2026年10月15日、テスラは米国テキサス州マクレガーに位置するスペースXのロケットテスト施設において、第2世代ロードスター(Tesla Roadster)の量産仕様(プロダクション・インテント)を世界初公開しました。
2017年11月のプロトタイプ初公開から約9年越しの登場となった今回の発表イベントでは、従来の予想を大きく刷新する3つのグレード体系が明らかになりました。さらに、最大2Gもの下向き吸着力を生み出す床下吸引ファンシステムによる「天井逆さま走行・静止スタント」や、スペースXとの共同開発によるコールドガススラスターの実演など、ハイパーカーの常識を覆す技術仕様が公開されています。
3つのグレード体系と確定スペック
新型ロードスターは、日常の公道走行を想定した標準モデルから、圧縮空気スラスターを全周囲に備えたサーキット・クローズド専用モデルまで、明確に役割が分かれた3つのグレードで構成されます。
| グレード名 | 乗車定員 | 0-60mph加速 | 主要技術・装備 | 公道走行 |
|---|---|---|---|---|
| Performance | 2名 | 1.6秒未満 | 地面吸引ファン、アクティブ空力、ステア・バイ・ワイヤ | 可能 |
| Thrust | 2名 | 0.81秒 | リアコールドガススラスター、車載再充填コンプレッサー | 可能 |
| Rocket | 1名 | 0.59秒未満(跳躍・空中姿勢制御対応) | 全周囲コールドガススラスター、高圧エアタンク | 不可(競技・私有地専用) |
1. Performance(公道仕様の標準フラッグシップ)
「Performance」は、ナンバープレートを取得して公道を走行できる標準グレードです。乗車定員は2名で、床下に組み込まれた電動吸引ファンシステムとアクティブエアロダイナミクスを標準装備します。
リアに配置された2基の独立モーターとトルクベクタリング機構により、最高出力は約1,341馬力(1メガワット=1MW)、最大トルクは約1,400Nmを発揮します。0-60mph(約96.6km/h)加速は1.6秒未満、最高速度は時速230マイル(約370km/h)以上をマークします。
なお、2017年のプロトタイプ初公開時に掲げられていた「200kWhバッテリー・航続距離620マイル(約1,000km)」という初期構想に対し、最新の量産仕様では航続距離ターゲットが約310マイル〜320マイル(約500km前後)へと現実的な数値に見直されています。これは、巨大バッテリーによる重量増を避け、車重を極限まで削ぎ落としてサーキットでの運動性能を最大化する「トラック志向ハイパーカー」へと開発思想が進化したためです。特注の800V〜1,000V高電圧アーキテクチャを採用し、V4スーパーチャージャーによる最大500kWの超急速充電に対応(15%〜85%充電を約10分で完了)します。ステアリングには物理的なシャフトを持たない次世代のステア・バイ・ワイヤ機構を採用し、ヨーク型ステアリングホイールを通じて俊敏なハンドリングを実現します。
2. Thrust(スペースXパッケージ搭載トラック仕様)
「Thrust」は、スペースXの宇宙ロケット開発技術を応用した「スペースXパッケージ」を組み込んだサーキット志向グレードです。
車体後部にコールドガススラスター(超高圧圧縮空気ノズル)を2基配置し、発進加速時に強大な前方推進力を上乗せします。会場でのデモンストレーション走行では、0-60mph加速において0.81秒という驚異的なタイムを記録しました。圧縮空気は走行中に車載電動コンプレッサーによって自動再充填される構造となっており、外部からのガス補充を必要とせずに連続使用が可能です。
3. Rocket(空中姿勢制御・ホップ対応の極限仕様)
最上位に位置付けられる「Rocket」は、招待購入枠を中心とした完全クローズドコース専用の1人乗りモデルです。助手席および後部スペースには大容量の超高圧エアタンクと制御バルブ群が搭載されます。
車体の前後左右および下部外周に多数のコールドガススラスターノズルが配置されており、地上走行の加速アシストにとどまらず、短時間の空中浮上(ホップ)や旋回・ロール軸の姿勢制御を電子制御で行います。公道走行認可(保安基準)の対象外となるため、サーキットや私有地での走行に限定されます。
2Gの吸着力を生むグラウンドサクションファンと天井走行スタント
今回の量産仕様で最も大きな技術的ハイライトとなったのが、車体底部とリアディフューザーに統合された「グラウンドサクションファン(地面吸引ファンシステム)」です。
車体床下に設けられた密閉スカートと高回転電動ファンにより、床下の空気を瞬時に強制排出して強力な負圧空間を形成します。
1. 静止状態でも発生する2Gの人工ダウンフォース
一般的なレーシングカーのダウンフォースは車速の上昇に伴って増加しますが、この吸引ファンシステムは車両が停止している状態でも最大2Gに相当する下向きの吸着力を発生させます。
2. C字型ランプを駆け上がる逆さま静止スタント
お披露目イベントでは、ロードスターが巨大なC字型曲面ランプを駆け上がり、完全に上下が逆さまになった天井部分でブレーキをかけて静止するデモンストレーションが披露されました。重力に逆らって天井に張り付いたまま停止できる驚異的な吸着力を実証し、コーナリング時においてもタイヤのグリップ限界を劇的に引き上げることが確認されました。
ステア・バイ・ワイヤと航空宇宙仕様のコックピット
エクステリアは、空気抵抗を極限まで低減させたエアロダイナミクスボディに、宇宙船を想起させるマット調の特殊保護コーティング「Ano White」が施されています。フロントには格納式の隠しヘッドライト、リアには車幅全体に広がるフルワイズLEDテールライトが配置されています。
インテリアの設計も従来のテスラ市販車とは一線を画しています。
1. ヨークステアリングとステア・バイ・ワイヤ
物理的なステアリングコラムを完全に排除したステア・バイ・ワイヤを採用。低速域では少ない舵角で大きく切れ角がつき、超高速域では安定した微細なコントロールを可能にしています。
2. デュアル・ドライバーディスプレイ
センターの大型タッチスクリーンに加え、ドライバーの視線正面に専用のデュアルディスプレイを新設。前後左右のGフォース推移や吸引ファンの負圧レベル、コールドガススラスターのタンク内空気圧などがミリ秒単位でグラフィカルに表示されます。
2028年の量産計画と日本国内の予約受付仕様
テスラは、新型ロードスターの量産開始時期について、米国テキサス州のギガファクトリーにおいて2028年中を目標としていることを明らかにしました。
日本国内においても、テスラ公式Webサイト(tesla.com/ja_jp/roadster)にて予約受付が継続されています。
1. 日本国内の予約金(デポジット)支払いステップ
日本国内における予約の確定には、合計5,684,000円(米国における5万ドル相当)の予約金が必要です。
- ステップ1(注文時決済): クレジットカードによる570,000円の支払い(全額払い戻し可能)
- ステップ2(確定振込): 注文から10日以内に銀行振込による5,114,000円の送金
上記2段階の入金確認が完了した時点で、正式に予約順番待ちリストへの登録が行われます。最終的な車両本体価格や各グレード別のオプション費用、日本への導入スケジュールについては、量産開始が近づく段階で改めてアナウンスされる見込みです。
参考情報
- テスラ公式: 新型ロードスター予約ページ
- Car and Driver: Tesla Roadster Revealed with SpaceX Thrusters and Production Details
- carsales: Tesla Roadster emerges after years of delays
- Gadget Pilipinas: Tesla Roadster Production Slated for 2028 with Ground Suction and SpaceX Thrusters
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