ブレーキはドライビングエクスペリエンスに不可欠ですが、すべてのシステムが同じように作られているわけではありません。回生ブレーキシステム(RBS:Regenerating Braking System)は、電気自動車を初めて運転したときに人々が気づく内燃機関車との最も大きな違いです。
一般的に言われる「回生」とは、テスラを運転しながらブレーキペダルに一切触れないことを可能にし(低速走行時にはブレーキブが作動する事もある)、ブレーキ部品の摩耗を減らすだけでなく、エネルギーをバッテリーに戻すことができます。回生ブレーキによって航続距離が10%伸び、ブレーキ機構の寿命が50%以上延びるという試算もあります。
テスラの回生ブレーキとは?
回生ブレーキは、摩擦に頼って車輪の回転を止める従来のブレーキとは異なり、車両の電気モーターを利用して抵抗を作り出し、車両を減速させるものです。ブレーキを使わずに減速することに加え、逆回転するモーターが発電機の役割を果たし、通常は熱として失われる運動エネルギーを取り込んで電気エネルギーに変換するため、車の航続距離を伸ばすことができます。
テスラの回生ブレーキのかけ方
テスラでは、回生ブレーキシステムはアクセルから足を離すことで作動します。アクセルを緩めれば緩めるほど、制動力が強くなり、より多くのエネルギーを取り込むことができます。
テスラのパワー・ブレーキメーター
すべてのテスラには、メータークラスタ(モデルSとX)またはセンタースクリーン(モデル3とモデルY)にパワーメーターが搭載され、回生ブレーキによって取り込まれるエネルギー量と、加速によって使われるエネルギー量が表示されます。線の中心をニュートラルとみなし、中心点より左側(緑色)はエネルギーを取り込んでいる状態、右側(黒色)はエネルギーを使っている状態を意味します。
回生ブレーキの線は緑色、電力の線は黒色(ダークモード時は白色)です。また、時折、左側にグレーのラインが表示されることがあります。これは、「回生ブレーキが制限されているときにブレーキをかける」機能がオンになっている場合に表示されます。この機能は、回生ブレーキが制限されているときにアクセルペダルから足を離すと、安定したブレーキ体験ができるようになります。また、車両がオートパイロットの場合、パワーメーターの左側にグレーの線が表示されることがあります。これは、車両が減速するために回生ブレーキや物理ブレーキを使用しているとき、ドライバーが理解するのに役立ちます。
回生ブレーキはどのように働くのか?
物理学にあまり深く立ち入る必要はありませんが、運動エネルギーとは、動いている物体が持っているエネルギーのことです。したがって、自動車が減速するときは、運動エネルギー削減分をどこかに移動させなければなりません。従来のブレーキでは、ブレーキパッドがローターを押しつぶすことで発生する摩耗熱が、その運動エネルギーの消費先でした。しかし、このエネルギーは別の使い道があるのです。テスラのエンジニアは、「走行中の車両に蓄えられる運動エネルギーは、車両の質量と速度の関係から、E = 1/2mv² という方程式で表される。」と述べています。
テスラを運転するたびに、車両のパワーメーターを見れば、この方程式が展開されているということになります。
モーターコントローラーは、モーターのトルクを管理します。この動作は、走行と回生ブレーキの両方に役立っています。アクセルペダルの位置が、モーターコントローラーにトルクの必要量を伝え、適切なトルクを発生する電圧や電流に変えます。回転力は、プラスとマイナスがあり、マイナスの場合は、車両が減速していることを意味し、同時にエネルギーがバッテリーに戻されることも意味します。
回生ブレーキの説明動画
ブレーキの寿命を延ばす回生ブレーキ
回生ブレーキのメリットの1つは、ブレーキの寿命を延ばすことができることです。回生ブレーキは、車を減速させ、従来のブレーキシステムの仕事を軽減します。テスラでは、従来のガソリン車と比較して、ブレーキの摩耗が50%少ないと推定しています。イーロン・マスク氏は、テスラセミには「文字通り永遠に使える」ブレーキパッドが搭載されると言っています。
回生ブレーキは、通常ブレーキ時に失われる運動エネルギーの最大70%を回収し、バッテリーに戻すと言われています。そのエネルギーは、前述したように、充電が必要な距離を伸ばすことができるのです。
ブレーキランプは点灯?
テスラは、回生ブレーキ時に、ブレーキが全く使用されていなくても、車両が減速しているときはブレーキライトを自動で点灯させます。この際、車両の減速度に基づいてブレーキランプを点灯させるかどうかを決定します。ブレーキライトが点灯しているかどうかわからない場合は、車内のスクリーンを見てもらうと、自車のブレーキライトが作動すると、スクリーン上の自車もブレーキライトが点灯表示します。
回生ブレーキのレベル
回生ブレーキはオフにすることができないので、注意が必要です。2020年以降のモデルには、「低」と「標準」の2つの回生ブレーキモードが用意されています。テスラは、車の航続距離を最大化するために、標準を使用することを推奨しています。2020年のある時点で、回生ブレーキ機能無しの選択肢がなくなったのは、おそらく回生ブレーキのメリットを常時使用するためと思われます。しかし、回生ブレーキは車を急速に減速させるため、トラクションが制限され、車が滑る可能性があり、その懸念もあったのです。テスラのホームページには、「雪道や凍結した路面では、回生ブレーキ中にトラクションが失われる可能性があります。」という警告が掲載されています。
冬用タイヤ
また、冬用タイヤを装着すると、一時的に回生が減少する可能性があることも報告されています。しかし、車両のシステムは常に再キャリブレーションを行っているため、数マイル乗車後にドライバーの慣れたフィーリングに戻るでしょう。あなたの車が使用しているタイヤの種類を選択することで、キャリブレーションプロセスをスピードアップすることができます。タイヤの種類を選択するには、コントロール > サービス > ホイールとタイヤ > タイヤと進み、適切なタイヤの種類を選択してください。
回生ブレーキの制限または低減
特定の条件下では、回生ブレーキが使用できないか、または制限されることがあります。この場合、車両のパワーメーターに点線が表示されることがあります。バッテリーがフル充電されている場合、運動エネルギーの行き場がありません。その結果、回生が効かなくなるのです。また、寒冷地ではバッテリーが冷えているため、回生ブレーキが制限されます。このような場合、「回生ブレーキが制限されているときにブレーキをかける」を選択することで、安定した減速を体験することができます。テスラは、「バッテリーの温度や充電状態によって回生ブレーキが制限される場合、あなたの車は自動的に通常のブレーキをかけ、安定した減速ができるようになりました。」と述べています。しかし、同社はこれを好みとして残しており、このオプションはオフにすることができるようになっています。コントロール>ペダル&ステアリングで有効にすることができます。
停止モード
回生ブレーキは特定の速度で最も効果的に働きますが、走行速度が遅すぎる場合、回生ブレーキは制限されるか、まったく使用できないことがあります。テスラでは、アクセルペダルから足を離すと、いつでも回生ブレーキが働きます。しかし、ほとんどの時間をシングルペダルで運転できるテスラの「ホールド」停止モードを使用している場合、4 MPH (6.5 km/h) 以下の速度で走行すると、車両は自動的にブレーキをゆっくりと掛けます。テスラの「クリープ」または「ロール」停止モードを使っている場合、アクセルから足を離しても車両がブレーキをかけることはないため、回生ブレーキの効果がなくなると、低速で車両がロールし続けることになります。
回生ブレーキの歴史
テスラは、2008年に最初の車であるロードスターで回生ブレーキを採用しました。その1年後、F1でも同じ仕組みのシステムが実装されました。Kinetic Energy Recovery Systemの頭文字をとってKERSと呼ばれるていましたが、あまりの馬力アップに、1シーズンで禁止され、翌年から規制されることになりました。
しかし、この回生ブレーキの歴史古く1886年のスプラグ・エレクトリック・レイルウェイ・アンド・モーター・カンパニーが最も早くこの技術を使用したことが知られています。1936年にはゼネラル・エレクトリック社が機関車に、スイスのエリコン社がジャイロバスにこのシステムの一部のコンポーネントを利用し、回生ブレーキを採用しています。アメリカン・モーター・カー・カンパニーが製作したコンセプト電気自動車「アミトロン」は、回生ブレーキをデザインに取り入れていますし、トヨタは1997年にプリウスハイブリッドでこの技術を自社ブランドに導入されています。
回生ブレーキは、メンテナンスコストを削減するだけでなく、車両の航続距離を伸ばし、ドライバーがペダル1つで加速と減速ができるため、現在では電気自動車の定番となっています。
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