2024年モデルbZ4Xの世界公開の場で、トヨタ幹部はオーストラリアのような国では電気自動車は意味をなさないと主張しました。一方、この地域でベストセラーのEVであるテスラのモデルYは、その考えが間違っていることを明らかに証明しています。
ハイブリッドの方が適している
トヨタ・オーストラリアの販売・マーケティング・フランチャイズ担当副社長、ショーン・ハンリー氏は2023年10月25日水曜日、取材記者に対し、以下のように語りました。
「現在、ほとんどの消費者にとって、ハイブリッド電気自動車はBEV(バッテリー電気自動車)よりも適しているのです。」
多くのトヨタ幹部がそうであるように、ハンリー氏もトヨタが得意とするハイブリッド技術を推し続けています。
「BEVはほとんどのエネルギーが再生可能エネルギーで、所得が高いノルウェーのような国では、意味をなすのですが、一方でオーストラリアは欧州(のような状況)ではありません。」
これはオーストラリアのEV市場が熱を帯び始めている中でのコメントです。トヨタは長年オーストラリアのハイブリッド市場をリードしており、昨年は同地域におけるハイブリッド車の販売台数の90%近くを占めています。オーストラリアは現在EV化の波に遅れており、昨年の自動車販売台数に占めるEVの割合はわずか3.8%でしたが、今年は勢いを増しつつあります。
2023年のEV販売台数は80%増加し、6万5,000人以上のユーザーが電気自動車を購入しています。BYDのAtto 3のような中国からの新しい手頃な価格のEVのおかげで、電気自動車は現在、オーストラリアの新車販売台数の昨年比倍増の7.3%を占めているという状況です。
モデルYが覆すトヨタのEV懐疑論
ハンリー氏のコメントとは裏腹に、電気自動車はオーストラリアで勢いを増しています。実際、テスラのモデルYは、9月までのSUV(内燃機関車を含む)のベストセラーです。そしてさらにモデルYはすでにトヨタのRAV4、フォード・レンジャー、マツダCX-5を抜き、全米で最も売れているSUVになっている状況でもあります。
オーストラリア政府は、EVの普及を促進するため、4月に新たな国家電気自動車戦略を導入しました。同戦略の主な目標は以下の3つです。
- 手頃な価格のEV供給数を増加
- EVの急速な普及を可能にする資源、システム、インフラの確立
- EVの需要拡大を促進
手頃な価格のモデルがいくつか市場に出回り、ゼロ・エミッションの選択肢に対する需要が高まっていることから、この戦略はうまく機能しているようです。
ハイブリッドに対する熱意とは裏腹に、ハンレー氏は「ハイブリッド車をBEVの代わりに、どこでも、いつまでも使うべきだと言っているわけではありません。」とも言っています。彼は、トヨタが新しい開発センターを設けるなど、「電気自動車技術の進歩を加速させている」とも主張しています。
トヨタは2026年までに、新しいEV専用プラットフォームを立ち上げ、新たに10車種の電気自動車モデルを投入する予定とされています。同社は2月、オーストラリアで初のEV、bZ4Xの販売を開始し、トヨタ・オーストラリアは、2026年までに少なくとも3台のEVを投入する予定とのことです。
ハンリー氏がEVに反対の姿勢を示したのは、今回が初めてではありません。新しいEV戦略を発表した後、トヨタの販売部署のボスは、以下のように語っています。
「車の選択肢を減らすことなく公害を削減できるような、余裕のある時間枠を持つ基準をロビー活動で求めていくつもりです。」
つまりトヨタは、ハイブリッド車にもうしばらく頑張ってほしいのだと思います。ハンリー氏は、オーストラリアのほとんどの州(および中国など他の国)では、発電がいまだに化石燃料に依存していることを強調し、性急なEV化に警鐘を鳴らしているということです。
しかし実際には、オーストラリアは急速にクリーンな未来に向かっています。同国は、再生可能エネルギーの割合を、昨年の約32%から2030年までになんと82%まで引き上げる計画です。オーストラリアの太陽光発電設備容量は、2018年以降200%以上増加し、昨年は再生可能エネルギー生産国として世界第6位にランクインしました。
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