自動車業界に衝撃を与えるテスラの大幅な値下げ戦略

tesla-all TESLA News
Credit:Tesla
スポンサーリンク

この衝撃は驚くことではありませんが、より興味深いのは、ライバルブランドの今後の価格設定や商品展開にどのような影響を与えるか、ということです。

テスラのマージン(粗利率)が驚くほど高いことは以前から明らかだったため、最近、全ラインナップの価格を下げるだけでなく、大規模に驚くべき幅で価格を下げることができたのです。テスラは、2022年末の割引とインセンティブから間もなく、さらに高い値引き幅に引き上げました。例えば、モデルYのスタート価格は65,990ドルから52,990ドルに下がり、これに加えて7,500ドルの米国連邦EV税額控除が適用されるようになったので、およそ2万ドルもの値下げという状況なのです。

テスラの価格は一時期小刻みながら値上げが繰り返され、間違いなく高すぎな水準となっていました。テスラ車への需要は非常に高く、納車待ち時間が伸びていたと言われています。納車まで何カ月も待たされ、テスラに見切りをつけて競合モデルを購入する人もいたかもしれませんが、ほとんどのライバルのEVも入手困難な状況でもありました。

model-y-quick-silver-06
テスラモデルY クイックシルバー

テスラは、2021年から2022年にかけて納車台数で50%成長という自ら定めた納車ガイダンスを達成できなかった後、米国で全車種の大幅な値下げを発表し、これに加えて世界の他の多くの地域でも価格を引き下げました。

この大幅値引きの結果、テスラは収益が落ち込むと思われますが、これまで以上に自動車を迅速に販売することになり、米国および世界の自動車業界全体の様々な面に影響を与えてると考えられます。また、値下げが実施された当初はテスラの株価はさらに下がるかと思われましたが、販売台数の急増により現時点では上昇に転じているようです。

TSLA TSLA

共有された最近のレポートによると、多くの自動車メーカー、特にEVをあまり提供していないメーカーは、EVを売ると赤字になるほど利益率に苦労しているとのことです。テスラのような巨大な粗利幅を持つEVをまだ生産できていないため、このような自動車メーカーは実際に損失が出ており、継続的な販売を促すために価格を大幅に下げなければならない可能性さえあるのです。バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジョン・マーフィー氏は以下のように説明しています。

「(テスラの)今回の値下げは、ちょうど既存自動車メーカーがEVを増産しようとしているときに、そのビジネスをさらに難しくする可能性が高い。」

GMの広報担当者は最近、テスラの価格変更を注視しているものの、自社の販売にはまだ影響を与えていない、と述べました。同スポークスマンは、このような時こそ、将来的に様々な価格帯のEVを幅広く提供するというGMの目標の重要性を強調するものだ、と報告しています。

モーター・インテリジェンス社の調査によると、2022年のテスラの販売台数は、米国におけるEVの総販売台数の約65パーセントを占めています。この販売台数は、テスラの価格がこれまで歴史的に高く、納車待ち時間も一般的に長かった時期であることに留意する必要があります。一方、フォードのEV販売台数は8%弱、GMは3.5%にとどまっています。

中古車価格はようやく下がってきており、テスラの新車価格がこれほど低い間は、特にEVにその傾向が強いことになるかもしれません。少し前までは、テスラの中古車は需要が高く、すぐに手に入れることができたので、新車よりも高い金額を支払っている人もいました。同社が値下げしたときも、ネット上には新車のEVよりはるかに高い中古車が出品されていましたが、その状況も今回の値下げを受けてすぐに変わりました。テスラの中古車価格は急落し、中古車販売店は損をし、他の中古EVの価格もそれに追随し始めている状況です。

テスラの値下げを知り、それに乗ろうとする人が増えるにつれ、EV全般への関心にも火がつきつつあると言われています。米オンライン自動車調査会社エドマンズは、テスラの最近の値下げ後、電気自動車を検索する人の数が増加したことを伝えました。モデルYはエドマンズのサイトで全体で2番目に検索された車両でしたが、値下げ直前には70位だったので、順位が急上昇したという事です。

テスラの注目すべき値下げが、世界中の企業に影響を与えていることは、他にもいろいろと容易に想像ができます。テスラがいつまで値下げを続けるのか、そしてライバル社の反応も気になるところです。競合他社が値下げをすれば、テスラが値上げをしないように圧力をかける事ができるかもしれないですが、その間、それらのライバルはさらに損失を出すことになるでしょう。また、リセールバリューや、値下げが下取りに与える影響など、興味深いことが待ち受けていると考えられます。

この記事はこのサイトを引用・翻訳・編集して作成しています。

テスラ関連の最新記事を毎日随時アップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。

 グーグルニュースでフォローする

※免責事項:この記事は主にテクノロジーの動向を紹介するものであり、投資勧誘や法律の助言などではありません。また、記事の正確性を保証するものでもありません。掲載情報によって起きたいかなる直接的及び間接的損害に対しても、筆者・編集者・運営者は一切責任を負いません。また、運営者はテスラ株式のホルダーです。

タイトルとURLをコピーしました