電気自動車の火災に対する安全性は大丈夫なのか?テスラモデル3が障害物に衝突して火災に

tesla-model-3-fire-in-new-jersey-2 TESLA News
スポンサーリンク

通常の使い方では電気自動車は出火の可能性は低いものの、何らかの理由で一旦出火した場合の収拾が難しいいのは事実です。

原因は道路にある障害物への衝突

2023年9月13日、米ニュージャージー州ニューアークで2022年型テスラモデル3が出火し、全焼しました。現場にいた救急隊員と連絡を取り、事故が起きたときの写真とビデオを入手しました。

ドライバーは、車両が重大な問題があるという警告を表示し始める少し前に、車道で「何らかの物体」にぶつかったと報告しました。その後、道路脇に車を止め、当局に通報し、バッテリーパックからひどく発煙し出して、最終的に炎上する前に安全に車を離れたとう事です。

最初に注目されたのは、これがテスラモデルSが発売当初に抱えていた脆弱性にそっくりで、米国運輸保安庁が正式な調査を開始する原因となったことです。このケースでは、テスラが問題を解決する前に、複数の車両が道路にある障害物に衝突して炎上しました。

その解決策は、車両の下にチタンプレートとアルミニウム製ディフレクターを追加することで、障害物の衝突から車両を保護することでした。これが功を奏し、それ以来、障害物の衝突によるモデルSの火災はほとんど発生していません。

しかし、テスラは今やモデル3およびモデルYを合わせて世界で400万台以上を販売しており、火災につながる同様の事故が多発しているという状況ではありません。つまり、今回の火災は障害物の大きさや形状が火災の原因となるものであり、更にちょうどバッテリーパックを貫通して火災にいたる場所に衝突した非常に稀有な状況で起こった問題であったと考えてよいと思われます。

また、障害物の衝突によるEV火災は、テスラ車特有のものではないことを指摘しておきます。どのようなEVでも、一定の条件下では衝撃によってバッテリーが壊滅的な故障や火災を起こす可能性があります。実際、シャオペンのP7は昨年、まさにその理由でニュースになりました。

問題があるEV火災

ほとんどの電気自動車火災がそうであるように、ニューアーク消防署にとってモデル3の消火は非常に困難でした。何度も何度も、炎を消した後、車両は煙を出し、再び燃え上がりました。こうした状況は、従来の内燃機関車ではありえないことです。消防署が消火すれば、そのまま鎮火します。しかし、EVの場合、バッテリーの化学的性質によっては熱暴走と呼ばれる状態に陥ることがあります。

熱暴走とは、リチウムイオンバッテリーセルが自己発熱し、酸素を発生する状態になる現象です。熱暴走では、バッテリーパックの残量がゼロになるまで、消火後も再点火を続ける状態となります。

そしてバッテリーの化学組成によっては、熱暴走しやすいものとしにくいものがあります。テスラはモデルごとに、また世界市場ごとに異なるバッテリー化学物質を使用しています。火災が発生した2022年モデル3は、リチウムニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物(NCA)セルを使用していた可能性が高いです(ビデオでは誤ってニッケル・コバルト・マンガン(NCM)と言いましたが)。NCAもNCMもリン酸鉄リチウム(LFP)よりも熱暴走しやすいバッテリーです。

この特定のモデル3のセルがLFPではなくNCAセルであった可能性が高いことが、消防隊が消火に手間取った理由の一端だと思われます。LFPバッテリーは発火点がはるかに高い(~260℃、NCA/NCMは~150℃)ため、熱暴走しにくいのです。

電気自動車は統計的に火災になりにくい

多くの人がEVは火災になりやすいと誤解していますが、それは間違いです。その理由のひとつは、EVが火災を起こした場合、センセーショナルにニュースで報道される事が多いからです。

米国防火庁の報告によると、毎年およそ17万件の自動車火災が発生しています。10万台の電気自動車に対して、年間約25件の火災が発生しています。同じ10万台の内燃自動車では、年間1,530件の火災が発生しています。つまり、内燃自動車は電気自動車の61倍以上の火災が発生していることになります。

しかし、古い内燃自動車の方が多く走っているので、この数字には多少の偏りがあると考えられます。20年、30年前のEVが出回るようになれば、火災の発生頻度も年数とともに高くなるでしょう。それでも、頻度の差があまりにも大きいので、その差が完全に埋まるとは思えません。古いEVがたくさん走るようになって、火災の発生頻度が30分の1になったとしても、その方がいいに決まっています。

火災の様子は以下の動画をご確認ください。

この記事はこの投稿を引用・翻訳・一部補足・編集して作成しています。

テスラ関連の最新記事を毎日随時アップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。

 グーグルニュースでフォローする

※免責事項:この記事は主にテクノロジーの動向を紹介するものであり、投資勧誘や法律の助言などではありません。また、記事の正確性を保証するものでもありません。掲載情報によって起きたいかなる直接的及び間接的損害に対しても、筆者・編集者・運営者は一切責任を負いません。また、運営者はテスラ株式のホルダーです。

タイトルとURLをコピーしました