テスラのコバルトフリーバッテリー戦略により、イーロン・マスクは本物の「アイアンマン」に?

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テスラは第1四半期決算報告書で、2022年第1Qに生産した車両のほぼ半数がコバルトフリーのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを搭載していることを明かしました。しかし、このニュースは、特にテスラの190億ドルの収益とイーロン・マスクCEOによるソーシャルメディアプラットフォームTwitterの買収によって、影が薄くなってしまいました。

LFPバッテリーは新しいイノベーションではありませんが、中国以外の地域ではそれほど使用されてきませんでした。BMI(Benchmark Mineral Intelligence)のデータによると、米国とカナダでは電気自動車用バッテリーの3%、欧州連合では6%が鉄系であるに過ぎません。一方で、中国ではLFPバッテリーが電気自動車市場の44%を占めているという状況です。

テスラは現在、エントリーグレード車両にLFPバッテリーを使用していますが、イーロン・マスクCEOは、今後テスラがより多くの製品でこのコバルトフリーバッテリーを使用することをほのめかしています。テスラ社の多用途性と市場への影響力を考えると、他のEVメーカーがLFPバッテリーを採用する選択肢を模索し始めたとしても、不思議ではありません。

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面白いことに、イーロン・マスク氏はLFPバッテリーの採用で顕著な役割を果たすことで、事実上「アイアンマン」になったように見えます。

ロイターのEV市場に関する調査によると、LFPバッテリーを支持しているのはテスラだけではありません。今後3年間で10社以上が米国と欧州でLFPバッテリーのセル工場の建設を検討しているということのようです。そして、事態はそこからさらに好転していきそうだで、米国のバッテリー新興企業アワ・ネクスト・エナジー社の創業者であるムジーブ・イジャズ氏は、LFPがEV産業で将来性を持っていると以下のように指摘しています。

「リン酸鉄リチウムは、新たな命を吹き込まれたのだと思います。電気自動車業界にとって、明確かつ長期的な優位性を持っています。」

LFPバッテリーの普及にこれほど時間がかかったのには理由があります。LFPバッテリーは、安価な材料を使用し、あまり劣化することなく安定して満充電にできる反面、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーに比べて大きく、重く、一般に保持できるエネルギーが少ない傾向がありました。そのため、LFPバッテリーを使用した電気自動車は航続距離が短くなる傾向にあるのです。

テスラがエントリーグレード車両にLFPバッテリーを採用したのは、戦略的な動きといえるでしょう。同社は電気自動車分野で誰もが認めるリーダーであるため、前四半期に生産した約15万台のLFPバッテリー搭載車は多くのアナリストや専門家を驚かせました。メガキャストの使用など、同社の他のイノベーションと同様に、他の自動車メーカーもすぐに追随するという状況です。

EV新興企業であるフィスカー社は、同社のエントリーグレードSUVにLFPバッテリーを使用する予定であることを明らかにしました。CEOのヘンリク・フィスカー氏は、米国、カナダ、メキシコのバッテリーサプライヤーと協議中であることを明らかにし、彼は、LFPバッテリーは都市生活者が使用する自動車に最適であると指摘しています。

「もし私がロサンゼルスを離れることがなければ、サンフランシスコを離れることがなければ、ロンドンを離れることがなければ・・・、そこにLFPが実によく適合すると思うのです。」

アウディCEOのマルクス・デュエズマン氏も、昨年3月に公開されたコメントの中で、LFPバッテリーの可能性を以下のように高く評価しています。

「中期的には、より多くの車両にLFPが搭載されることになるかもしれません。戦後は新しい状況が生まれるので、それに適応してバッテリー技術や仕様を選択していくことになるでしょう。」

フォルクスワーゲンやダイムラーといったライバルのペースを考えると、電気自動車競争で間違いなく遅れをとっている状況のBMWでさえ、LFPバッテリーに目を向けているのです。BMWの最高調達責任者ヨアヒム・ポスト氏の最近のコメントでは、BMWが鉄ベースのバッテリーのメリットを分析していることが示されています。

「私たちは資源の使用を最小限に抑えるために様々な技術を検討し、また化学的な最適化も検討しています。」

この記事はこのサイトを引用・翻訳・抜粋・編集して作成しています。

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