テスラのヒト型ロボット「オプティマス」の印象的な新映像公開、製品の実現へ一歩近づく

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Credit:Tesla
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テスラは、テスラボット(オプティマス)として知られるヒト型ロボット計画の最新情報を発表しました。このロボットのプロトタイプの新しい画像は非常に印象的で、このプロジェクトがもはや余興ではなく、ますます実際の製品になりそうな雰囲気になっています。

疑わしかった実現性

イーロン・マスク氏がテスラボットを最初に発表したとき、多くの人は、持続可能なエネルギーの出現を加速させるというテスラのより重要な使命のためのいわば「余興」や「気晴らし」だと一笑に付したものです。テスラのCEOは、労働力不足危機を解決することでどれだけの価値を生み出すかを説明しましたが、テスラの自動運転への取り組みと同じように、このヒト型ロボットの価値は誰もが認めるところで有る一方で、問題はテスラがそれを現実化することを人々が理解できないという事です。

昨年9月に開催された人工知能関連イベント「テスラAIデー2022」で行われたプロトタイプ機による最新のデモが、あまり印象的でなかったことも、その一因です。当時、テスラが持っていたのはごく初期のプロトタイプで、見た目はあまりよくありませんでした。また、実際の動作としては、かろうじて歩き回り、群衆に手を振ることができる程度のものでした。

さらに、デザインがより洗練されたプロトタイプも用意されていましたが、そのイベントには間に合わず、歩くことすらできませんでした。以下がその姿です。

テスラAIデー2022でお披露目されたときのオプティマス

テスラは、電気自動車用に開発した既存のハードウェアや自動運転技術のソフトウェアを多く活用できるため、このヒト型ロボットを開発する絶好の機会を得たと主張しています。しかし、このヒト型ロボットの開発がマスク氏が昨年初めからテスラの最優先課題になったと主張しても、このプロジェクトにどれだけの労力が費やされたかは明らかではありませんでした。

オプティマスの需要は100億~200億台

そして今日、テスラの2023年株主総会でマスク氏は、複数のプロトタイプの多くの新しい映像を含むテスラボット・オプティマスに関する最新情報を提供しました。

映像には5台のテスラオプティマスのプロトタイプが含まれており、簡単な作業を行う様子や、オフィス内を歩き回る様子、またサイバートラックが設置されている他のテスラ施設での様子などが映し出されています。今回のプロトタイプ機はゆっくりと目を覚ますのですが、動作が以前に比較して格段に安定しているように見えます。

今回プロトタイプが行っているタスクはそれほど印象的なものではありませんでしたが、特に手の開発において多くの進歩を遂げたように見えました。テスラはまた、ロボットが環境を検知して記憶する様子も垣間見せました。

https://youtu.be/XiQkeWOFwmk

マスク氏は、「オプティマスは非常に過小に評価されているのです。」と再び主張し、同CEOは、このテスラボット・オプティマスの需要は100億~200億台に上る可能性があると述べました。彼は、オプティマスが「テスラの長期的な価値の大部分」を占めると「自信を持って予測する」までに至っているようです。

工学的課題は少なくソフトウェアの課題が大きい

私はこのプロジェクトの実現性にまだ懐疑的なのですが、褒めるべきところは褒めなければなりません。ちょうど8ヶ月ほど前だった前回のデモと比べると、今回のプロトタイプはかなり改善されているように見えます。というのも、ヒト型ロボットの最も難しい部分である「手」は、ここでは本当に印象的です。

https://youtu.be/XiQkeWOFwmk

まだ、実用化までには3年ぐらいはかかると思いますが、それだけですごいことです。イーロン・マスクCEOは、テスラが自動運転のためのAI開発をオプティマスに活かしていると言っているので、それ自体は非常に意味を成すものです。実現に向けたスケジュールについては議論があると思いますが、私はこの点でテスラに賭けることはないでしょう。ハードウェアの面では、現在のEVのハードウェアを活用することで大きなアドバンテージを得ることができると考えられます。

考えてみれば、ヒト型ロボットを作るために解決しなければならない大きな工学的問題はありません。効率よくパッケージ化し、10万ドル以上のコストがかからないように設計・製造すればいいからです。テスラは当初、電気自動車に関してもそれが可能だと考えられていませんでしたが結果として実現しました。ヒト型ロボットでも、その実現が可能だと考えられます。

とはいえAIに関してはもっと難しい課題です。だから、私は有用な製品になるまでに3年程度はかかると考えています。これは、テスラが自動運転のためのAI開発ですでに多くの失敗をしているという事実を考慮したものです。テスラは自動運転用のAI開発ですでに多くの失敗をしていますが、それはロボットにはない失敗であり、ある時点でAIが洗練されればされるほど失敗のネタが尽きてしまいます。

また、役に立つ製品というのは、人間の労働者のかなりの割合を代替できるロボットという意味ではありません。コストをかけても、一部の労働者を置き換えることができる水準という意味です。多くの作業が可能になるまでには10年はかかると思われ、そのコストから、大規模に展開するためにはまだまだ先になるでしょう。すなわち、テスラが電気自動車で行ったことと時系列的には似ていると考えられるのです。

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