世界で最も売れている電気自動車ランキング – 2023年1月

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Credit:Tesla
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年初の値下げが功を奏しテスラモデルYが世界の電気自動車市場で再び1位となりました。2023年1月の登録台数は前年同月比10%増の66万2,000台超。中国市場が成長の主な柱となりました。

シェア的には、2023年はプラグイン車が世界の自動車市場で11%のシェア(BEVは7.6%)を獲得するところからスタートしました。これは昨年の数値である14%(BEV10%)を下回ってはいるのですが、この1月は多くの市場で販売台数が鈍化することを忘れてはいけません。特に中国では12月末にEV補助金が終了し、もう一つの主要市場であるドイツでもBEV補助金の削減とPHEV補助金の完全撤廃が行われています。世界市場は、アメリカ(前年比118%増)、ベルギー(75%増)、日本(104%増)、インド(256%増)、オーストラリア(352%増)などの市場が好調で、成長を続けています。

2023年の年内はサプライチェーンの混乱や半導体不足などの生産制約が緩和される兆しがあるので、市場シェアは20%(BEV15%)程度で今年を終えることができると予想されます。そうなれば、世界の自動車市場は、2023年が電気自動車の「ディスラプション・ゾーン」(破壊的な拡大に向けての位置づけの年)に突入することになります。

先月、BEVは前年比5%増と、コロナ禍が影響した2020年6月以来の低い成長率でしたが、PHEVは21%増と、主にPHEVフレンドリーになっている中国市場の影響が大きく出た月でした。中国市場で起こることは、常に世界的に影響が大きく、この中国市場は1月の全電動車の世界販売台数の52%をも占めているのです。ここで中国のプラグインハイブリッドのほとんどは、世界の他の地域のものとは異なるものであることを強調しておきます。実際には、30~40kWhの大型バッテリーを搭載したレンジエクステンドカーがほとんどで、また、急速充電機能も搭載しているのが一般的なので、一般に知られるプラグインハイブリッドよりもBEVに近い存在なのです。

電気自動車モデル別ランキング

モデルYは1位で2023年をスタートし、四半期の最初の1カ月で過去最高の成績を収めました。この調子のまま3月末までの四半期で過去最高を更新するのでしょうか?

2位はBYD宋で、前年の終わりと同じ順位で年を越しました。しかし、PHEVのフリゲート 07の登場やBEVのシーライオンの公開など、社内競争が激化しているため、セダンの兄弟車である秦PlusがPHEVのデストロイヤー05やBEVのシールの登場による影響がどう出るかは分かりません。

表彰台の最後はテスラモデル3となり、このテスラの電動セダンも素晴らしい月となりました。去年の2022年1月の5位を2つ上回る順位で今年をスターしたことになります。今後「プロジェクト・ハイランド」として予定されているリフレッシュ版が、モデル3の需要にどの程度の影響を及ぼすか注目されます。実際に2022年はセダンが下降傾向にあったことを忘れてはいけません。

表彰台の他では、武陵ミニEVが不調だったことを除けば、ランキングの前半は特に目立ったものはありません。いつものBYDがあり、いつものベストセラーレガシーモデル、VW ID.4が続いています。

後半は、Liオートの2つのモデルから始まり、より興味深いものとなっています。エスカレードに似たL9は7,996台で11位、やや小型のL8は6,099台で15位という結果でした。また、フルサイズの5人乗りSUV「L7」も間もなく市場に投入される予定で、この新興企業はフルサイズ・セグメントで侮れない存在になりつつあります。2022年の最終四半期に20%の粗利率を達成し、今年を通してその粗利率を高める可能性があることから、月に2万台から2万5千台を販売することが現実味を帯びてきています。比較としては、テスラのモデルSとモデルXの最高の月は、月間15,000台程度でした。

また、12位のボルボXC40(うち4,699台がBEVバージョン)も印象的なモデルでした。BYDの高級車ブランドデンザは、大型MPVのD9が6,438台の登録台数を記録し、14位となりました。16位のNIO ET5は、このブランドに必要な台数を提供しており、新興企業がついにスタープレイヤーの位置を獲得したことになります。20位にはフォルクスワーゲンID.3がランクインし、フォルクスワーゲンのモデルとしては2台目となっています。19位にもBYDのモデルがランクインし、中型SUVのフリゲート07がベストセラーに登場しました。この結果、トップ20にはBYDが8台、デンザのD9を含めると9台がランクインしており、つまり、BYDは世界のベストセラーランキングのほぼ半分を占めていることになるのです。

また、ベストセラー表の下半分を見ると、1年前には18位のGACアイオンSしかなく、半数以上のモデル(Li Xiang L9とL8、デンザ D9、BYDシール、BYDフリゲート07、NIO ET5)は12ヶ月前には市場に存在していなかったのです。これは、現在のEV市場のボラティリティについて多くを語っており、新しいプレーヤーにはまだ多くのオープンフィールドがあるということです。

トップ20以外では、22位のアウディQ4 e-tronが、20位のフォルクスワーゲンID.3とわずか21台差で月間を終えているのが目を引きます。コンパクトなアウディがトップ20に顔を出す日も近いかもしれません。

 順位 モデル 販売台数 シェア(%)
1 Tesla Model Y 54,417 8.20%
2 BYD Song (BEV+PHEV) 49,889 7.50%
3 Tesla Model 3 42,496 6.40%
4 BYD Yuan Plus 23,279 3.50%
5 BYD Dolphin 17,412 2.60%
6 Wuling HongGuang Mini EV 16,418 2.50%
7 BYD Han (BEV+PHEV) 12,294 1.90%
8 BYD Qin Plus (BEV+PHEV) 11,593 1.80%
9 BYD Tang (BEV+PHEV) 8,959 1.40%
10 VW ID.4 8,771 1.30%
11 Li Xiang L9 7,996 1.20%
12 Volvo XC40 (BEV+PHEV) 7,492 1.10%
13 BYD Seal 6,618 1.00%
14 Denza D9 (BEV+PHEV) 6,438 1.00%
15 Li Xiang L8 6,099 0.90%
16 NIO ET5 5,795 0.90%
17 Hyundai Ioniq 5 5,203 0.80%
18 GAC Aion S 5,093 0.80%
19 BYD Frigate 07 5,043 0.80%
20 VW ID.3 4,984 0.80%
  Others 356,111 53.80%
  TOTAL 662,400 100%

メーカー別ランキング

1月はBYDが143,000台の登録台数を獲得し、2位のテスラに4万台以上の差をつけ、月間メーカーのタイトルを獲得しました。

しかし、1月のこの2社の最も顕著な点は、どちらも2022年1月と比較して、それぞれ約5万台ずつ販売台数を伸ばしたことです このランキングで3番目にスコアが良かったのは日産で、誰もこれに対抗することはできませんでした。他の2社とは異なり、日産は5,500台だけスコアを伸ばしましたが、これは、生産規模が大きく違う状況です。まるで、トップ2が全力疾走している間に、残りの競争相手がゆっくり歩いているような感じです。そして更に2023年は、その差がさらに拡大しそうです。

テスラは2022年春にギガ・テキサスとギガ・ベルリンという二つの新工場が立ち上がり、さらに値下げとモデル3のリフレッシュ(プロジェクト・ハイランド)によって需要が増加する予定です。そして2023年はもともとはバッテリー製造メーカーであるBYDがEVを中国から大量に輸出する最初の年となるでしょう。すでに昨年はコスタリカ、コロンビア、ノルウェー、スウェーデン、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランドなどの市場で数千台を販売し、今年もウルグアイ、ブラジル、タイ、シンガポールなどいくつかの市場で非常に有望視されている状況です。

前述の日産自動車についてですが、日産は1月の最大のサプライズで、15位にランクインし、前年同月比128%という、この表で紹介したブランドの中で最も高い成長率を記録しました。これは、日産が本国で小型軽自動車「さくら」を発売し、成功を収めたことが主な要因です。1月だけで4,213台の販売台数を記録しています。アリアの販売実績も悪くなかった(2,411台)です。しかし、日産のこの新しい電動SUVはまだ日産リーフ(3,654台)の販売台数には及ばないおで、もっと頑張る必要があるでしょう。

上位の順位についてですが、最後の表彰台はBMWで、登録台数は29,000台に迫りました。その多くは、中国事業が好調な月であったことによるものです。BMWは、世界最大のEV市場に対する勝利の方程式をようやく見つけたということなのかもしれません。

ボルボと長安は、BEV(小型)ラインナップの販売台数が好調で、長安はキュートなルミンや印象的なシェンランSL03のようなまともなラインナップを徐々に構築しているため、この2ブランドの販売台数は上昇傾向にあります。

中国のEV新興企業では、現在のスターはLiオートで、1万5千台以上の登録台数を記録し、月間10位で終了しました。Liオートはまだフルサイズカテゴリーでの成長に注力しており、将来のL6とL5中型モデルがこのブランドをどこまで成長させることができるのか疑問な状況です。その答えは、2024年には判明すると思います。後半は、フォードが16位と健闘し、2023年の幕開けを飾るにふさわしい結果となりました。

米国のメーカーでは、ジープが1月に9,235台の登録台数を記録し、18位となりました。20位のプジョーを抑え、ステランティスグループで最も売れているブランドとなりました。米国のEV優遇措置はPHEVにかなり手厚いので(優遇措置の詳細を書いた議員にステランティスが良い言葉をささやいたとも言える…)、ジープも「補助金の波」に乗り、販売台数を大きく伸ばすことが期待できます。

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 順位 ブランド 販売台数 シェア(%)
1 BYD 143,783 21.70%
2 Tesla 100,760 15.20%
3 BMW 28,593 4.30%
4 Volkswagen 22,426 3.40%
5 Mercedes 19,624 3.00%
6 Volvo 19,003 2.90%
7 Changan 18,408 2.80%
8 SGMW 17,677 2.70%
9 SAIC 15,640 2.40%
10 Li Auto 15,380 2.30%
11 Audi 13,184 2.00%
12 Kia 11,463 1.70%
13 Hyundai 10,960 1.70%
14 GAC 10,806 1.60%
15 Nissan 10,279 1.60%
16 Ford 10,266 1.50%
17 Geely 9,940 1.50%
18 Jeep 9,235 1.40%
19 NIO 8,526 1.30%
20 Peugeot 7,978 1.20%
  Others 158,469 23.90%
  TOTAL 662,400 100%

トップ20ランキングの外には、21位のトヨタが7,895台で再びランクインに近づいています。(bZ4X(3,285台)の販売台数増加の恩恵を受けて、日本の自動車メーカーはすぐにトップ20に入ることが予想されます。しかし、私たちは以前にもこのような経験をしたことがあります。トヨタは、このランキングの表に現れたことが一度や二度ではありません。2012年には第2位のメーカーになったこともあるのです。そして、何度もランク外になり転落してきました。今度こそは本気でランキングを駆け上がることができるのでしょうか?。

BEVだけを見ると、1月の登録台数は442,994台で、プラグイン販売台数全体の67%を占めています。テスラもBYDも2022年と同じポジションでスタートしましたが、それ以上に重要なのは、1月の市場占有率がともに上昇し、前者は18.2%から22.8%、後者は12.6%から16.1%と急伸したことです。この2つは本当に拡大の勢いが違います。

そして、トップ2がシェアを大きく伸ばした一方で、最も直接的な競合はシェアを落とし続けています。実際、3位のフォルクスワーゲン・グループ(7.8%、2022年12月は7.9%)、4位の上海汽車(6.9%、9.3%)、5位の吉利ボルボ(5.1%、5.3%)はいずれもシェアを落としています。

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