中国最大のそしておそらく今年中には世界最大のEVメーカーになるBYDは、海外市場で急速に知名度を上げています。BYDは最近タイの自動車市場に参入したばかりにもかかわらず、すでに販売台数で日本のライバル数社を抜き去り、トヨタの重要市場に忍び寄っています。
タイでは近年、日系自動車メーカーが自動車市場を独占しており、現在はトヨタ、いすゞ、ホンダがトップセラーのメーカーです。
しかし、わずか一年前の2022年7月に市場に参入したBYDは非常な勢いで販売を拡大しています。オートライフ・タイランドによると、BYDはすでにタイにおけるEV販売台数の3分の1以上、新車販売台数の約4%を占めていると言われています。
中国のEVメーカーは、販売台数で日産、三菱、マツダ、スズキなど日本の競合他社をすでに上回っています。
そして、BYDがタイやブラジル、コロンビア、イスラエルなどの新興市場で成功した大きな理由は、そのEVの低価格設定にあります。
BYDの優位性
BYDは、従来の自動車メーカーよりもはるかに安くEVを生産し、そのコストダウン分を顧客に還元することができます。BYDはバッテリー会社としてスタートし、その後携帯電話の組み立てに参入した会社です。
現在、BYDはEVへの移行において最も重要な部品である二次電池の世界最大のサプライヤーともなっているのです。
同社はテスラ、トヨタ、起亜など、他の自動車メーカーにも二次電池を供給しています。
BYDアメリカCEOのステラ・リ氏によると、BYDは「どちらかといえばエンジニアリング企業に近い」企業であり、そのためBYDは高度に統合されたコングロマリットに変貌しています。BYDは部品ごとに特定の部門を持ち、ほぼすべての部品を自社で製造している垂直統合型の企業です。例えばドルフィンEVでは、タイヤと窓を除くすべての部品を自社で製造しているという徹底ぶりです。
トヨタの牙城、タイ市場を侵食するBYD
タイではリーバー・オートモーティブが独占販売権を持っています。同社は、マツダなど人気のないブランドのディーラーにBYDへの切り替えを説得中とのことが伝えられています。
BYDのAtto 3(中国での名称は元プラス)はタイで最も売れているEVで、価格は約3万~3万3000ドルです。リーバーもシールを36,000ドル前後で販売しており、低価格のドルフィン電動ハッチは20,000ドルをわずかに下回る価格となっています。
BYDのEVは、他ブランドの電動モデルに比べて割安感があります。例えば、トヨタの電気SUV「bZ4X」は約5万ドル、テスラの「モデル3」は約4万7000ドル、日産リーフでさえ4万3000ドル以上します。
タイは電気自動車の普及を急ピッチで進めており、電気自動車に乗りたがらない人々を置き去りにしているような状況です。
タイ政府は、10年後までに国内で製造される自動車の30%を電気自動車にしたいと考えています。タイの自動車販売台数に占める電気自動車の割合は、昨年の約1%から10%以上に増加している状況です。
トヨタは最近、初の電気トラックをオーストラリアでテストしました。ハイラックスBEVトラックはタイで製造され、ハイラックスベースの電気シェアタクシーの実証車両として使用される予定とのことです。
しかし、いつ発売されるかは未定で、トヨタは同地域でのEV販売台数で急速に遅れをとっています。
BYDは先月、トヨタの母国である日本でドルフィンを発売もしています。価格は363万円(24,200ドル)からで、航続距離は250マイル(400km)という性能です。ドルフィンは、BYDにとってAtto 3に続く2番目のEVとなり、トヨタの本拠地でトヨタに挑むことになります。トヨタは、これ以上遅れを取りたくないのであれば、さっさと動き出す必要があるでしょう。
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