今年5月、テスラのイーロン・マスクCEOは、テスラ社が年内に次のギガファクトリーの場所を発表する可能性が高いと述べました。
スペインでの深い協議の噂、フランス政府高官との数多くの会合、カナダ、インドネシア、韓国との関係についての激しい憶測がある一方で、テスラが数年にわたり工場建設を検討してきたインドにすべての兆候が向いていることが圧倒的に明らかになりつつあります。
全ての始まりは2015年
すべての始まりは2015年、インドのナレンドラ・モディ首相とイーロン・マスク氏が米国北カリフォルニアのフリーモント工場で初めて会談したことにさかのぼります。
当時、テスラ社はフラッグシップセダンのモデルSとSUVのモデルXしか提供していなかったため、毎年数千台しか生産していない、まだ若く非常に未熟な新興自動車製造会社でした。また電気自動車はまだ今日の認知とは程遠く、EV市場にはいくつか他のメーカーの参入もありましたが、世界中でガソリンエンジン車が自動車市場全体を支配していました。
そして2018年、テスラは米国外で初の車両生産工場を中国上海に開設することを決定しました。中国のEV生産工場はすぐにテスラにとって最も効果的で生産性の高い工場となり、数千人の従業員を抱え、テスラの年間生産台数の大半を生産するようになりました。こnギガファクトリー上海は中国の国内顧客向けの生産工場から、売れ筋のEVの一部を欧州やアジア市場に供給する主要な「輸出ハブ」になったのです。
そして更にテスラが2019年にベルリン近郊ブランデンブルクにギガファクトリー・ベルリンを建設し、2023年にはメキシコにも工場を建設することを公表しています。
インド攻略は一旦白紙に
2021年、テスラはインドに大規模な投資を行うことを発表する準備が整っているかのようでした。テスラのベテラン社員である、デイヴィッド・ファインスタイン氏がグローバル・トレード・アンド・ニュー・マーケット・ディレクターに任命される予定でした。インド工場の最高経理責任者にはヴァイバフ・タネジャ氏が任命され、プラシャンス・R・メノン氏はテスラ・インディアのディレクターに就任していたのです。
さらに、政策・開発担当のマヌジ・クラナ氏、充電インフラ担当のニシャント・ニシャント氏、人事担当のチトラ・トーマス氏がチームを構成していました。しかし、テスラがインドのために編成したチームは、結果としてインド市場で仕事をすることはありませんでした。
この理由は、テスラにはギガファクトリーを建設する前に満たすべき要求があり、インドにはテスラの要求を満たす前に満たすべき要求があったという事です。
インドは自動車の輸入関税が世界で最も高い国です。この税金は、4万ドル以上の車の場合の関税率が100%、つまり自動車価格が2倍になるという事や、その価格以下の車には輸入関税を60%を課すという非常に厳しいものです。このため、テスラは当時輸入関税を40パーセントに引き下げるようインド政府に要求しました。
しかし、インド政府関係者は、テスラの要求に応じることに難色を示し、「特定の企業向けの」関税引き下げは不可能であると主張しました。インド政府関係者は、当時以下のように述べていました。
「政府は、企業独自のインセンティブに反対する姿勢を明確にしています。これは、ある特定の企業が既存の政策を業界全体で変更するよう要求した場合にも当てはまります。過去4年間、米国に本社を置く大手企業によって、輸入関税を下げて市場を開放するよう複数の要求がなされました。現在、彼らはインドで現地生産を行い、生産能力を増強しています。」
インドには 「Make In India」(インド内での製造)と呼ばれる2700億ドルもの製造補助があり、世界中の企業が大規模な投資をしてインドで製品を開発、生産、組み立てることを奨励しています。このイニシアチブは2014年にモディ大統領によって初めて導入された政策です。
テスラは他国(おそらく中国)からインド市場に自動車を輸入することになるため、政府関係者は関税撤廃の考えに特に否定的でした。しかし、テスラが最初に工場を建設することを約束する場合に限り、関税の引き下げに応じるという話でしたが、2022年5月に一旦、テスラはインド攻略チームを解散しインド市場への参入を白紙に戻しました。
モディ首相とマスクCEOの会談で前進?
それから2年後、テスラとインドは何らかの合意に達したようです。アライアンスや投資の条件は今のところ不明ですが、テスラの次の工場建設をインドにすることを示すかのような発言をモディ首相とマスク氏の両方が行っています。
「私はテスラがインドに進出すると確信しています。うまくいけば、そう遠くない将来に何かを発表できるかもしれません。私たちは発表を急ぎたくはありませんが、しかし、それは将来的にかなりの投資と関係がある可能性が高いです。」
モディ首相はまた、自身のツイッターでマスク氏との写真を掲載し、テスラCEOとの「素晴らしい会談」に感謝を示しています。
テスラの次の工場に関する憶測が広まっているため、私たちは皆、テスラの次期ギガファクトリーがどこになるかを推測することができます。しかし、テスラ社が何を望み、インド政府が何を望んでいるのかを考えれば、テスラがインドに進出する可能性が最も高いということでしょう。
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