テスラCEOのイーロン・マスク氏は、同社の次世代AI5チップに関する新たな詳細を明らかにし、それを「驚くべき設計」と評しました。
テスラのイーロン・マスク氏最高経営責任者(CEO)は、同社の次世代AI5チップに関する新しい詳細を明らかにし、このチップを「驚くべき設計」と評し、その性能は前世代を大幅に上回ると述べました。テスラの2025年第3四半期決算説明会において、マスク氏氏は、このチップがサムスンとTSMCの両社と提携して製造され、生産は完全に米国で行われることを説明しました。
AI5 の何が特別か
マスク氏によると、AI5 は、現在同社の車およびデータセンターで実装して使用されている AI4 システムから得た知見を基に、テスラ社内の AI ハードウェアを完全に進化させたものです。2025 年第 3 四半期の決算説明会において、マスク氏は「いくつかの指標では、AI5 チップは AI4 チップよりも 40 倍優れています。40% ではなく、40 倍です」と述べています。この飛躍的進歩について、同氏はテスラ独自の垂直統合体制を評価し、自動運転システム向けのソフトウェアとハードウェアの両スタックを自社で設計している点を述べると、
新しいチップの効率化を図るため、テスラは従来のGPUや画像信号プロセッサなど複数の従来型コンポーネントを排除しました。AI5アーキテクチャには既にそれらの機能が組み込まれているためです。マスク氏は、これらの削除によりチップをハーフリテクル設計に収めることが可能となり、効率性と電力管理が向上したと説明しました。
「これは見事なチップです」とマスク氏は述べました。「私自身がこのチップに多くの情熱を注ぎ込みました。これは間違いなく成功すると確信しています」
テスラのAI5向け二元製造戦略
マスク氏は、サムスンのテキサス工場とTSMCのアリゾナ工場の両方がAI5チップの製造を担い、各協業するパートナーが初期生産に貢献することを認めました。「サムスンとTSMCの双方がAI5に注力するのは理にかなっています」と同CEOは述べ、サムスンの方が若干先進的な設備を有しているものの、両ファブがテスラの米国生産目標を支えると付け加えました。
マスク氏によると、テスラの明確な目標はAI5チップの供給過剰状態を作り出すことだ。余剰分はテスラの車、ヒト型ロボット、あるいは既にAI4とNVIDIAハードウェアを組み合わせてトレーニングに実装しているデータセンターに活用できる。「NVIDIAを置き換えるつもりはありません」とマスク氏は明言した。「しかしAI5チップが過剰になった場合、データセンターに投入することは常に可能です」
マスク氏は、テスラが単一顧客向けに設計することに注力している点が、シンプルさと最適化において大きな優位性をもたらすと強調しました。「NVIDIAは…多数の顧客から幅広い要求を満たさねばなりません。テスラが満たすべき顧客はただ一つ、テスラだけです」と述べました。これにより、AI5の生産が拡大すれば、業界で最高のワット当たり・ドル当たりの性能を実現できる可能性があるとマスク氏は力説しました。
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コメント
イーロン・マスクの妄想は信じるに値しません。
ご存じかどうか分かりませんが、かってイーロン・マスクはDojoのD1チップがNvidiaのA100よりも優れていると豪語したことがありました。しかし、Nvidiaはマスク氏に反論しています。
そして、今テスラはNvidiaのGPUに依存しています。
イーロン・マスク氏が関与する事業xAIやOptimusがどんなに儲けようとも、NvidiaのGPUを利用するのですから、Nvidia の業績に大きく寄与します。(ツルハシとシャベルの原理)
実際、
【xAI】
・xAIはNVIDIA H100 約20万基導入済み
・学習・推論において、NVIDIAのエコシステムが不可欠
【Optimus】
・NVIDIA H100/H200 → Blackwell世代へ移行中
・一部はエッジ最適化されるが、学習は完全にNVIDIA依存
最も有望なマスク氏の事業は、Starlinkです。Starlinkの発展があれば、インターネットの利用できない世界約38%の約34億人に、衛星経由のネット通信で、教育・医療・金融・行政へのアクセスが可能になるばかりか、学歴や地理に左右されない“国際水準の学習環境”を届けることができます。
Starlink関連銘柄の一つのSATS(EchoStar)は、ここ1週間で株価は3倍に到達。
材料は、
・AT&Tとの230億ドルの周波数売却契約
・StarlinkがSATSから170億ドルの周波数ライセンス買収
ちなみに、今後IPO予定のStarlinkとテスラは別会社ですから、テスラの収益に貢献しません。
イーロン・マスクを誇大視する投資家は、マスクから金を毟り取ることが目的です。その典型が、モルガンSやキャッシー・ウッド率いるARKです。
実際、
2023年9月、モルガンSはテスラのスーパーコンピューター「Dojo」に期待し、目標株価を250ドル → 400ドルに引き上げ。その根拠は「DojoがAWSのような収益源になる」「自動運転データの独占が競合を凌駕する」という仮説であり、さらに「Dojoがテスラの時価総額を5,000億ドル押し上げる」との観測でした。
しかし、2025年現在、テスラはDojoを撤廃し、再びNVIDIAのH100クラスタに依存。つまり、モルガンSの100ページ超のレポートの根幹が完全崩壊。
しかし、モルガンSはテスラの目標株価400ドルを維持し、Dojo撤退の影響なしと見立てる。翻って、AI関連事業のOptimusやxAIとのシナジーに移行。
【結論】
モルガンSは「Dojoによるデータ独占による競合支配」が崩壊しても、目標株価を下げません。これを、マスク氏の妄想を真に受けて熱狂する狂信的なテスラ支持者の典型的な行動様式と言えます。