訴状では、ノルウェーで消費者の誤解を招くとして禁止された広告キャンペーンが挙げられています。
消費者を誤解させている
米国連邦取引委員会(FTC)に提出された新たな訴状では、トヨタが電動化の実態について消費者を誤解させていると非難しています。
この告発は、パブリック・シチズン(米国の消費者非営利団体。環境保全、消費者の権利保護などに取り組む)からの公開書簡を通じて行われたもので、パブリック・シチズンはFTCに対し、トヨタがどのように電動化車両を販売しているかについて調査を開始するよう要請しています。具体的には、トヨタが広告キャンペーンで現行車ラインナップの電動化能力を誇張し、意図的に消費者を欺いたと主張してます。
訴状では、「Beyond Zero(ゼロを超えて)」、「Electrified Diversified(多様な電動化)」、「To Each Their Own Electric(それぞれのやり方での電動化)」などのトヨタのマーケティング戦略を引用しています。パブリック・シチズンによると、トヨタはこれらの広告において、トヨタを電動化車両分野のリーダーであるかのように消費者を混乱させたり、誤解させたりしかねない様々な発言や解釈を行ったとのことです。
ある広告キャンペーンでは、トヨタ・プリウスがハイブリッド車であるにもかかわらず、ガソリン給油口や充電ポートがあるはずのリアクォーター付近で稲光が光る様子が描かれていました。これは、ハイブリッド車が車のガソリンエンジンを発電機として利用するのに対し、外部からの充電が可能だと消費者を誤解させる可能性があります。もうひとつは、プリウスがソーラーパネルの小さなアレイを通過するアニメーションも利用しています。
パブリック・シチズンはまた、広告では「電動化」された車と説明されているにもかかわらず、数台の内燃機関を搭載した車が登場するレクサスの広告キャンペーンも紹介しています。このキャンペーンでは、レクサスがハイブリッドとBEVを1台ずつしかラインナップしていないにもかかわらず、内燃機関とEVの「平等」をさらに強調しています。そのレポートでは、少なくとも1つのレクサスの広告キャンペーンのクリエイティブを担当したフィリップ・ディーツ氏が、消費者が「電気」自動車を「1種類の電気技術」として見ていることを知っていることも挙げています。
公正を期すために、「電動化」という用語は長い間、何らかの形で電動化された車、典型的にはハイブリッド車を指してきました。しかし、今回の訴状では、レクサスが自社のウェブサイトでハイブリッド車が「自己充電式電動パワートレイン」と「自己充電式バッテリー」を搭載していると主張している点を指摘しているとともに、ハイブリッド車の内燃エンジンがバッテリーを充電していることを理解していない消費者に誤解を与えかねないとしています。参考までに、この「自己充電式電動パワートレイン」というような表現は誤解を招くとしてノルウェーでは禁止されています。
トヨタは水素自動車で失敗
トヨタは少し前からバッテリー電気自動車へのコミットメントを明言していますが、これまでは常にそうであったわけではありません。パブリック・シチズンは、トヨタがこのような慣行を採用してきたのは、トヨタがバッテリー電気自動車に投資するよりも水素自動車に注力することを決定したことが一因であると述べています。
「この急速なエネルギー転換の時代に、トヨタはEVへのアプローチを "大変な誤算"としました。トヨタは、バッテリー駆動の電気自動車よりも水素燃料電池の開発に大きな賭けをし、他の自動車メーカーがこの戦略を「実現可能とは思えない」と認識しているにもかかわらず、水素燃料電池に執拗にこだわっています。トヨタはまた、2016年にそれまで提携していたテスラの株式を売却しましたが、これはテスラや一般的なEV販売台数が爆発的な成長を遂げ始めた矢先のタイミングでした。さらに、2023年4月に退任するまでの約14年間、トヨタを率いてきた豊田章男前CEOは、EV嫌いで有名でした。彼の経営の下で、トヨタは2022年夏の時点では、EVの需要は「数十年は軌道に乗らないだろう」との見解を示していたようです。電気自動車への投資を優先させなかったことで、トヨタはこの重要な市場でライバルに大きく遅れをとり、2022年秋から社内でパニックに陥りました。」
トヨタの反論
トヨタの広報担当者はこれに対し、以下のように反論しています。
「トヨタの目標は、できるだけ早く、できるだけ多くの排出ガスを削減することです。ビヨンド・ゼロとは、製品、サービス、オペレーションにおいてカーボンニュートラルの域を超え、地球と社会にポジティブな影響を与える新たな方法を見出すというトヨタのビジョンです。私たちは現在、他のどの自動車メーカーよりも多くの低排出ガス車とゼロ・エミッション車を提供し、お客様に二酸化炭素排出量を削減するための選択肢を提供しています。」
はっきり言っておきますが、今日現在、トヨタに対して正式な措置が取られたわけではありません。苦情はあくまで苦情のレベルです。しかし、この訴状を書いた団体は、いくつかの正当な指摘をしています。確かに過去にもマーケティング用語をめぐって自動車メーカーに苦情が出されたことはあり(例:テスラのオートパイロットと完全自動運転)、今回の訴えが最終的にアクションにつながるかどうかは未知数です。
トヨタのEVへのコミットメントは、今年初めに豊田章男氏から引き継いだ佐藤幸治新CEOがセールスポイントとしていたものです。しかし今年10月、佐藤氏はトヨタのEVへの取り組みを格下げし、電動化だけでなく、さまざまなパワートレインを全車種に採用する「マルチパスウェイ・アプローチ」を採用していると述べました。いずれにせよ、消費者法はトヨタが顧客を誤解させることなく自動車を販売することを求めており、それが実行されたかどうかは、すぐにFTCの調査につながる可能性があるのです。
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