレークスルー
おもちゃの車のように簡単に自動車を作るというビジョンを実現し続けようとしているテスラ社ですが、今回ロイター通信がこの件に詳しい複数の関係者の話を引用して報じたところによると、同社は数々のイノベーションを組み合わせることで、新たな技術的ブレークスルーを実現したとのことです。この技術革新は、電気自動車の生産方法を変革し、生産コストを半分にするというテスラの目標を達成するのに役立つ可能性があります。
テスラは以前、イタリアのIDRA社と共同で、クランプ力6,000トンと9,000トンの超大型アルミ鋳造機「ギガプレス」を開発しました。これにより、テスラは自動車（今のところモデルY）のフロントとリアのアンダーボディ部品を一体で生産できるようになりました。この2つの部品は多くの細かい部品を代替し、真ん中のストラクチャラル・バッテリーパックによって結合され、生産コストと車両デザインの両方で多くの利点をもたらします。
おもちゃのクルマと同じ作り方
Credit:IDRA
テスラは現在、電気自動車の複雑なアンダーボディのほぼ全体をダイキャスト鋳造できるようにする技術革新に近づいていると、テスラ内部の5人の情報筋が語っているとのことです。つまり、一般的な自動車で使用される約400個もの部品を1つの大きな部品で置き換えることができるようになる技術ということです。実はこれ、イーロン・マスク氏が以前言及したように、おもちゃの車（ミニカー）が作られる原理と同じものです。
この発明は、今年3月に開催された投資家向けイベント「インベスター・デー」で紹介された「アンボクスト」製造戦略の基礎となっています。今後10年間で、利益を上げながらより安価な電気自動車を何千万台も生産するというテスラの計画の鍵となる製造技術です。
米エンジニアリング会社ケアソフト・グローバルのテリー・ウォチャウスキー社長は、テスラが自動車の下半分のほとんどをギガキャスト化できれば、「自動車の設計・製造方法をさらに破壊することになる」と指摘しています。
「それは禁断の技術です。業界にとって大きな意味を持ちますが、非常に難しい課題です。鋳造は非常に難しく、特に大型で複雑なものほど難しいのです。」
2人の情報筋によると、テスラの新しい設計と製造技術は、同社が18～24カ月でゼロから自動車を開発できることを意味するとのことです。現在、ほとんどの競合他社はこのプロセスを完了するのに3～4年かかるため、これは大きな競争優位性を意味します。
ロイター通信の5人の情報源はいずれも、フロントとリアのパーツとバッテリーのある中央のアンダーボディを組み合わせた単一の大きなフレームが、テスラの廉価版電気自動車に使用される可能性があると述べています。同社はギガ・テキサスで新車モデルの生産を開始し、その後ギガ・メキシコで生産を拡大する計画ということが分かっています。インド工場が建設されれば、新プラットフォーム搭載車の生産拠点にもなる可能性もあります。
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