テスラ 2021年第4四半期決算発表についての詳報

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Credit:Tesla
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今回は、2022年1月に行われたテスラの2021年第4四半期決算内容について、決算発表に際しての資料の翻訳をもとに詳しくお伝えします。

ハイライト

キャッシュ

  • 第4四半期の営業キャッシュフローから設備投資を差し引いたフリーキャッシュフローは28億ドル
  • 第4四半期の現金および現金同等物は、合計で15億ドル増加し、176億ドルとなった

収益性

  • 第4四半期の営業利益は26億ドル(GAAPベース)、営業利益率は14.7%。
  • 第4四半期のGAAPベースの純利益は23億ドル、非GAAPベースの純利益(SBC1を除く)は29億ドル
  • 第4四半期のGAAPベースの自動車部門売上総利益率30.6%(CO2排出量クレジット控除後29.2%)

オペレーション

  • 2021年累計の車両納入台数は過去最高の94万台
  • 2021年第4四半期に、年間122万台以上の生産稼働能力を達成

GAAPとは?
英文「Generally Accepted Accounting Principles」の略。「一般に公正妥当と認められた会計原則」のことで、米国会計基準はUS-GAAPと呼ばれており、多くの米国企業はGAAPとNon-GAAPの2種類の指標で利益を発表する。Non-GAAPは、GAAPから一時的な損益を除いた調整後の金額を指す。

サマリー

  • 2021年はテスラにとって飛躍の年で、私達の電気自動車の実現可能性と収益性についてもはや疑う余地の無い状態です。
  • 2021年の販売台数は昨年比87%増加し、四半期ベースで最高の営業利益を達成しました。
  • 最新の調査データに基づくと、既存自動車メーカーの中でマージンが最も高くなり、EVは内燃機関より収益性が高いことを実証しています。
  • さらに、GAAPベースの純利益を55億ドル、フリーキャッシュフローを50億ドル創出しました。
  • 新工場の建設やその他の資本支出などに65億ドルを費やしたにも関わらず、2021年にはキャッシュフローが増加しました。
  • 2021年の成功の後、私たちの焦点は未来に移り、2022年の私たちの目標は生産量をできるだけ早く拡大することです。
  • 米国テキサスオースチンやドイツベルリンの新工場での生産開始はもちろんのこと、米国カリフォルニア州フリーモントと中国上海にある既設の工場でも生産その生産性を最大限に高めます。
  • EV市場での競争力を左右するのはサプライチェーン全体で生産能力を増強することです。
  • 完全自動運転(FSD)ソフトウェアは、引き続き当社の主要な分野の一つで、ソフトウエア関連の利益は、時間の経過とともに、当社全体を加速させるはずです。さらに重要なことは、FSDが、より良いサービスを提供するための重要な要素であることです。
  • 自動車の安全性を高めると同時に、世界の自動車産業の電気自動車への移行をさらに加速させ、利用率を上げることで、持続可能なエネルギー実現に貢献します。

財務概要

2021年度財務概要
2017-2021年度財務概要

売上

第4四半期の総収入は前年同期比65%増の177億ドル。前年同期比では、以下の項目が収益に影響を及ぼした。

 +車両販売台数の増加
 +その他の事業部分の成長

収益性

第4四半期の営業利益は前年同期比26億ドル改善し、営業利益率は14.7%となりました。この利益水準は、第4四半期に2018年のCEOに帰属する株式報酬費用2億45百万ドルを発生させながら、最後の2つのオペレーションマイルストーンが確約されたことにより達成されたものです。前年同期比では、営業利益は主に以下の項目による影響を受けました。

 +車両1台あたりのコスト(COGS)のさらなる削減
 +納車台数の増加
 +自動車リース、サービス&アテンダント事業の収益性改善

 ー主に2012年CEO賞のオプション行使に伴う給与税3億4000万ドルによる販売管理費の増加
 ー原材料、商品、物流、迅速化コストの上昇
 ー特定の車種に関連する保証およびリコール費用の増加

キャッシュ

第4四半期の現金および現金同等物は、主に28億ドルのフリーキャッシュフローにより、前期比15億ドル増の176億ドルとなり、15億ドルの純負債およびファイナンスリース返済で一部相殺されました。車両とエネルギー製品のファイナンスを除いた当社の負債総額は、2021年末にはわずか14億ドルに減少しています。

オペレーション概要

2021年度オペレーション概要
2017-2021年度オペレーション概要

当四半期は、世界的なサプライチェーン、輸送、労働力などの製造上の課題が継続し、工場のフル稼働が制限されました。

米国:カリフォルニア・テキサス

2021年後半からギガファクトリー・テキサスでモデルYの建造を開始します。このオースティン製モデルYの最終認証後、顧客への納品を開始する予定です。
カリフォルニア州フリーモント工場は2021年に過去最高の生産台数を達成しました。全体の生産能力を年産60万台以上に拡大できる可能性があると考えています。新工場を立ち上げながら、フリーモント工場の生産量を最大化することを目指します。

中国:上海

モデル3、モデルYともに、2021年を通じてさらに生産が拡大し続けました。現地生産は、1台あたりのコストを削減し、グローバルサプライチェーンの安定性を向上させるために不可欠です。ギガファクトリー上海は、引き続き当社の主要な輸出拠点となります。

欧州:ドイツベルリン・ブランデンブルグ

2021年後半から車両生産工程を通じた機器テストが開始されました。現在も現地当局からの製造許可証の最終手続きを進めており、これによってドイツ製車両の欧州での納入を開始する予定です。これらの最初の車両は、2170型セルを使用して製造される予定です。
設置容量≠現在の生産量であり、設置容量が生産量に近づくと限界が見えてくる可能性があります。生産速度は、設備の稼働率、部品供給、工場のアップグレードに関連する操業停止、規制上の考慮事項など、さまざまな要因に左右されます。

製造能力≠現在の生産量であり、生産量が製造能力に近づくにつれて限界が見えてくる可能性があります。生産率は、機器の稼働率、部品の供給状況、工場のアップグレードに伴うダウンタイム、規制上の考慮事項など、さまざまな要因に左右されます。

コア・テクノロジー

オートパイロットと完全自動運転(FSD)

チームはFSDベータ版ソフトウェアの継続的開発を続け、四半期を通して7回のアップデートをリリースしました。第3四半期には数千台だったFSDベータ版の米国での販売台数を、現在では6万台近くまで増やすことに成功しました。

IIHS(米国道路安全保険協会)から、ビジョン・オンリー(センサーを使わないカメラ映像だけ)のモデル3とモデルYに対して、衝突回避機能で「優」を獲得し、最高評価の授与を受けました。

自動車ソフトウェア

第4四半期には、カスタマイズ可能なアプリランチャー、簡素化されたコントロールメニュー、ダークモード外観のサポートを特徴とする新しいユーザーインターフェイスをリリースしました。

追加機能として、方向指示器作動時の死角ライブビュー、編集可能なナビゲーション経由地追加、多数の新しいゲーム、エンターテインメント、オーディオ機能のアップデートなどがあります。また、当四半期の前半には、セントリーモードがアクティブなときに車のカメラのライブビューをモバイルアプリで確認できる機能を追加しました。

バッテリーとパワートレイン

「製造」はテスラの重要なコアコンピタンスです。EVはバッテリーが高価なため、構造的に採算が合わないと判断されがちですが、私たちは、製造の革新、専用車両、工場がコストの懸念を解消すると確信していました。

2021年第3四半期、テスラはすべての既存自動車メーカーの中で最も高い営業利益率を達成しました。車両1台あたりのコスト(COGS)は、2021年第3四半期と第4四半期の両方で、36,000ドルに低下しました。

メガキャストと呼ばれる超大型鋳造部品、ストラクチャラルバッテリーパック、4680型セルなど、現在進行中のプロジェクトにより、今後も製品コストを最小化できると考えています。

その他のハイライト

蓄電事業

2021年の電力蓄電設備の導入は、メガパックの好調を主因に前年比32%増となりました。需要が生産能力を大幅に上回る状態が続いているため、成長は供給によって制限されています。需要増に対応するため、メガパック専用工場の建設を進めているところです。

ソーラー事業

2021年の太陽光発電設備導入量は345MW、前年比68%増で、現金/ローン購入がほぼすべてを占めています。ソーラールーフの導入量は2021年に前年比約3倍となり、第4四半期も順次増加しました。設置工事を中心にさらなるコスト改善を図り、エネルギー事業の収益性を高めています。

サービスその他

2021年、サービスその他の売上総利益率はマイナス2.7%に上昇し、過去5年間で最高のパフォーマンスとなり、2021年第4四半期には損益分岐点を少し上回りました。2021年の中古車販売は好調を維持していますが、サービス、商品、部品販売など他の部分の利益貢献も向上しています。

蓄電池の導入量推移(GWh)
家庭用太陽光発電設備の導入推移(MW)

見通し

製造販売量

当社は、生産能力を可能な限り迅速に拡大する計画です。数年先には、年平均50%の車両納入台数の伸びを達成できると見込んでいます。この成長率は、当社の設備能力、業務効率、サプライチェーンの能力と安定性に依存します。サプライチェーンが主な制限要因となったため、当社の自社工場は数四半期にわたって生産能力を下回っていますが、これは2022年まで続くと思われます。

キャッシュ

当社は、製品ロードマップ、長期的な生産能力拡大計画、およびその他の費用に充当するための十分な流動性を有しています。

利益

製造コストおよびオペレーションコストの削減のためのイノベーションを継続的に実行する一方、時間の経過とともに、ハードウエア関連の利益はソフトウエア関連の利益の加速を伴うものと考えています。

製品

テキサスオースティンおよびベルリンにおける生産拡大のペースは、多くの新製品および製造技術の新拠点への導入の成功、サプライチェーンに関連する継続的な課題、地域の許認可などに影響されるでしょう。サイバートラックの工業化も進んでおり、現在、モデルYに続いてオースティンでの生産が予定されています。

テスラの2021年第4四半期の資料はここからアクセスできます。

テスラ「セミ」
ギガファクトリー・テキサス
ギガファクトリー・ベルリン
ギガファクトリー上海
この記事は決算資料を引用・翻訳・編集して作成しています。

地合の悪さもあるとは思いますが、この内容だとTSLA株が下がるのも致し方ないかも。

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