水素燃料電池車がバッテリー型電気自動車に永遠に追いつけない理由:ネイチャー誌の研究成果

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水素燃料電池車は、たとえ商用トラックであったとしてもバッテリー駆動の電気自動車に追いつくことはないだろうという、長年にわたってなかば常識とされてきたことが、専門誌『Nature』に掲載された新しい研究で改めて確認されました。

皆さんご存知のように、自動車業界は製品から排出されるガスを除去するための解決策をめぐって意見が分かれています。

ほとんどの自動車メーカーはバッテリー式電気自動車(BEV)に賭けているが、一部の自動車メーカーは燃料電池式水素パワートレインの実現に未だにこだわっている状況です。

日本のトヨタ、韓国のヒュンダイ、米国のGMは、このトレンドに最も抵抗しており、乗用車の場合、燃料電池車(FCEV)はすでにゲームオーバーの状態であるにも関わらず、ゼロエミッション輸送を達成することもできると頑なに考えています。

トヨタ・ミライやヒュンダイ・ネクソなど、世界最大の燃料電池車のいくつかは、これまで何年間も何十億も投資した結果として、なんの成果も得られずに終わっているのが現状です。

https://phys.org/news/2006-12-hydrogen-economy-doesnt.html

燃料電池車のエネルギーサイクル全体が非常に効率が悪い(図に示すように、3倍効率が悪い)こともさることながら、水素インフラの構築に非常に大きな課題があると考えられています。

(100kWhの再生可能エネルギー由来の電力が、BEVの場合は69kWh使えるのに対して、水素に変換するFCEVでは圧縮や液化、輸送などで19〜23kWhしか使えない)

BEVもFCEVもインフラの問題を抱えていますが、BEVには、世界中のほぼすべての電気コンセントが充電ステーションになり得るという、すでに広範な電力網インフラの上に構築可能だという大きな利点があります。

唯一の課題は、より多くの急速充電ステーションを建設することであり、これは小さな課題ではありませんが、それでも水素製造、輸送、貯蔵、流通のサプライチェーンを構築するよりははるかに簡単だと考えられます。

また、EVの充電は家庭で夜間に場合が多くなりますが、水素燃料電池車はそういうわけにはいきません。

水素燃料電池車にもまだ、勝機があると考えられるのは商用トラックの分野ですが、今回の新しい研究がそれにも水を差す結果になっています。

ドイツ・カールスルーエにあるフラウンホーファーシステム・イノベーション研究所ISIのパトリック・プロッツが、『Nature』誌に発表した新しい研究によってです。

水素技術が持続可能な道路交通に大きな役割を果たす可能性は低い」と題されたこの研究は、水素燃料電池車がバッテリー電気自動車に追いつくことはないだろうということを、データを使って示している。

バッテリーと急速充電技術の技術的・経済的発展により、水素で走る燃料電池電気自動車は、まもなく道路輸送に不要になる可能性があります。

この研究では、商用トラックでさえ、長期的には燃料電池パワートレインに勝機がある可能性は低いと指摘しています。

バッテリー型電気自動車の現在の課題は、長距離物流(年間平均10万km)と超重量物の輸送(キロメートルあたりのエネルギー消費量が多い)です。これは、水素燃料電池トラックのユースケースとしてよく議論されるものです。複数のトラックメーカーと燃料電池やインフラのプロバイダーが手を組み、2030年までに欧州の道路で10万台の燃料電池トラックを走らせるという目標を発表しています。
しかしながら、商業用燃料電池トラックのシリーズ生産の最短開始時期が2027年であるという各社の発表と対比すると、この実現は非常に可能性が低いように思われます。その頃には、第2世代のバッテリー電気自動車はすでに市販され、稼働していることでしょう。

ニコラ・モーターズのように、2027年より早く(2023-24年頃)FCEVセミトラックの生産が可能になると主張するトラックメーカーもありますが、同社ですら徐々にバッテリー型電気自動車への移行が進んでいるのが現状です。

ニコラ・モーターズは当初天然ガストラックの製造会社としてスタートし、その後燃料電池水素自動車に移行し、燃料電池とバッテリー型電気自動車のミックスを経て、そして今日、同社が最初に市場に出すトラックはバッテリー型電気自動車となているのです。

この研究では、バッテリー型電動トラックの新しいメガワット充電規格とバッテリー技術の進歩により、次世代の電動トラックは燃料電池水素自動車を置き去りにする可能性があると指摘しています。

この記事はこのサイトを引用・翻訳・編集・改変・追加して作成しています。

結局スピード感の違いとも言えます。

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