先日の新型モデルYの注文受付が開始される前に、テスラはモデルYの「在庫車」に限って、今回と同じスーパーチャージャー5年間無料キャンペーンを開始しました。
そして、この同じキャンペーンを今度はモデル3、それも「在庫車」に限らず通常の注文分の新車(カスタムオーダー)にも適用を開始しました。
モデル3 スーパーチャージャー充電が5年間無料
以下の案内にあるように適用条件として「対象車両を1月1日以降に注文」となっていますので、特にモデル3を既に注文された方も、3月末の納車の場合には遡って適用するということになります。

テスラの案内の詳細は以下のとおりです。
Model 3をご購入されたお客様は、納車後5年間無料でスーパーチャージャーをご利用いただけます。特典を獲得するには、2025年1月1日以降の新規ご注文で2025年3月31日までに納車を完了する必要があります。2024年12月31日までに入れた未納車のご注文をお待ちのお客様が2025年1月1日以降に新規ご注文いただいたとしても、本キャンペーンの対象とはなりません。本特典はお客様のテスラアカウントと連動しているため、他のお客様または車両に譲渡することはできません。中古車および業務目的(タクシー、ライドシェア、デリバリーサービスなど)に使用される車両は本キャンペーンの対象外となります。充電完了後の車両放置時や混雑時などに発生するアイドル料金(充電時間超過料金)は本特典に含まれません。本プログラムは予告なく変更または終了する場合があります。
注意点としては、昨年中に注文しており未納車の場合、一旦キャンセルして再度エントリーしても適用外ということです。おそらくこれは、昨年末まで紹介キャンペーンとして15万円の値引きを実施していたことと関係があると思いますので、特にご注意ください。
バッテリー劣化の懸念
少し気になるのは、急速充電ばかりするとバッテリー劣化につながるのでは?という不安です。テスラのスーパーチャージャーはプレコンディショニングというバッテリー予熱をして、急速充電を実現します。この温度は私のモデル3SR+では、OBDの表示でおよそ45℃まで予熱したうえで350〜370ボルトの電圧で最大170kWもの充電出力で充電します。
これは直感的にバッテリーの状態に悪影響を与えるように思われますが、実際にはこのテスラの優れた温度管理が逆にバッテリー劣化を抑えるという実際のクルマのデータが有りますのでご安心ください。
詳細は、以下の記事を参照いただければよいですが概要だけお伝えすると12500台のテスラ車を調査して急速充電によるバッテリー劣化の統計的に有意な差は見られなかったということです。
「12,500台のテスラ車の急速充電の影響を調査し、その結果、スーパーチャージャーを使用して90%以上充電したテスラモデル3と、スーパーチャージャーをわずか10%しか使用せずに充電したテスラモデル3では、バッテリーの劣化に統計的に有意な差は見られませんでした。そしてモデルYの場合も同様です」
どの程度お得か?
テスラのスーパーチャージャーの利用料金は、クルマの値段と同じようにその時期によってダイナミックに変化するので、コストメリットは何と比較するかで大きく違ってきます。
テスラの主張は、同じ距離を内燃機関車で走行した場合と比較した場合です。この場合、年間1万kmを走行するのにガソリン車の平均燃費が10km/L、ガソリンが160円/Lとするとこれをすべてスーパーチャージャーの無料充電に置き換えると1年間で16万円もの節約ということになります。そして、これが5年間も続くので80万円もの節約です。これは大きい金額で、仮に私のように5千km/年程度しか走らない場合でも5年間で40万円ですから無視できない金額となります。
一方で、既にテスラに乗っている方はテスラ車の充電料金と比較して、となると思います。この場合には年間1万kmを走行するのに必要な電力量をどの単位価格で購入したかということとの比較となります。このデータはいろいろな見方があるとは思いますが、以下の私のOBDデータによると全充電電力量は5,572kWhとなっており、その間18,256km走行しています。ちなみに、テスラがクルマで表示している電費はDrive Totalの3,083kWhの電力量を走行距離で割り算した168W/kmです。
実際には、充電した電力は充電時にもロスがあり、更にEVの宿命ですが「ファントムドレイン」という放置した状態でも電力が徐々になくなっていく現象や、特にテスラ車は最近改善されたとはいえセントリーモード(警戒モード)時の電力消費が非常に激しいです。
実際に5,572kWhの充電をしても運転に使っている電力はその55%程度の3,083kWhということです。一方で、電力料金は充電総量5,572kWhにかかりますので、累計走行距離で割って1km走行するために305Wの電力を消費している計算になります。概ね1kWhあたりの電力料金を35円/kWhとすると、10.7円/kmの電費という計算です。年間1万kmで10万7千円、5千kmであればその半分の5万3500円ということになります。ガソリン車との比較よりは、少し少ないですが十分な節約金額ともいえる水準です。
スーパーチャージャーだけで運用可能か?
これは結論から言うと、自宅充電設備がある方であれば可能、ということになります。よほど近い距離にスーパーチャージャーがあれば別ですが、初めての電気自動車、それも「常識の通じない」テスラ車の場合では、安心を買うイメージで自宅充電は必須だと思います。
この画像は、この1年間で可能な限りスーパーチャージャーで運用した結果です。自宅充電設備のある私の自宅から最寄りのスーパーチャージャーまでおよそ10kmある環境で、2週間に1回のペースでスーパーチャージャーを使いました。
私の場合には、もともとスーパーチャージャー無料のクレジットがあるので、スーパーチャージャーがバッテリー劣化に影響を与えないという記事を読んで、スーパーチャージャー充電中心に変えてみた結果です。
実際には、どうしても時間の都合で自宅充電すろとか、旅先でスーパーチャージャーがないときにCHAdeMOをつかうとか、全部をスーパーチャージャー充電にするのはかなり負荷のかかるので、自宅充電設備があることが前提ということになります。
ちなみに、このようにスーパーチャージャー中心で運用した状況でのバッテリー劣化は、記事の通り「ほぼない」という結果となっています。下の記事は去年9月の状況で、そこから3ヶ月経過してもバッテリーの満充電時のOBD表示は50.5kWhから50.2kWhとわずか0.3kWhの劣化にとどまっています。
上の記事の通り、最初はバッテリー劣化が早いが、徐々に劣化スピードが遅くなるという結果のとおりですので、ご安心ください。
いずれにせよ、今回のモデル3のキャンペーンは、通常のカスタムオーダー車も対象ですし、上記にように結構コストインパクトも大きいので、テスラを考えている方には非常におすすめしたいキャンペーンになります。
テスラ関連の最新記事を毎日随時アップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。
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