テスラの成長は続くのか?2023年第1四半期決算説明会で語られた重要な事まとめ

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Credit:Tesla
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テスラ(NASDAQ:TSLA)の2023年第1四半期決算説明会は、同社の2023年第1四半期アップデートレター(株主用四半期報告書)の公表に続いて行われますした。テスラの第1四半期の数字は非常に印象的で、四半期中の売上総利益率(粗利率)の低下にもかかわらず、EPSアナリスト予想を達成しました。

この説明会では、第1四半期に多くのマイルストーンの達成が強調されました。ギガファクトリー・ベルリンは、年間35万台以上のモデルYを生産する能力を達成し、完全自動運転FSDベータ版は累積走行距離1億5000万マイルに達しました。また、サイバートラックは、生産ラインの設置が完了し、最初の納車にこれまで以上に近づいています。

以下は、テスラの2023年第1四半期決算説明会での質疑応答からの概要です。

2023年第1四半期の業績概要

イーロン・マスク氏の冒頭の発言は、2023年第1四半期を振り返るものでした。彼は、モデルYが欧州で最も売れた車になったことや、米国でも素晴らしい成績を収めたことを強調しました。彼は、テスラの営業利益率は依然として業界で最も高い水準にあり、また、テスラが自動運転技術を完成させるにつれて、多くの利幅を確保したいと考えていることにも言及しました。

「第1四半期に価格を大幅に引き下げたものの、営業利益率は依然として業界最高水準にあります。」

サイバートラックの目途

ギガテキサスで製造しているサイバートラック
Credit:Tesla

サイバートラックについては、現在アルファ版が製造され、ギガファクトリー・テキサスでは量産ラインも順調に進んでいます。サイバートラックの納期は、2023年第3四半期に設定される可能性が高く、サイバートラックの需要は顕著だが、その製造ラインが軌道に乗るまでには時間がかかると、マスク氏は述べました。

サイバートラックの最新のスペックと価格、そして生産に間に合う新機能などについては、テスラがサイバートラックのデリバリーイベントを今年の第3四半期末に行う予定で、この内容はその時期まで待つだけの価値はあるということです。

「この製品は、これまでにない非常に稀有なものです。失望することはまったくないのです。」

メガパックの目覚ましい拡大

メガパックは、世界での導入量がこの第1四半期に過去最高を記録するなど、躍進しています。目標は今のところ年間40GWhに設定されています。また、上海で新しいメガファクトリーの建設をスタートさせるなど、メガパックの拡大に向けたテスラの本格稼働を強調していました。

財務責任者ザッカリー・カークホーン氏は、記録的な四半期を迎えたテスラ・エナジーチームについて、「私たちのストレージ事業は、形を整え始めているのです。」という表現で祝福しています。そして彼は、自動車のグロスマージン(粗利率)が健全なレベルを維持していると断言します。彼は、テスラが目標を達成できるように、コスト効率に焦点を当てる必要性もまた強調しています。

「テスラエナジーは自動車事業よりも大きくなるとまだ信じているか、メガパックとテスラエネルギー全体について、いつごろ正式なガイダンスを提供するのか?」という質問に対して、テスラエナジーは同社の自動車事業の総収入には及ばないかもしれないが、そのバッテリーの配備量は自動車事業より大幅に大きくなると、マスクCEOは言及しました。また、カークホーン氏は、テスラがエネルギー事業に関するガイダンスを公表するまで、あと数四半期かかるとも述べました。

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Credit:Tesla

完全自動運転の実現は年内に

FSDベータ版については、累計の走行距離が1億5,000万マイルを達成しました。マスク氏は、「これは本当に誰も持っていないデータの優位性だ」と述べ、自律走行領域で優位に立つためには、トレーニングデータが鍵になる、と付け加えました。彼は、Dojoスーパーコンピュータの作業はまだ続いており、このプログラムは将来的に競争有利になる重要な要素だと述べています。

「DOJOの可能性は本当に大きいと思います。」イーロン・マスク氏は、Dojoが数十億ドルの可能性を持っていると述べています。またマスク氏は、「私はDojoを長丁場の賭けと見ていますが、非常に大きな形で報われる可能性のある長丁場の賭けなのです。」とも述べています。

また、FSDの今後の価値について強調しています。この自立走行の価値は今後爆発的に増加していくことが考えられ、更にテスラのFSDはどんどん性能が良くなり、恐らく今年中には完全自動運転が実現できると考えている、とマスクCEOは述べています。

テスラ車の価格変動と値下げによる影響

自動車の価格調整を行うプロセスはどのようなもので、どのような変数を考慮するのか、そして価格設定の見直しはどれくらいの頻度で行っているのか、という質問に対して、生産量やマクロの状況を確認しつつタイムリーに最善を尽くしている、とマスク氏は答えました。また、直近の値下げの影響について「注文は生産量を超えている。」とイーロン・マスク氏は強調しています。

4680バッテリー

4680バッテリーは、バッテリーデーに説明された期待にどの程度応えているのか?という質問に対して、ギガファクトリー・テキサスの4680バッテリーセル施設の可動拡大は順調に進んでおり、ギガ・テキサスの4680工場は、完全に立ち上げると設備投資額が70%低減できると述べています。リチウム精製所も5月に着工する予定で、テスラはまた、売上原価の25%削減を達成しました。

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Credit:Tesla

テスラ車の粗利率

ザッカリー・カークホーン氏は、特にテスラがギガ・テキサスのバッテリー工場などのプロジェクトで忙しいため、現時点で通年の粗利率を予測するのは難しいと述べています。今のところ、ギガ・テキサスのコスト最適化は、生産の安定化と4680コストの引き下げに重点を置いています。カークホーン氏は、「オースティン工場については、相当良い見通しが立っている」と述べるとともに、ギガ・ベルリンにもコスト削減の余地があることを指摘しました。

カークホーン氏はまた、テスラのサプライチェーン・チームにこれに対する感謝を表明していますが、彼はまた、エネルギー価格の高騰がテスラにとって最大の痛みのポイントのままであることも付け加えました。更にカークホーン氏は、いくつかの要因が2023年第1四半期のグロスマージン(粗利率)の結果に影響していることに言及し、イーロン・マスク氏も金利の影響に言及し、経済の不確実性も2023年第1四半期の結果には影響したとのことです。

テスラは通常、長期的に設計された戦略を採用するため、投資家が短期にとらわれすぎないよう注意を促しました。ある意味、粗利益率の水準は、テスラが次の年にその儲けをどう投資するかという点でしか重要ではないのです。イーロン・マスク氏はまた、テスラがユニークな立場にあるのは、テスラが技術的に、今は利益0%で車を販売し、将来は別の方法(つまり、自動運転)で莫大な利益を得ることができるからだと述べています。彼は、他の自動車メーカーではそれを実現することができないことを指摘しています。

最大のサービスはサービス不要

「市場シェアを拡大するための直販事業に限界はあるのか」という質問を受けて、イーロン・マスク氏は、テスラの直販戦略は今のところうまくいっていると述べています。また、アナリストがサービスのような人間同士のやり取りが不足している可能性のある顧客の問題を持ち出したのに対し、マスク氏は “The best service is no service”(最良のサービスはそもそもサービスが不要な事) と述べています。また、テスラはダイレクトな情報のフィードバックループを使って車の設計を改善することで、より少ないサービスで済むように対応しているとも述べました。

ロボタクシーと次世代プラットフォーム

マスク氏は、ハードウェア3(HW3:現行のモデルは全て適合)を搭載したすべての車両がロボタクシーになりうると繰り返しましたが、ロボタクシーのアイデアはかなり一般的な用語で誤解があるが、テスラ車内では、ロボタクシーはテスラの次世代車とほぼ同義の意味で使っているとのことです。

EV(電気自動車) vs ICE(内燃機関車)

テスラはまた、EVの市場シェア vs 内燃機関というものは存在しないという考えも強調しました。テスラは、全体として「自動車市場」と捉えておりすべての自動車がEVになる、とマスク氏は指摘しています。また、同社は競合他社のことをそれほど考えていないことを改めて強調しました。これはテスラがスーパーチャージャー・ネットワークを他ブランドにも開放していることからもわかるように、テスラはすべてのメーカーのEVの成功を望んでいる、とのことです。

今年の納車目標180万台

テスラが今年の目標をまだ180万台と見ているのか、それとも200万台を目指しているのかという事に対しては、イーロン・マスク氏は、少なくとも生産面では、順調にいけば、テスラは今年200万台を狙える、と指摘しました。とはいえ、テスラは2023年の目標を180万台とすることで安全側の目標として維持するとのことです。

テスラはこれまでの決算説明会のライブストリームをとてもオープンにしています。YouTubeで配信していますので、詳細は以下をご覧ください。

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