テスラは、常にソフトウェア・アップデートで機能更新、追加していくことで知られていますし、その機能の「更新・追加」ぶりには目を瞠るものがあります。
例えば、直近のホリデーアップデート2024(毎年クリスマスホリデーシーズンに大型アップデーを配信する)では、アップルウォッチの対応や目的地での天気(雨雲レーダー)、旧型(HW3)でのパフォーマンス改善など1回のアップデートで数え切れないくらいの機能更新・追加をしてくれます。もちろん無料で。
その詳細は、上のリンクをご覧いただければと思うのですが、その回数と機能更新の数もさることながら、当方のモデル3は今はなき2021年製のモデル3スタンダードレンジ・プラスです。このクルマの自動運転に使うコンピュータ類は旧型のHW3(ハードウェア3)で、インフォテイメントシステムの心臓部は1世代前のIntel Atomチップを搭載した旧式のモデルとなっています。
今回は、この旧型モデルに、ホリデーアップデートでオートパーキングの機能が降ってきたのですが、単なる機能更新というより、それまでのオートパーキングとは根本的に実現の方法が違う最新の「テスラビジョン」方式のオートパーキングです。
テスラビジョンとは
テスラビジョン(かつてはピュアビジョンとも称していた)とは、一言でいうとすべてをカメラ映像に頼った自動運転ということです。テスラは世界中で累計5百万台以上のEVを常に動かしており、そのほぼすべての車両には概ね8つのカメラが備えられており、その映像を米国(あるいは中国)のデータセンターに常に収集しています。この映像データを元に、ニューラルネットワークによるAIで深層学習させ、その結果を自動車にフィードバックして自動運転を実現するアプローチを採用しています。
他の自動車メーカーの自動運転は、カメラはもちろんの事、高精細なマップデータやLiDAR、レーダー、超音波センサーなどの複数の入力データを活用して自動運転を実現するアプローチを取っています。
一方で、イーロン・マスクCEO率いるテスラは、人間が顔に付いている二つの目だけで運転出来るのだから、カメラが8つも有れば人間の運転より数段安全な自動運転を実現できるという「強い意志」からのアプローチを現実のものにしようとしています。
テスラビジョンの自動運転は、映像の入力からその解析、運転操作(ハンドルやブレーキなど)に至るまで「エンドツーエンド」でカメラ映像を元にした人工知能により実現します。このアプローチで北米ではFSD(Full Self-Driving)がサービス提供され、最新のV13.2.2では「ほぼ」自動運転を実現しています。そして、高精細マップデータなど不要なので、学習さえ終わっていれば火星でさえも自動運転可能だと言われています。
この同じアプローチを使ったのが今回ご紹介するテスラビジョンのオートパーキングです。
人間より高精度
今回、旧型車両で試したオートパーキングでも、十分使用に耐える精度でした。
並列駐車の場合
最新の自動運転ハードウェアHW4の場合には「ハイ・フィデリティ」オートパーキングと称する上の映像のような2D表示ではなく、3D表示で同じくテスラビジョンを使ったオートパーキングを実現しているのですが、このHW3バージョンでも何ら問題なく動いているように思います。
駐車スペースの認識は、あくまで「白線」のようで、その白線内の中央にきっちりとまっています。
縦列駐車の場合
縦列駐車は、そもそもあまりその機会がない分、余計にこのテスラのオートパーキングのほうが制度が高いように思われます。
駐車スペースのカスタマイズ
どうもこのテスラビジョンのオートパーキングの挙動を見ていると、クルマの並びと駐車スペースの白線を認識しているように思えたので、自宅の駐車場に白色のガムテープで下の写真のような駐車スペースを模す白線を入れてみました。
その結果、やはりテスラはこのスペースを駐車場と認識し、オートパーキングが自宅でも使えるようになりました。ただ、自宅の駐車スペースは両脇が壁になっているので、このスペースを認識するためには、そもそも駐車動作に入らないと認識しませんので、あまり実用的ではありません。
上のようなオートパーキングの機能を使うためには、「エンハンスト オートパイロット」(強化型オートパイロット)という機能アップデートのオプション(¥436,000)が必要となります。この機能に加えてサモン(召喚:スマホアプリでテスラ車をリモコンで操作できる機能、ただし少し前に出るだけなので…)やナビゲーション・オン・オートパイロット(高速道路でナビの案内に応じて自動的に車線変更したり、出口を出たりする機能)も追加されますが、放っておいてもどんどん機能アップデートしていくクルマなので、40万円以上出すような価値はないように思います。
今後の展開
もう少し?するとサモンの「本物」と言われるアクチュアリー・スマートサモンという機能が日本国内でも実現すると思います。すでに北米や中国では導入されている自動運転機能で、60メーターまで離れたテスラ車を自分のもとまで「無人運転」で呼び寄せる機能です。通常は、大きなショッピングセンター内の駐車場などで使います。(逆に北米ですら公道では使用が認められてれていません)
仕組みは、オートパーキングと同じように、テスラビジョンのニューラルネットワークによる強化学習で、エンドツーエンドに機能する自動運転機能となるので、その精度は驚くほど正確なようです。
このアクチュアリー・スマートサモン機能がエンハンスト・オートパイロットで使えるようになると、オプション代金を支払うのにふさわしいものになると思います。
オートパーキング以外のサモンやナビゲート・オン・オートパイロットなどのエンハンスト オートパイロットの機能についてはまた改めてまとめてご紹介します。最後までお読みいただきありがとうございました。
【2026年最新追記】その後のアップデートでの進化とHW3の現在地
本記事の検証からさらにソフトウェアアップデートが重ねられ、旧型HW3(ハードウェア3)におけるテスラビジョン・オートパーキングの使い勝手もさらに洗練されてきました。長期的に日常利用した上での最新の評価と経緯を追記します。
1. 駐車スピードと切り返し制御の最適化
ホリデーアップデートで最初に降ってきた当初は、安全マージンを過剰に取っていたため「後続車がいると待たせてしまって気まずい」「切り返しがややぎこちない」という場面がありました。しかし、その後のマイナーアップデートにより、周囲の障害物との距離判定アルゴリズムが改善され、よりスムーズかつ一般的なドライバーに近い速度感でスッと枠内に収まるように進化しています。
2. 最新HW4車との実力比較:HW3はまだ戦えるか?
最新のHW4(高解像度カメラ搭載)モデルと比較した場合のポイントは以下の通りです:
- 画面の表示方法: HW4は立体的な3D空間を描画する「ハイ・フィデリティ表示」ですが、HW3はシンプルなトップビュー2D表示です。見栄えはHW4が圧倒的ですが、実際の駐車精度そのものには大きな差はありません。
- 悪天候・夜間の認識: 雨天の夜間や白線が擦れて消えかかっている駐車場では、カメラ感度が高いHW4の方が枠認識が安定します。とはいえ、両脇に車が停まっている状況であれば、HW3でも車間を正しく捉えて進入してくれます。
3. よくある疑問と実用Q&A
Q. 白線がない砂利やアスファルトでも駐車できる?
A. 左右に他の車両が駐車されていれば、その隙間を「駐車スペース」としてニューラルネットワークが推定認識してくれます。完全に何もない広場では白線が必要です。
Q. 動作中に歩行者や車が横切ったら?
A. テスラビジョンのカメラが即座に反応し、ブレーキがかかって一時停止します。障害物が通過すると自動で駐車動作を再開するため、安全性は非常に高いです。
4. まとめ:旧型HW3車でも「買い替える必要はない」レベルの満足度
テスラを購入して数年が経過した旧型モデル(Intel Atom + HW3)でも、最新のテスラビジョン自動駐車がこれほど高精度に動作し続けるのは、まさに「OTAアップデートで進化するテスラ」の真骨頂と言えます。すでにEAP(エンハンスト オートパイロット)を契約している方は、ぜひ日常のスーパーや商業施設の駐車場で積極的に活用してみてください。
テスラ関連の最新記事を毎日随時アップしていますので、過去のニュースはこちらを参照ください。
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