日本自動車輸入組合(JAIA)が2026年10月6日に発表した2026年度上期(4〜9月)の新車販売統計において、輸入車市場の勢力図に大きな地殻変動が記録されました。
外国メーカー車モデル別の集計において、テスラが大半を占める「その他」区分が総合第2位へ浮上しました。首位を堅持するメルセデス・ベンツに次ぐポジションを確保した形となります。
テスラはグローバル方針として国別の販売台数を公表していないため、JAIAの統計上は「その他」として処理されます。しかし、同区分の台数動向や業界の登録データから、テスラのモデルYおよびモデル3が牽引役になっているとみられます。
1. 2026年度上期に起きた輸入車ブランドの順位逆転
2026年度上期の外国メーカー車販売において、電気自動車(BEV)の伸長が輸入車市場の勢力図に変化をもたらしています。
| 順位 | ブランド・区分 | 主な特徴・市場動向 |
|---|---|---|
| 1位 | メルセデス・ベンツ | 首位を維持 |
| 2位 | その他(テスラ主導) | モデルYおよびモデル3の純粋EVで急伸、2位に浮上 |
| 3位以下 | フォルクスワーゲン/BMW等 | 前年割れ傾向が続く中、2位を譲る形に |
テスラが大半を占める「その他」区分が2位に浮上した意義は小さくありません。月別の推移やモデル別の詳細な登録データについては、当サイトのダッシュボードでも継続的に集計・可視化しています。
2. 販売を強力に下支えする国と都の補助金スキーム
テスラが日本国内でこれほどの販売台数を維持できている背景には、国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)の存在があります。
2025年12月の制度見直しを経て、2026年4月1日以降に登録される対象車については、テスラ車(モデル3/モデルYの対象グレード)に対する国のCEV補助金として127万円(上限130万円)が適用されます。なお、申請受付は予算の状況により2026年12月上旬〜下旬に終了する見込みとされており(2026年9月時点)、恒常的な制度ではありません。
さらに、東京都などの自治体による上乗せ補助金が組み合わさる場合があります。
【テスラ車購入時の公的補助金シミュレーション(東京都の場合)】
・国 CEV補助金:127万円
・東京都 ZEV補助金(基本額):70万円(※太陽光設備等の加算条件により上積みの可能性。上限は東京都の公式情報で要確認)
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・国と都の合計(基本条件のみ):197万円(加算条件により上積みの可能性あり)
国の127万円と都の基本額70万円を合わせると、基本条件のみでも合計197万円の補助が見込まれます。補助金を考慮した実質負担額は購入判断の材料となり、輸入車購買層の流入を後押ししているとみられます。実際の車両価格や適用条件は、テスラ日本公式サイトおよび各補助金の公式情報でご確認ください。
3. 欧州およびアジア太平洋地域で加速する販売拡大
日本国内でテスラが大半を占める「その他」区分が2位へ浮上した動きは、国内単独の特異な現象にとどまりません。欧州や日本以外のアジア太平洋(APAC)地域においても、テスラ車の販売回復とシェア拡大が顕著になっています。
アジア太平洋地域では、特に韓国や台湾での伸長が目立っています。韓国市場においては、2026年上半期のテスラ新規登録台数が5万6,000台を超え(前年同期比約2.9倍)、前年通年の販売実績に迫る勢いを記録しました。モデルYを中心に需要を牽引し、輸入車市場において確固たるポジションを築いています。また台湾市場でも、四半期末の集中納車が重なった2026年9月にモデルYが5,154台を記録し、新車市場全体(全車種総合)のシェア約13.9%を占めて総合首位を獲得するなど、地域全体で高い需要が維持されています。
欧州市場においても、2025年の販売調整局面を経て、2026年は回復基調が鮮明です。フランスでモデルYが乗用車全体の月間首位に立ったほか、スウェーデンや南欧主要国でも登録台数が前年同期比で力強く回復しています。ギガファクトリー・ベルリンの稼働安定と相まって、既存の内燃機関プレミアムブランドからEVへの乗り換え需要を着実に取り込んでいます。
4. ギガ上海サプライチェーンと今後の課題
モデル3、モデルYの納車が国内で進んでいることも、今回の2位浮上の背景にあるとみられます。
一方で、販売台数の急増に伴う今後の課題も浮き彫りになりつつあります。
すでに韓国市場などで顕在化しているように、車両の急増に対してサービスセンターの受入能力(ベイ数・整備士数)が追いつかず、車検や事故修理の予約待ちが長期化する「サービスボトルネック」の懸念です。
日本市場においても、スーパーチャージャー網の拡大と並行して、サービス拠点の増設やモバイルサービス(出張修理)の体制強化が進められるかどうかが、下期以降のブランドロイヤルティを左右する重要な鍵となります。
参考情報
- EV Wire: Tesla Asia-Pacific and South Korea Deliveries Data
- carview! / 日刊自動車新聞: 外国メーカー車の2026年度上期販売、テスラが大半の「その他」が2位に浮上
- クール・ネット東京(東京都環境公社)
- 次世代自動車振興センター: CEV補助金
- 日本自動車輸入組合(JAIA): 新車販売統計
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