日本国内に輸入される自動車については、業界団体日本自動車輸入組合(JAIA:Japan Automobile Importers Association)が月次速報としてまとめて統計情報を公表しています。今回は、この統計情報から、日本国内で一体テスラが何台売れているのか?を推計してみたいと思います。
統計情報に「テスラ」は無い
そもそもテスラ社は、国別の販売・納車台数を公表していません。2021年累計で販売されたテスラ車は先日のエントリーでお伝えしたようにおよそ93万6千台となっており、日本でいうとスバルの規模に匹敵するまでになりました。
本来であれば、公的な情報によりテスラの輸入台数の正確なところも判明するはずなのですが、JAIAの統計情報には「TESLA」の項目がありません。この組合に入っていないからかと思い確認しましたが、「テスラモーターズジャパン合同会社」はきちんと組合員となっています。
理由は定かではないですが、下記の輸入車リストがこの統計情報に掲載されている車種の全てとなります。
Mercedes-Benz | Land Rover | Chevrolet | Lancia |
VW | Mitsubishi | Scania | Buick |
BMW | ABARTH | Lotus | Pontiac |
Audi | Jaguar | McLaren | Mini |
BMW MINI | Alfa Romeo | Rolls Royce | Bugatti |
Toyota | Ferrari | Aston Martin | Detomaso |
Volvo | Maserati | smart | Hummer |
Nissan | DS | BMW Alpina | Maybach |
Jeep | Lamborghini | Autobianchi | Kia |
Peugeot | Mazda | GMC | Opel |
Honda | Ford | Morgan | Others |
Porsche | StreetScooter | Rover | |
Renault | Cadillac | Unimog | |
Fiat | Volvo Truck | Chrysler | |
Citroen | Bentley | Hyundai | |
Suzuki | Dodge | MG |
上記の車種リストの最後に、「Others」(その他の車種)という項目がありますが、テスラ車はこの「Others」に計上され、この内数とのことです。この「Others」の中には、最近流行りの中国製EVなどの含まれると思いますので、今回の数字は「Others」の中から「小型」(テスラは小型が無いので)を除いた台数をまとめています。そういう意味では、正確な数字ではなくおよその数字ということになります。
2021年はEV躍進の年
実は、日本国内で販売された電気自動車も増加しています。国内メーカーは日産以外非常に消極的で、プラグインハイブリッドや単なるハイブリッド車を未だに販売しようとしています。先日ようやくトヨタがEVへの道筋を示しましたが、世界販売台数で競い合うフォルクスワーゲン社と比較すると、その取組内容はまだまだ消極的といえる水準です。
そういう状況の中にあっても、EVの充電に対する不安を乗り超えて日本国内で世界の趨勢に遅れながらもようやくEV販売台数が大幅に増加する傾向を示しつつあります。
ブルームバーグの記事によると、昨年の輸入EV新規登録台数は8610台で前年比約2.7倍と急拡大しているようです。
この勢いを牽引したのがテスラということで、グラフの勢いだけ見ると日本におけるEV元年と言えるような状況といえます。
日本では前年比276%の販売台数
ブルームバーグの記事によると、2021年の輸入EVの新規登録台数は8610台と前の年(3238台)の約2.7倍に拡大しています。
このうちテスラ車はおよそ5196台で、前年が1884台なので前年比で276%の販売台数となっています。つまり、輸入EV車の約6割がテスラ車ということになります。このように2021年に日本国内でテスラ車の販売台数が急拡大したのは、ひとえに2月17日に実施されたモデル3の大幅値下げが大きな要因です。
直近では、世界的なサプライチェーンの問題やマイクロチップ不足などを背景に小刻みに値上げを実施していますが、国の補助を勘案するとまだまだ安価に手に入れることができる状態です。
このテスラの販売台数を月次で示したのが下のグラフとなります。モデルSやモデルXはリフレッシュされた時期と重なるので、モデルYが発売されていない日本では、販売台数は実質的にモデル3の販売台数と推測できます。
このグラフを見ると、昨年の販売は9月と12月に集中していることがわかりますが、四半期の最終月に販売が急増する傾向がテスラにはあります。また、今年も2月17日に実施された値下げにより一気に3月から(4月を除いて)概ね500台前後の販売台数で推移していることが見て取れます。
この2021年累計販売台数5196台が、日本国内での輸入車販売ランキングでいうとどの程度の順位かというと、シトロエンの台数を超える15位程度ということになります。2月に値下げ、3月から実質納車なので、その分考慮する必要はありますが、まだまだ輸入車の中で存在感があるレベルとは言い難いのが実情です。
テスラ最大のマーケットとなっている中国では、2021年12月単月だけで7万台以上販売していることを考えると、非常に小さい規模ですが、対前年での伸び率は中国が約2倍なので、日本市場の方が伸びているともいえます。
2022年にはおそらく「世界で最も売れる自動車」を目指すとしているSUVのモデルYの国内発売も確実視されますので、テスラのマーケットシェアがどの程度まで伸びるか楽しみです。
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