いつも最後は「全固体バッテリー」、トヨタのEV躍進の切り札は一体いつ実現するのでしょうか?

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先日、大手メディアが報じたところによると、トヨタ自動車は全固体バッテリーで画期的な進歩を遂げ、近い将来電気自動車に革命をもたらす可能性がある、とのことでした。しかし、この件は少し眉に唾してに見るべきものです。トヨタはこの「全固体バッテリー」に関して、10年以上前からこの種の約束を果たせていないという歴史があるからです。

10分の充電で1200kmの航続距離

「トヨタ、電気自動車で大逆転する可能性のあるバッテリーでの躍進を主張」という見出しの記事が、今週『ガーディアン』紙に掲載されました。この記事では、トヨタはわずか10分の充電で、航続距離1200kmの全固体バッテリーを作ることができると考えている、とのことです。

記事では、トヨタ自動車が2025年までに新しい全固体バッテリーを搭載した電気自動車を発売する計画を進めていると述べています。これが本当に実現すれば素晴らしいことです。しかし現実を見ると、トヨタ自動車が2023年上半期に生産した電気自動車はわずか8000台です。また、トヨタは全固体バッテリーや水素技術の画期的な開発についての輝かしい未来を語る一方で、実際の生産には踏み切れないという過去があります。

2009年からの計画はまだ実現しない

トヨタの全固体バッテリーに関するこれまでの「実績」は、本日、気候・エネルギー研究者のケタン・ジョシ氏によってツイッターで取り上げられました。そこではなんと2009年までさかのぼるトヨタの未実現バッテリーの件のスクリーンショットが投稿されました。

皆さん、こんにちは!
トヨタの言うことは、その技術が販売台数の30%以上を占めるまで、真に受けてはいけません。

2017年のフォーブスの見出しに「超高速充電の全固体EVバッテリーが間近、トヨタが認める」というものがあります。

“ULTRAFAST-CHARGING SOLID-STATE EV BATTERIES AROUND THE CORNER, TOYOTA CONFIRMS”. SOURCE: FORBES

また別の14年前の別の見出しは、「トヨタがより効率的なバッテリーを開発、容量10倍向上も可能」とあります。

「日経新聞の試算が正しければ、航続距離が10倍に伸びることで、トヨタの次世代ハイブリッド車やEVは、1回の充電によりメルボルンとシドニー間を簡単に移動できることになります。」

上記のように2009年の記事には書かれていますが、当時は、そのようなバッテリーが現れるのは2015年以降になるだろうと言われていました。もちろんみんなその実現をまだ待っているのはご存知のとおりです。

EVで遅れをとる日本の自動車メーカー

トヨタの全固体バッテリーの件から14年、同社は国際クリーン交通評議会(ICCT)の最近の調査で、市場支配力、技術実績、戦略的ビジョンで自動車大手20社をランク付けし、EVで相当遅れをとっていると評価されました。

1位がテスラ、2位がBYDで、遅れを取っているとされる6社ののうち、トヨタを含む日本の大手自動車メーカーが5社もランクイン

トヨタの最新バッテリー開発に関する件で、ガーディアン紙は次のように述べています。

「トヨタは、バッテリーの重量、サイズ、コストを半減させる技術的ブレークスルーを達成したと発表」

この記事の中では、トヨタのカーボンニュートラル先行開発センターの海田啓司センター長の言葉を以下のように引用しています。

「液体バッテリーも全固体バッテリーも、現在のバッテリーが大きすぎ、重すぎ、高価であるという状況を劇的に変えることを目指しています。ポテンシャルという点では、これらの要素をすべて半減させることが可能だと考えています。」

しかし、今や現在のバッテリーが高すぎるという海田センター長の発言も、テスラがすでに自動車業界史上最高の利益率で最大航続距離600kmの市販の電気自動車を生産し、モデルYに至っては今年の第1四半期でトヨタカローラより売れていることから、現実に即していません。

戦略は未だに「マルチパスウェイ・アプローチ」

テスラには、CATLやBYD、パナソニック、LGエナジーソリューションなど、バッテリーパックのサプライヤーが複数あります。BYD自体もバッテリーでもEVでも利益を上げており、先月はテスラとともに過去最高のEV販売台数を記録しました。

トヨタの幹部はこの状況にでもまだ比較的落ち着いているようですが、トヨタの株主は神経質になっているようです。先週、トヨタの最近の年次株主総会の詳細が明らかになり、ある株主が経営トップに「トヨタはテスラに勝てるのか?」という質問を投げかけたのです。

これに対して宮崎洋一副社長の回答は、トヨタは多様な選択肢(BEVだけでなくハイブリッドやPHEV、FCVなど)を通じて脱炭素化を進める「マルチパスウェイ・アプローチ」(全方位戦略)を継続するというこれまでの主張を繰り返したものでした。

トヨタはEVを生産拡大していない理由のひとつとして、14年前から推し進めているバッテリー技術の未発達を挙げ続けていますが、おそらく本当の理由はもっと単純なものでしょう。ハイブリッドで儲けられる間にあえてEVを生産したくなかっただけなのです。

この記事はこの投稿を引用・翻訳・編集して作成しています。

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