米NHTSA(運輸省道路交通安全局)が120万台のModel 3/Yを対象にサスペンション予備調査を開始
2026年7月末、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、テスラを代表するEVセダン「Model 3」(2018〜2020年モデル)およびSUV「Model Y」(2021〜2023年モデル)の合計約120万台を対象に、サスペンションシステムの予備調査を開始したと発表しました。
この調査は、ドライバーから寄せられた156件の不具合苦情を受けたものです。苦情の内容は、フロント下部コントロールアーム(ロアアーム)やサスペンション部品が走行中に事前警告なく分離し、車両のステアリング操作や方向制御を失うリスクがあるというものです。現時点で事故や死傷者の報告はありませんが、NHTSAは安全上の潜在リスクとして本格的な分析を進めています。
過去にテスラは2021年(2,800台)と2023年(422台)にサスペンション締め付けボルトの不良でリコールを実施していますが、NHTSAによると今回の苦情事例はいずれも過去のリコール対象外であり、異なる原因による可能性があると指摘されています。
コントロールアーム不具合のメカニズムと発生しやすい異音
コントロールアームは、車輪を車体本体に保持しながら上下の衝撃を吸収し、ステアリング操作を正確にタイヤに伝えるための重要なサスペンション部品です。
今回の調査で注目されている不具合では、ジョイント部のボールジョイントやブッシュ(ゴム・樹脂製緩衝材)の損傷、あるいは金属アーム自体の破断・分離が取り沙汰されています。完全な分離に至る前には、以下のような初期症状や異音が現れるケースがあります。
1. 低速時やハンドル切増し時の「ギシギシ」「キコキコ」音
駐車操作時や低速でハンドルを大きく切った際、フロント足回りからきしみ音が発生する現象です。ボールジョイントの防水ブーツが破損し、内部の潤滑グリスが漏れて金属摩擦が生じているサインです。
2. 段差通過時の「コトコト」「ゴトゴト」音
減速帯や舗装のジョイント、段差を通過した際にフロント下部から伝わる異音や振動です。ブッシュの劣化やジョイント部の遊び(ガタつき)が大きくなっていることが疑われます。
3. タイヤの異常な偏摩耗や直進性の悪化
アーム類の保持力が低下すると、ホイールアライメント(アライメント角度)が狂い、フロントタイヤの内減りや直進時のステアリングのズレが生じます。
日本のModel 3/Yオーナーへの影響と国内での車両確認方法
今回米国で調査対象となっている2018〜2020年型Model 3および2021〜2023年型Model Yは、日本国内でも数多く運用されている主軸モデルです。
日本市場における対象車両の経緯と、国内オーナーが把握すべきポイントは以下の通りです。
1. 日本国内における該当年式モデルの生産工場
- 2018〜2020年型 Model 3:主に米国フリーモント工場で生産され、初期に日本へ輸入されたモデル。
- 2021〜2023年型 Model 3 / Model Y:主にギガ上海で生産され、日本へ導入されたモデル。
米NHTSAの調査は米国内の走行車両を対象としていますが、コントロールアームのパーツ設計やサプライヤー共通性によっては、ギガ上海製を含むグローバル車両へ影響が波及する可能性があります。
2. 国土交通省によるリコール勧告への発展シナリオ
現在、日本国内で本件に関するリコールは発令されていません。しかし、米NHTSAの予備調査が正式な強制リコールへ移行した場合、テスラジャパンが国土交通省に対して同様の改善対策・リコール届出を行う手順が一般的です。
3. サービスセンターへの点検依頼と保証対応
自身の所有車で前述のような異音や違和感を感知した場合、放置せずにテスラアプリの「サービス」メニューからモバイルサービスまたはサービスセンター点検を予約することが推奨されます。
- 保証期間内:新車保証(4年または80,000kmのどちらか早い方)が適用される場合、パーツ点検および予防交換は無償対応となります。
- 保証期間外:保証が終了している車両の場合、コントロールアームの交換修理費用が発生する可能性があります(片側数万円〜両側で10万円前後が一般的な目安)。
オーナーが今すぐ取るべき予防アクション
過度に恐れる必要はありませんが、愛車の足回り状態を把握するために以下の3ステップを実践することをお勧めします。
1. 停車時・低速走行時の異音確認(窓を開けてハンドルを左右に切り、異音がないか確認)
2. フロントタイヤの摩耗状況の視覚チェック(トレッド面の内減りや左右不均等な減りがないか)
3. 車検・定期点検時の下回り整備記録の確認(ブッシュのヒビ割れやグリス漏れの指摘がないか)
今後のNHTSAの調査進展とテスラジャパンからのアナウンスを引き続き注視し、定期的な日常点検を行うことが安全運行への近道となります。
参考情報
- テスラ、7月に27%超の急落 米規制当局が追い打ち、120万台のモデル3/Yのサスペンション調査開始 — BigGo ファイナンス
- NHTSA: National Highway Traffic Safety Administration
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