巨大な石油会社は世界的に燃料としての水素のビッグプレイヤーの一社ですが、その会社でさえ、水素の活用を成功させることはできないようです。
55箇所のうちの7箇所
シェル・ハイドロジェン社は、米国カリフォルニア州にある7カ所の水素ステーションを直ちに閉鎖することを今週認めました。同社は今後、米国内で水素ステーションを運営することはなく、水素燃料が広く利用されている唯一の州で苦戦を強いられている水素自動車市場に新たな打撃を与えることになります。
これは、水素関連の情報サイト、ハイドロジェン・インサイトが木曜日に最初に報じたニュースです。HFCP(Hydrogen Fuel Cell Partnership:水素燃料電池パートナーシップ)によると、シェルはカリフォルニア州で55カ所ある水素ステーションのうち7カ所を運営していたとのことです。そのため、今回のニュースは(小さな)水素コミュニティにとっては非常に痛手ですが、逆に非常に大きなニュースということでもありません。
残念なことに、シェルが店舗を閉鎖する理由は、トヨタ・ミライ、ヒョンデ・ネクソ、ホンダ・クラリティ・フューエルセルのオーナーにさらなる不安を与えるものです。シェル・ハイドロジェン社のアンドリュー・ビアード副社長は、閉鎖を発表する書簡の中で、「水素供給の複雑化とその他の外部市場要因のため」と述べています。ここでビアード副社長が何を指しているのかは、想像に難くありません。
大半が停止中もしくは営業時間短縮
H2FCPの素晴らしい水素ステーションマップをざっとスキャンしてみると、南カリフォルニアの水素ステーションの大半が停止中、もしくは営業時間を短縮していることがわかります。
ハイドロジェン・インサイトによると、この水素ステーション不足は8月13日以来続いているとのことです。私が ウーバーでトヨタの水素燃料電池自動車ミライに乗った際、運転していたウーバーのドライバーは、燃料を探すのがさらに悪夢のようになったと述べていました。H2FCPのマップに掲載されているお知らせは、水素ステーションごとに微妙に異なりますが、岩谷産業の水素ステーションに掲載されているこのお知らせは、その精神をよく表しています。
「ハワイアン・ガーデンズ・ステーションへの水素供給に影響を及ぼす事態が発生しました。現在のところ、通常のサービスレベルに戻るまでの時間は未定です。このため、さらにダウンタイムが発生いたしますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。」
裁判沙汰の大混乱
多くの水素ステーションが深刻な信頼性の問題に悩まされているように、いくつかの水素ステーションも修理のために停止しています。日本のガス会社である岩谷産業は、アメリカの水素ステーションで2本の指に入る大手企業ですが、現在、水素ステーションのコア技術を提供した会社を提訴しています。ハイドロジェン・インサイトが閲覧した裁判所に提出された資料の中で、岩谷産業は、供給元が実際の商用シナリオで機器のテストを行わず、欠陥を隠し、同社を欺いたと主張しています。要するに大混乱しているのです。
こうしたことが、米国における水素燃料電池車の将来をより不透明なものにしています。水素ステーションとその燃料が高価なままであるため、この技術は普及に苦戦しています。水素自動車メーカーは通常、車両購入時に大量の燃料を無料で提供していますが、それがなくなると、消費者は、しばしば壊れたり、燃料が切れたり、長蛇の列ができたりするスタンドで、目が飛び出るような値段を払わされることになります。中古の水素自動車が非常に安いのはそのためであり、いまだにお買い得とは言えないのも同じ理由です。
最も安価に水素を製造する方法には天然ガスが大量に使用されるため、シェルほどそれをうまく説明できる企業はほとんどありません。化石燃料産業に近いシェルは、水素をより安く製造し、燃料供給インフラを強化するインセンティブを与えるはずでした。しかし、それがうまくいかず、最大手の石油メジャーがもはやタオルを投げている状態なのです。シェルのような化石燃料の巨大企業でさえ、将来の小型水素インフラへの投資を正当化できないのであれば、他に一体誰が実現できるのでしょうか。
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