「フォードは本当に問題を抱えている」 EV在庫の増加でディーラーが指摘、EV在庫問題に直面

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Credit:Ford
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フォードは既存自動車メーカーの中では比較的EVに強気です。生産台数を増やし、これまで数十億ドルを投資しています。しかしどうもフォーその代表的なEVであるマスタングMach-EとF-150ライトニングの在庫を減らすのに苦労しているようです。

フォードEVへの需要減退

調査分析会社クラウド・セオリーによると、フォードのディーラーは、昨年の今頃よりも明らかにフォードのEVの販売台数を減らしています。

それによりフォードは電気自動車の在庫問題を抱えているようです。

フォードのEVの野望がまだ需要を上回っている兆候として、同社の販売台数、EVの供給量、ディーラーのセンチメントはすべて、ディーラーが販売できる台数よりも多くのマスタングMach-EとF-150ライトニングピックアップトラックを抱え込んでいることを示しています。

マスタングMach-E

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分析会社クラウド・セオリーのデータによると、フォードのディーラーは2022年第2四半期にMach-Eの在庫の86.4%を30日以内に販売しました。一方で、フォードのMach-Eの2023年第2四半期販売台数は、昨年(10,941台)から今年同期(8,633台)へ21%も減少しました。

フォードの米国販売台数分析責任者エーリッヒ・マークル氏によると、米国内の6月までのEV販売台数は12%近く増加しています。また、売れ残ったマッハE在庫は、輸送に多くの時間を費やしたため、ディーラーロットでただ眠っているわけではないとのことで、マッハE未納車の約52%はまだ輸送中となっています。

F-150ライトニングピックアップトラック

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F-150ライトニング

クラウドセオリーのデータによると、F-150ライトニングの納車台数は、生産がまだ立ち上がっていなかった昨年と比較すると今年も増加しているのですが、販売台数は減速している模様です。同社によると、昨年第2四半期にはライトニングの在庫の70%を30日以内に販売できたのですが、今年に入ってからは39.3%しか30日以内に販売できていないとのことです。

EV事業は今後3年間は赤字

フォードは今年、60万台のEV生産を目標としています。しかし、新しいプログラムに500億ドルを投入する一方で、その過程で少なくとも30億ドルの損失を見込んでおり、おそらく3年間はこのセグメントで利益を上げることはないでしょう。実際、販売するEV1台あたり約5万8,000ドルの赤字(発売後数年間は異常ではない)。テスラの価格競争に追いつくための多額のリベートや急な値下げも、収益性の助けにはなっていない状況です。

同時に、高額で通常は不採算の車を販売するために、「EV認定」を受けるために50万ドルから100万ドル以上の出費をディーラーに要求しています。

EV離れが進むディーラーも

東海岸のあるフォードディーラーはInsiderに対し、フォードがEVに強気で投資しているにもかかわらず、現在の生産台数は顧客の需要に見合っていないと指摘しています。(このディーラーは、仕事上の影響を懸念し、匿名を条件にInsiderの取材に応じました。彼らの身元はInsiderに知られています)

「私は、フォードがおこなった賭けに基づいて、彼らが原因で本当の問題を抱えていると思います。ライトニングの在庫もマッハEの在庫もあります。こんなことは初めてです。」

フォードのディーラーは、ディーラーのニーズと特定の市場の需要に基づき、フォードの組立工場から毎月割り当てを受けます。フォードのEV販売台数はフランチャイズ法に違反するとして、一部のフォード・ディーラーはEV割り当てを非難しています。

話を聞いた他のフォード・ディーラーは、フォードからのマッハE割り当ての一部を辞退したという逸話があるとのことです。

「生産台数は需要を上回っていると思います。逆にEV以外のモデルは断りませんでした。」

マー クル氏は、ディーラーがMach-Eの割り当てを断っているかどうか、すぐには認めませんでした。

最初の成長痛を抱えるEV市場

EVの生産と需要のマッチングに苦戦しているのはフォードだけではありません。電気自動車の販売台数で世界トップのテスラでさえ、今年は在庫の肥大化に悩まされ、値下げやスーパーチャージャーのマイレージキャンペーンを繰り返しています。

フォードのライバルで、電動化に数十億ドルを投資しているGMも、電気自動車の販売台数は非常に少ない状況です。6月までにGMが販売したキャデラックのEVは2,316台、ハマーのEVは49台。ハマーについては、前年同期の371台の販売台数との比較でも非常に少なくなっています。

これは、業界がアーリーアダプター市場を超えた今、EVにとって今後5年、10年がいかに困難なものになるかを反映している、と業界アナリストは述べています。iSeeCarsのエグゼクティブ・アナリスト、カール・ブラウアー氏はInsiderに対し、米国の自動車業界がEVの販売台数で市場の10%に近づくにつれ、困難な抵抗が現れているち指摘しています。

「市場シェアが7%から10%の間のどこかに、自然な抵抗があるようです。それが上限のようで、それ以上伸ばすのはかなり難しくなります。」

ライトニングの注文はまだ埋まらず

ライトニングに関しては、フォードは2021年末時点で20万台以上のライトニングの予約を受け、3年間の受注残が発生する見込みだと発表していました。フォードはこの春、予約のない人のためにライトニングの注文を再開しました。

しかし、中西部のあるフォードディーラーは、匿名を条件にInsiderの取材にも応じており、多くのライトニングの注文がまだ完了しないまま長期間放置されていると述べています。これでは、ライトニングが最終的に納車される前に、注文者は別のEVを手に入れる時間がたっぷり残されていることになります。

こんな事をしているとライトニングがディーラーに納車される際に問題を引き起こす可能性があると、この中西部のディーラーは述べています。多くのEV販売業者は、予約注文した購入者をフォードEVのオーナーに変えるのに苦労しています。

この記事はこの投稿を引用・翻訳・一部補足・編集して作成しています。

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