テスラの新工場ギガファクトリー・ベルリンでは高品質なモデルYを生産

giga-belrin-fy22 TESLA News
Credit:Tesla
スポンサーリンク

テスラ・ギガファクトリー・ベルリンが最高級で高品質のモデルYを生産していると、ニュー・ストリート・リサーチのアナリストが工場視察後に結論づけました。同社はTSLA(NASDAQ:TSLA)1株あたりの目標株価を現在の株価の約2倍となる530ドルとし、「買い」のレーティングを継続しました。

複数の投資会社のアナリストが今週、テスラ・ギガ・ベルリンを訪れ、テスラのIR責任者であるマーティン・ビエチャ氏と面会しました。ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ピエール・フェラグ氏もテスラの欧州工場を独占的に見学する機会を得て、そこで生産されるモデルYに試乗しました。フェラグ氏はこの調査結果をクライアントへのレポートで紹介しています。

クルマの品質

フェラグ氏は、ギガファクトリー・ベルリンで生産されたモデルYのクオリティに愕然としたと書いています。米国カリフォルニア州フリーモント工場製のようなものになると予想していましたが、評価の結果、その品質はドイツの高級車と十分に同等であり、すでに高級車の仲間入りを果たしていることがわかったということです。こうした品質面での改善の主な要因は、テスラが他の工場で培った経験だと分析しています。

「インテリアのデザインはフリーモント製とほぼ同じでシンプルですが、張地や全体の仕上げの質ははるかに優れていて、完璧です。先ほども言いましたが、ドアを操作し、パネルの隙間を観察し、塗装や色彩を評価できる作り込みは、驚くほど素晴らしいものでした。なぜ、そんなことが可能になったのでしょうか?確かにドイツという土地柄もあるでしょうが(ローカルスキルが重要!)、単純に経験値が大きいというのが私の印象です。ベルリンはフリーモントに比べて格段に進歩した工場であり、そこから生み出される製品の品質と同様に、そのコスト効率にもそれが表れています。」

コスト・コントロールの実際

フェラグ氏は、フリーモントの工場と比較して、ギガ・ベルリンは明らかに効率的であるという結論に達しました。工場内の物流は、工場を四方から取り囲むようにドックが配置され、部品が生産工程の適切な場所に届くように配慮されているため、はるかにアクセスが容易になっています。1本の製造ラインは45秒のサイクルタイムで設計されており、フル稼働で週に1万台の車を製造することが可能です。

ギガ・ベルリンの車両は超大型鋳造機「ギガ・プレス」による一体型のリア鋳造部品、メガキャスティングで生産され、新型の4680バッテリーセルが入手可能になり次第、この一体型鋳造部品はリアだけでなくフロント部品にも適用されます。

また、このアナリストは、メガキャスティングに加えてバッテリーと自動車の筐体構造を一体で造るストラクチュラル・バッテリーパックによる生産は、コスト、工場の設置面積、溶接のためのロボットの数を大幅に削減し、より簡単な組み立てを可能にすると述べています。

「方向性は明確です。テスラは着実にコスト改善を実現しています。私の指摘している最初の2つのポイント、『メガキャスティング』と『ストラクチャラル・バッテリーパック』によって、テスラは時間をかけてより安く、より良い製品を作り続けているという結論になります。これは、通常、収益性を拡大するための良いレシピです。余談ですが、メガキャスティングは製造コストを下げるだけでなく、車の重量を減らし、安全性を高め、製品品質を向上させます。」

このアナリストによると、ベルリン工場での自動車1台あたりの正味生産時間は10時間、一方、前フォルクスワーゲンCEOであるヘルベルト・ディース氏によると、フォルクスワーゲンの主要工場では30時間かかると述べている、ということです。この事実は、まさにテスラの生産効率の高さを物語っています。

実際の競争力

テスラは製造コストを目に見える形で大幅に改善し、今後10年間はそれを継続し、競合他社がテスラのペースについていくことは非常に困難であるという状況です。このアナリストは、スペースXと共同開発した合金から一体成型の鋳物を製造しているギガプレスによるメガキャスティングの例を挙げています。当然、他の自動車メーカーはこれまで大きな鋳造部品を作ろうとしてきましたが、成功せずにあきらめたというのが実際です。

giga-belrin-inside-09
ギガベルリン工場のメガキャスティング(リア)
https://youtu.be/IO5XC1x27gg

フェラグ氏は、ギガ・ベルリンを訪問した時には、ギガプレスは動いていなかったが、工場には大量の鋳造部品があったことを指摘しています。これは、テスラの鋳造技術がすでに非常に成熟しており、他の生産チェーンよりも速く鋳造品の量が増えていることを示しています。

短期的な勢い

ギガ・ベルリンの生産の立ち上がりについて、テスラは10週間前に、この新設工場の生産能力が週1,000台に達したと発表しました。

フェラグ氏は、同工場が年内に週5,000台の生産能力に達することは容易ではないにせよ、可能であると予想しています。モデルYの生産能力10,000台/週は、2023年のある時点で可能になると予想されます。さらに、ギガ・ベルリンが同様の生産ラインをもう1つ追加・拡張し、年間50万台を生産することが期待されている状況です。

新型4680バッテリーセルとストラクチュラル・バッテリーパックにより、フロントメガキャスティングの準備は整っており、あとはストラクチュラル・バッテリーパックと4680セルの入手を待つのみ、と結論づけています。バッテリーの生産棟は「よく進んでいる」ように見えるとレポートしており、数カ月にわたる同社の観察と継続的な対話に基づき、数カ月から長くて四半期でベルリンのモデルYに4680セルが搭載されると予想しています。

需要と収益性についてフェラグ氏によると、ギガファクトリー・ベルリンは現在、モデルYパフォーマンスの黒と白のバージョンしか生産していない状況です。これは最もニーズの高いオプションであるため、工場は「最高のASP(平均販売価格)と低コスト」という想像しうる最も収益性の高いセットアップで増産していることを示しています。

より広い視野

このアナリストは、テスラが数年前の予想をも上回る未曾有の需要に直面していることを強調しています。電気自動車は非常にニーズが高い状況になっており、テスラやその競合他社にとって、市場シェアは主に販売台数を増やす能力によって決まります。テスラは今年、年率50%の増産に取り組み、2030年までに2,000万台の販売を目指しています。フェラグ氏は、この目標の達成が困難であることを認めつつも、同社が達成できない理由はないとも強調しています。

テスラが業界で圧倒的に優れたコスト構造を持ち、それを速いペースで改善していることを指摘し、これらはすべて、「株主にとっての大きな利益となる高収益の成長」を意味します。

フェラグ氏は、ニュー・ストリート・リサーチの「買い」評価を継続し、目標株価を530ドルとし、これは最近の3:1分割前に換算すると1590ドルという水準となります。

この記事はこのサイトを引用・翻訳・抜粋・編集して作成しています。

テスラ関連の最新ニュースをほぼ毎日アップしていますのでこちらを参照ください。

 グーグルニュースでフォローする

※免責事項:この記事は主にテクノロジーの動向を紹介するものであり、投資勧誘や法律の助言などではありません。また、記事の正確性を保証するものでもありません。掲載情報によって起きたいかなる直接的及び間接的損害に対しても、筆者・編集者・運営者は一切責任を負いません。また、運営者はテスラ株式のホルダーです。

タイトルとURLをコピーしました