「完全自動運転」は夢物語?テスラの約束と現実のギャップとは

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テスラは「完全自動運転」に関するソフトウェアオプションの移行について正しい対応を拒否し、その代わりに、オーナーを目的地に届ける能力がない≒完全自動運転が実現できていないこと、を棚に上げています。

私はテスラに対して、FSDオプションの別のクルマへの移行について正しい対応をするべきだという話をしたばかりです。それに対して私は「明確なノー」という答えを得ました。

テスラは、文字通り、以前人々に約束し販売していたオプション機能である「無人自動運転」ソフトウェアを、新型車を注文してもらうための「需要喚起策」として利用しているということなのです。

背景

ご存じない方のために補足すると、テスラは2016年から「完全自動運転パッケージ」(FSD)と呼ばれるオプションを販売しており、これは高度な運転支援機能を含んでいます。また、テスラは当初からこのオプション購入者に対して、OTA(無線)ソフトウェアアップデートにより、最終的には監視なしの完全自動運転機能を実現することを約束しています。

当初、テスラは2016年以降に生産された「すべての車」がその機能を実現できると主張していました。しかし、テスラはすぐにそれが間違いであったことに気づき、2019年に新型コンピューターHW3(ハードウェア3)を導入し、完全自動運転オプション購入の対象車両に無償で後付け対応しました。

更に2023年にはテスラは新型コンピューターHW4(ハードウェア4)を導入しましたが、同社は、これは将来的にコンピューティングパワーを追加して容量を向上させるためのものであり、HW3搭載車での自動運転の約束は実現できると自信を示していました。

実際、テスラのイーロン・マスク氏は、テスラが旧型車での自動運転の実現に注力しているため、HW4搭載車へのソフトウェアアップデートはHW3搭載車へのアップデートより6か月遅れるとさえ主張していました。

しかしながら、それは1年も続きませんでした。

昨年以降、テスラはHW3の処理能力の限界に達しつつあるため、HW4のアップデートに重点的に取り組んでいます。以前にもお伝えしたように、テスラは現在、HW3コンピューターの2つのノードを両方とも使用しています。つまり、レベル4-5の自動運転に必要なコンピューティングの冗長性さえ備えていないということです。

昨年末、テスラはついにHW3の限界に達しているかもしれないと示唆し、必要であればコンピューターの取り替えを行うと述べましたが、HW3がHW4の車より数か月遅れているにもかかわらず、この対応の兆しは見られません。

ハードウェアの状況が疑わしく、さらにデータが示すように、テスラは自動運転の実現において大幅にスケジュールに遅れをとっている状況なのです。テスラFSDオプションを購入しているオーナーはテスラに単純なこと、つまり「自動運転の実現」を求めているのですが、それすらもできないのです。

問題

HW3の状況が深刻であることを受け、テスラのオーナーは長年にわたり、テスラに対して、FSDソフトウェアパッケージの権利を車ではなくオーナーにリンクさせるよう求めてきました。つまり、車を新しいテスラに買い替えした場合、FSDソフトウェアパッケージを新しい車に移行できる権利です。

これは公平な対応だと思いませんか? テスラは完成していない製品を販売し、あなたは新型ハードウェアを搭載した新型車という、成功の可能性が高い別の機会をテスラに与えているだけです。

テスラにとっては、これはコストのかからないことです。なぜなら、これはすべての車にスタンダードに搭載されているハードウェアに移行するソフトウェアパッケージに過ぎないからです。

しかし、テスラはここで正しい行動を取ることを拒否しました。マスク氏はテスラのオーナーから何度もその件について尋ねられましたが、拒否し続けてきました。代わりに、マスク氏はテスラが自動運転機能を移行できないという事実を逆に需要の引き金として利用する計画を考案しました。

2023年夏、マスク氏はついにFSDの移行を許可することに同意しましたが、それは正しいことをするためではなく、代わりに、「1回限りの恩赦」として1四半期のみに限定すると述べました。テスラは、この「恩赦」を利用して、その四半期の販売台数を伸ばしました。

テスラは、注文を促進する必要がある場合に、このインセンティブを4回以上復活させました。これにより、マスク氏は「四半期のみ」と発言したことが嘘であることが明らかになりました。テスラは、この1回限りであると主張することで、人々にアップグレードを促そうとしています。正しいことを行い、テスラが実際に約束を果たすまで、FSDを購入したすべての人に移行を許可するのでなく、です。

現在、テスラはそれ(FSDオプションの移行)を提供する必要がない状況ため提供していません。新型モデルY、米国での税額控除の喪失の恐れ、そしてカナダではテスラが来月からの値上げを発表したことなど、需要を押し上げる要因は他にもたくさんあります。

私は今週、テスラに新型車へのFSD移行について問い合わせたところ、「FSD移行の受付は現在終了しています」と言われました。 以上の内容をすべて販売員に説明し、すでに購入済みで一度も提供されていないソフトウェアパッケージに1万1000ドルを請求しないことが正しいことであることをアピールしたところ、販売員は上層部に掛け合うことに同意しました。

翌日、上層部は「明確にノー」と回答した、と伝えられました。

自動運転実現の可能性

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https://twitter.com/AIDRIVR

これはとても簡単なことです。正しいことであるだけでなく、FSDの料金を支払ったHW3車が存在するという明白な責任を軽減するという意味で、テスラにとっても賢明なことです。

現時点では、テスラがHW3搭載車に約束した完全自動運転機能(無人運転)を実現することは不可能であることは明らかです。テスラは以前にも間違いを犯し、HW2.5からHW3へのアップグレードを余儀なくされました。

当時、テスラは自動運転を実現するために必要なハードウェアが何なのか分かっておらず、今も分かっていない可能性が高いです。しかし、当時でさえ、6年前のハードウェアで無人自動運転機能を実現できると本気で信じていた人がいたでしょうか?私はそうは思いません。

したがって、テスラがFSDパッケージ付きで販売したすべてのHW3車両は、いわば「負債」となります。 テスラは、それらの車両からパッケージを削除し、より最近の車両に移動させることができます。新しい車だからといって完全自動運転が実現できないという疑いの余地は十分にあるものの、FSDが約束通りに機能する可能性はまだしも高いでしょう。

しかし、約束した製品を提供できないことを理由に、さらなる注文を獲得するための需要喚起策として利用するのではなく、顧客のために正しい行動を取ることが重要です。これは、テスラが強く嫌悪している自動車ディーラーの戦術よりもさらに悪いものです。

例によって、私はFSDが素晴らしい製品であるとアピールしたいと思います。もし、イーロン・マスク氏が過去5年間、毎年年末までに監視なしの自動運転を実現すると主張したり、テスラが準備が整わないうちに顧客に製品を販売したりすることがなければ、もっと称賛されていたと思います。

しかし、実際にはテスラと同社CEOのイーロン・マスク氏は上記ようなことをしており、多くの人々はそれを詐欺的で危険な製品と見なしています。

日本での状況

北米での対応よりももっとひどい状況なのが日本での対応です。テスラがFSDケイパビリティとして87万1千円で販売しているソフトウェアオプションはほぼ「お布施」という状況で、全く機能していません。そして、同じようにこのソフトウェアの移行は一時期を除いて認められていません。

FSDのオプション購入のお知らせとして以下のような表現があります。

フルセルフドライビング ケイパビリティ
¥871,000
ベーシック オートパイロットおよびエンハンスト オートパイロットのすべての機能
Upcoming:(まもなく登場)
信号機/一時停止標識コントロール
市街地でのオートステアリング

まもなく登場するという「信号機/一時停止標識コントロール」や「市街地でのオートステアリング」はこの5年以上変わっていないという悲惨な状況なのです。

この記事はこのサイトを引用・翻訳・編集して作成しています。

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コメント

  1. jun より:

    テスラが無人ロボタクシーを実現するにはLiDAR(ライダー)とRadar(レーダー)の搭載が必要不可欠です。

    テスラが2025年6月中に自動運転タクシーを始められないのは確定的!?・・ある科学者からの警告。

    https://note.com/jun915/n/n89575f03d50a

    そして、奇しくも、Forbes Japanより、3月13日に上記タイトルと似た

    テスラが車載カメラのデータで「完全自動運転」を実現できない理由
    https://forbesjapan.com/articles/detail/77720

    が公開されています。よろしければ、ご参照ください。

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