時価総額はトヨタの4倍、世界で躍進するテスラ車は日本国内でどれだけ売れているのでしょうか

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日本国内に海外から輸入される自動車については、業界団体日本自動車輸入組合(JAIA:Japan Automobile Importers Association)が月次速報としてまとめて統計情報を公表しています。今回は、前回に引き続き、この統計情報※から、日本国内で一体テスラがおよそ何台売れているのかをまとめてみました。

※テスラは国別、モデル別の販売台数を公表していません。この記事で取りまとめているテスラ車の推計台数はJAIAの公表するメーカー別の台数の内、「others」(その他)の台数の「小型車」を除いた台数を概ねテスラ車と推計したものです。

世界では急速に販売台数が増加

下のグラフは、4半期ごとのモデル3/YとモデルS/Xの販売(納車)台数の推移です。赤の折れ線グラフは4半期ごとの増減率を表していますが、概ね右肩上がりで推移しているのが見て取れると思います。テスラは、中長期の目標として年率50%の成長、つまり毎年前年度の1.5倍のEVのを販売することを目指しています。

昨年度の納車が131万台の納車台数ですから、その1.5倍の196.5万台が今年度の目標でも良いのですが、そこは原材料費の高騰など直近のマクロ経済の影響も加味して180万台が今年のオフィシャルな納車目標となっています。

そして、6月末で第2四半期が終わり、テスラは世界中でこれまでで最高となる466,140台ものモデル「S・3・X・Y」を納車しました。

実はテスラ(イーロン・マスク)は、2030年に年間2千万台のEVを納車するというのが長期の目標です。これについて、かつてイーロン・マスクCEOは以下のように述べています。

「『2030年までに年間2,000万台』というのは、約束ではなく『志』です。このような目標を掲げる理由は、世界には約20億台の乗用車とトラックがありますが、持続可能なエネルギーと電化に本当に貢献するためには、少なくとも年間1%の車両を電動に置き換えなければ意味がないと思うからです。2,000万台という数字はそこからきているのです。」

日本での販売状況

下のグラフが、日本国内でのテスラ車の販売状況推計です。赤い棒が2023年なのですが、世界右肩上がりの販売状況と比較するまでもなく「一向に売れていない」という状況と言えるでしょう。

日本国内のテスラ販売状況の推計

確かに、昨年の第2四半期の887台と比較すると、2023年の第2四半期は1234台ですから、およそ1.4倍の売れ行きということも言えるのですが、これは昨年ノコの次期は世界的にコロナ禍に振り回され、実際に日本に輸出されるテスラ車製造拠点であるギガ上海も中国政府のゼロコロナ政策によって一時創業停止に追い込まれていたという状況です。

その後、「世界で最も売れるクルマ」になりつつあるモデルYが昨年6月に予約開始、9月下旬から納車が始まったにも関わらず「一向に売れていない」状況と言えるでしょう。

ちなみに、このモデルYは2023年第1四半期累計の販売台数で、トヨタカローラを抜いて1位になっているクルマです。

少子高齢化とか車離れとか言われていますが、日本は米国、中国、インドに次いで世界で4番目に自動車販売の多い国です。このようなテスラの販売不振に対して、いくつかテスラ日本も手を打ちつつありますので、それを簡単に紹介しましょう。

インフレ・円安の中でも値下げ

2023年上半期の販売状況の低迷を見るに見かねてか、この第3四半期が始まった7月1日に日本国内で値下げに踏み切りました。どちらかというと、原材料費の高騰や極端な円安などを受けて物価があがり値上げのトレンドの中で、モデル3は概ね3%、モデルYは概ね4%も値下げされています。

スーパーチャージャーの拡大

日本国内でEV販売の拡大が遅々として進まない一つの大きな理由として、EV充電インフラが非常に貧弱だということがあります。こうした状況を踏まえてか、最近テスラ専用の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーの日本国内における設置箇所が勢いよく増えていってます。

この2023年6月末時点で、テスラ スーパーチャージャーは日本国内で9箇所がオープンし、合計79箇所、390基となっています。まだまだ、日本国内津々浦々というような状況とは程遠いですが、間違いなく増加の勢いはましている状況です。

こうしたことに加えて、最近大手コンビニエンスストアであるファミリーマートが、自社のコンビニの駐車場にスーパーチャージャーを誘致してくことを表明するニュースもあります。

紹介プログラムの強化

テスラは昔から広告費を一切使わないことで有名です。一方で、イーロン・マスク氏がツイートする内容もさることながら、紹介プログラム(リファラル・プログラム)を使った口コミマーケティングに力を入れています。

今月に入ってこの紹介プログラムの内容が刷新され、実質的な値下げの追加と特典の強化が行われました。

こうした措置が、どれほど効果があるかわかりませんが、今後モデル3「プロジェクト・ハイランド」と言われるリフレッシュ版の登場や、米国ではサイバートラックの納車開始、より一層の廉価版モデルと言われるいわゆる「モデル2」など、世界的には、色々目白押しなのです。日本はテスラの売れ行き不振に見られるように、このままEVでも家電やスマホと同じように世界の後塵を拝することになるのでしょうか。

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