長年にわたってテスラの取締役会や大半の株主が持つ懸念を無視してきた後、ついにテスラ株主の間で、イーロン・マスク氏をテスラ社から解任しようという機運が高まっているようです。
イーロン・マスク解任の背景：株主の不満が高まる理由
しかし、テスラ株（TSLA）の株価が上昇している限り、おそらく何も起こらないでしょう。
私たちは長年にわたり、イーロン・マスク氏がテスラを、持続可能な輸送手段とサステイナブルなエネルギーの世界への移行を加速するという使命から遠ざけていることについて懸念を表明してきました。
マスク氏がテスラの株主に脅しをかけ、反射的にテスラのスーパーチャージャーチーム全員を解雇し、ソーシャルメディア中毒に陥り、ソーシャルメディア上で数えきれないほどの誤った情報をシェアし、テスラを直接攻撃し、テスラのミッションに真っ向から対立する政策を掲げる政治家たちに資金提供したことで、この懸念は昨年さらに強まりました。
これまでの彼の暴挙は、ほとんどの企業では解雇に値するほどの違反行為ですが、テスラには、マスク氏が同社の株式をわずか13%しか所有していないにもかかわらず、取締役会が基本的にマスク氏の完全なコントロール下にあるという深刻なガバナンスの問題があることも、私たちは長年報告してきました。
それに対して株主は年に一度の株主総会での投票権しかありません。2024年6月のテスラの株主総会では、株主のほとんどが取締役会（≒マスク氏）が推奨する内容に沿って投票し、マスク氏を支持する姿勢を明確にしました。
大統領就任式への出席とマスク氏のナチス式敬礼、そしてその反動に対するマスク氏の対応などにより、とうとうテスラの株主の間では、マスク氏を解任すべきだという意見が強まっているようです。
現在、テスラ株主コミュニティの最大規模を誇るRedditのテスラ投資家クラブで最も人気のある投稿は、マスク氏をテスラのCEOから解任することについてであり、ここ数週間、この種の投稿が非常に注目を集めています。
Why a New CEO is Needed
byu/colganc inteslainvestorsclub
この投稿は、過去5年間でサイバートラック以外の新型モデルを投入していないこと、そして電気自動車市場全体が成長しているにもかかわらず、テスラの納車台数の増加が見られないことに焦点を当てています。
また、仕事への献身という点において、マスク氏は自身の指針に従っていないという主張も展開しています。
いくつかの前提条件を仮定すると…
- マスク氏は、到達困難な長期目標に組織の焦点を維持することに長けている
- マスク氏は、エンジニアリングチームの管理に長けている
- マスク氏自身の言葉を真実として受け取ると、経営陣とエンジニアが生産現場で生活し、オフィスで「直接」交流することは、間違いなくプラスになる
- マスク氏自身の言葉を真実として受け取ると、従業員が上の3番をやりたがらない場合は、転職すべきである
マスク氏は3番目の行動を取っていないため、テスラのミッションにおける1番目と2番目の行動を取らなくなっています。さらに、彼自身の論理に従えば、彼は今、解雇された従業員グループに属することになります（4番目）。
これは、事実上6つの企業を率い、新しい政府効率化省という政府部門のためにもっぱらホワイトハウスで働いていることに加え、先週のテスラの収益報告の最中に、テスラ以外のことをツイートしていたことが発覚したことを考慮すると、真っ当な主張です。
その間、彼は在宅勤務の従業員に対して、生産性が低いと激怒していました。
多くのテスラ株主がこの投稿に同意した一方で、主な反対意見は「株価は上昇している。うまくいっているのに、なぜそれを邪魔するのか」というものでした。
これは、マスク氏を追い出したいテスラファンにとっては確かに問題です。取締役会が何も行動を起こさない場合、株主が取締役を解任し、マスク氏に対する不信任投票をすることになります。
実はテスラ株主たちは、マスク氏を追い出すと、同氏が株式を売却し、テスラの株価が大幅に調整されることを恐れています。
テスラの株価収益率は現在、200という異常な水準で取引されており、ZEVクレジットとビットコインの利益を除外するとPERは400に近づきます。テスラ社のミッションを改めて実現するとう意味であれば、イーロン・マスク氏の解任はそれほど悪いことでしょうか？
もちろん、明日信任投票が行われるのであれば、そのような事態は起こらないと思います。株価が現実的な水準まで下がらなければ、株主が動くことはないでしょう。
個人的には、マスク氏が去ることで株価が急落することを恐れるのは短絡的だと思います。テスラのファンダメンタルズは日に日に悪化しており、今四半期はここ数年で最悪の四半期となるはずです。
もしテスラ株が今四半期に暴落しなければ、2025年第1四半期の収益報告後、テスラの株価収益率は500以上になるでしょう。テスラがこの水準で取引された最後のとき、マスク氏はテスラの従業員に、利益成長が見られなければ株価は「スフレが大型ハンマーで叩き潰されるように」暴落すると警告しました。
それから数年後、テスラはさらに悪い状況に陥っています。主力事業である自動車部門の利益は実際に急落しており、一方で自動運転車やロボットによる利益は現実的にはまだ何年も先のことなのです。
イーロン・マスク解任の影響：テスラの未来はどうなる？
マスク氏を排除すれば、短期的には株価が暴落する可能性が高いのは事実ですが、長期的にはテスラにとって良いことだと思います。
第一に、マスク氏は間違いなくテスラ車の販売台数に悪影響を与えています。彼を排除すれば、テスラは需要に関して多少余裕ができるでしょう。
次に、マスク氏は2016年以降に生産されたすべての車に自動運転機能を搭載することを一貫して約束してきたことで、テスラに莫大な負債を生み出してきました。これは対処し、修正する必要がありますが、マスク氏は明らかにその任にふさわしい人物ではありません。
テスラには、会社のミッションを再調整し、自動運転の取り組みのリスクを軽減する経営陣が必要です。マスク氏のテスラに対する壮大なビジョンを目指す余地はまだあると思いますが、一貫して嘘をつき、過剰な約束をしないことが条件です。
どうかしていると思われるかもしれませんが、株主に対して常に嘘をつき、自身の競合会社とリソースのトンネル掘りを行い、私がこれまでに見た中で最悪のソーシャルメディア中毒のひとつに深くのめり込んでいるような、自己愛的な成り上がり者の寡頭制政治家ではなく、有能なフルタイムのCEOを置く方が、会社にとって良い結果をもたらすと思うのです。
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