テスラは現在、主力車種である「モデル3」と「モデルY」に、装備を簡素化して価格を抑えた「スタンダード(Standard)」グレードを米国や欧州で発表し、大きな注目を集めています。
これまで噂されていた2万5000ドルの完全新型モデル(通称:モデルQ)の開発計画は事実上取りやめられたとみられており、テスラは既存モデルの「構造的なコスト削減」と「グレードの拡充」によって、より広い顧客層の獲得を目指す戦略へと舵を切りました。
では、この廉価版モデルが日本に導入される可能性はどの程度あるのでしょうか?中国市場の現状を踏まえて分析します。
1. 中国市場での苦境と、上海ギガファクトリーの動向
日本市場への導入を占う上で最も重要なのが、中国・上海工場(ギガ・上海)の動きです。現在、日本で販売されるテスラ車のほとんどは上海工場で生産されています。
中国市場におけるテスラは、BYDをはじめとする現地メーカーとの熾烈な価格競争にさらされており、市場シェアはかつての6.5%から4.8%へと低下しています。さらに、中国では2026年から新エネルギー車(NEV)の購入税免除が段階的に廃止(2026年に5%、2027年に10%を課税)される予定であり、メーカー各社にとって2025年内は販売を伸ばす「最後の好機」となっています。
このような背景から、中国市場でのテコ入れとして上海工場で廉価版モデルの生産が開始される可能性は非常に高いと考えられます。もし上海工場で生産が始まれば、物流の観点から日本市場への導入は現実味を帯びてきます。
2. 日本での発売価格はどうなる?
米国での価格設定を見ると、廉価版「モデルY」は3万9990ドル(約610万円)からで、従来の最廉価モデルより約5000ドル安くなっています。
もし日本にこの価格差(約75万〜85万円減)がそのまま適用された場合、以下のような魅力的な価格帯が予想されます。
- モデル3:約449万円〜 (現行:531万円)
- モデルY:約483万円〜 (現行:558万円)
ここに日本のCEV補助金が加われば、実質的な購入価格はさらに下がり、国内の競合EVやガソリン車ユーザーにとっても非常に強力な選択肢となるでしょう。
3. 廉価版で「削られたもの」と「維持されたもの」
価格を抑えるために、内外装には以下のような簡素化(ダウングレード)が図られています。
- インテリア: 合成皮革からファブリック(布地)素材への変更、後席タッチスクリーンの廃止、スピーカー数の削減(15個→7個)。
- エクステリア: ホイールの小型化(18インチ)、パノラマガラスルーフの廃止(一部市場)、電動格納ミラーやウェルカムライトの削除。
- 航続距離: バッテリー容量が抑えられており、上位モデルに比べると航続距離は短くなりますが、最新の空力デザインにより、エネルギー効率自体は向上しています。
注目すべきは、自動運転ハードウェア(AI4/Hardware 4.0)やソフトウェアの拡張性は維持されている点です。テスラは、車両本体を安く売る一方で、将来的にFSD(フルセルフドライビング)のサブスクリプションなどで収益を上げるビジネスモデルへの転換を図っています。
まとめ:日本発売は「上海次第」だが期待は大
現在、このスタンダードモデルは北米や欧州での展開が中心ですが、欧州向けの生産を担うドイツのギガ・ベルリンでも生産開始が間近と噂されています。
日本市場への導入時期は、上海ギガファクトリーがいつこの仕様のライン稼働を始めるかにかかっています。中国市場での販売不振を挽回するための「切り札」として、上海産廉価版モデルが登場すれば、その流れで日本にも早期導入される可能性が高いといえるでしょう。
「テスラは高価で手が出ない」と考えていた日本のユーザーにとって、2026年に向けて目が離せない展開となりそうです。
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