2021年3月20日に納車されたモデル3スタンダードレンジプラスが、この9月20日でちょうど3年半経過しました。これまで概ね半年ごとに、バッテリーの劣化状況について報告してきましたので、今回はその最新情報となります。
ちなみに、過去の劣化状況は以下のページをご覧ください。
気温がバッテリーに与える影響
これまで3年半の経験から、明らかに感じるのはバッテリー電気自動車(といってもテスラ車ですが)の航続距離は季節影響が非常に大きいという事です。特に、寒い時期は表示されている航続距離を2割引きするくらいでちょうどよい感じになります。これは、おそらくバッテリーのコンディショニングや空調に必要なエネルギーが冬季により多く必要だからだと思われます。つまり、逆から言うと、温かい時期、特に夏の時期はクーラーをかけてもさほど航続距離に影響するようには感じません。
上記のような「肌感」から、バッテリーの劣化に与える影響は冬場の方が大きく、夏場の方が少ないと感じるのですが、米国リカレント社が報告している以下の記事では、逆に暑熱環境の方がバッテリー劣化を促進するという実証結果があります。
確かに、熱い環境の方が分子活動が活発でバッテリー劣化を促進するというのも原理的にはうなずけます。
充電方式がバッテリー劣化に与える影響
また、温度以外のバッテリー劣化ファクターとしては、以前から急速充電が悪影響を与えるといわれていました。これも、感覚的には「無理して高温で急速に」バッテリー充電することになるので、その悪影響がありそうに思います。しかしながら、実際のテスラ車の集められたデータによると、この急速充電による影響はほぼないことが分かっています。
実は上記の記事を見て、私のモデル3はこの1年間は主にテスラスーパーチャージャーでの充電で運用しています。スーパーチャージャーはそれほど近くないので、ある程度充電が減った状況(20~70%程度)で都度スーパーチャージャーに向かい急速充電ののち、自宅に帰って(その時点で概ね充電残量は97%程度)自宅で普通充電器につないで、継ぎ足し充電のような運用を1年以上継続しています。
これも所説あるようですが、少なくともLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーでは週に1回程度は100%充電になるような運用がテスラのマニュアルでも推奨されていますので、上記のような急速充電+普通充電継ぎ足しで100%にする運用を2週間間隔で過去1年間ほど運用しています。
以下のグラフの赤色がスーパーチャージャーによる急速充電、青色が自宅での普通充電を表します。つまり、1年間の全体の8割がスーパーチャージャーによる急速充電、15%が自宅充電という運用です。
その結果が、以下のある通りですので急速充電による影響は「ほぼない」と思われます。
劣化スピードが緩やかに
以下のグラフを見るとお分かりのように、この半年間はバッテリー劣化がほぼ見られない状況です。例えば、去年の同時期と比較しても劣化スピードが非常に遅くなっています。上記のようにこれからの寒い時期にどのように変化するのかも見ていく必要はあるのは事実ですが、一般論として正しく温度管理がされているEVバッテリーの劣化は、最初の2年間は早く劣化し、その後は劣化が緩やかになるといわれていますので、実際にその通りになっているとも思われます。
納車時点で425kmの航続距離が3年半で394kmになっていますので、92.7%、つまり7.3%の劣化ということで、1年間でおよそ2%劣化するということになります。仮に10年経過しても80%、340kmという事なので全く問題ないレベルといえるでしょう。
以下のOBDのデータによると、バッテリーキャリブレーションの関係でSOCが101%と100%を超えていますが、スーパーチャージャーで急速充電をすると最後のバッテリーキャリブレーションでこのようになります。
私自身もかつては、バッテリーの劣化状況が不安要素の一つでしたが、実際には携帯電話のバッテリーのような劣化状況にはならず、上記のように経年的に劣化スピードが緩やかになるので、最近はほとんど気にならなくなりました。
こうした実際の状況が一般の人にまで周知されるのには相当程度の時間がかかると思われますし、テスラは積極的にPRするとも思えないので、日本国内でEVが普及するためには、BYDやNIO、Geekrといった中国新興EVメーカーをはじめとする「外圧」しかないようにも思います。
テスラ関連の最新記事を毎日随時アップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。
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