自動運転車の展開競争では、2つの考え方が存在しています。1つは、複数センサーを融合させる方法で、センサーの数や種類が多いほど良いという考え方です。もう1つは、テスラの考え方で、ビジョン(カメラ映像)によるものです。
これまでのところ、GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏でさえ、テスラを自動運転分野のリーダーと評しています。
Google CEO on who is the leader in self-driving space: "I think obviously @Tesla is a leader in the space. It looks to me like Tesla and Waymo are the top two." pic.twitter.com/T0hlSICm8V
— Sawyer Merritt (@SawyerMerritt) December 15, 2024
ブルームバーグの新しい分析も、数字と実際の安全指標に焦点を当て、同様の見解を示しています。テスラの戦略は実行可能であるだけでなく、競争相手をはるかに凌駕しています。
事故発生率の物語
ブルームバーグの分析で最も印象的な数字は、安全に関するものです。彼らの比較によると、FSDは走行100万マイルあたり約0.15件の事故を報告しています。対照的に、ウェイモは100万マイルあたり約1.16件の事故を報告しています。
つまり、FSDを実装したテスラは、多数のセンサーを搭載したウェイモの車よりも、事故に巻き込まれる確率が7倍低いということです。これは、FSDを実装したテスラは、他のどの車よりも事故に巻き込まれる確率が10倍低いと述べたテスラの最新の車両安全レポートとも一致しています。

結局のところ、複数センサーフュージョンは素晴らしい技術ですが、処理および分析するデータ量が多すぎるという欠点があります。LiDAR、レーダー、カメラにはそれぞれ独自の利点がありますが、最も汎用性の高いのはカメラです。私たちの道路や世界は、視覚と聴覚を中心に構築されているため、LiDARだけの自動車は、標識の色や奥行きのないその他の物体を認識できないため、道路を走行することができません。LiDARを有用なものにするためには、カメラと組み合わせる必要があります。
視覚はあらゆる状況に対応でき、画像処理やAIの進歩によって継続的に改善されるシステムであるため、今後の進化を考えても非常に有効です。視覚による測定はLiDARにまだ遅れをとっていますが、すでに「十分」なレベルに達しており、逆にLiDARのミリメートルレベルの精度は自動運転には必要のない精度なのです。
車両コスト
ブルームバーグは、センサーフュージョンの実装の難しさ以外にも、テスラの優位性はハードウェアの基本的なコストにあると指摘しています。モデルYのコストは、ウェイモの車両の総コストのわずか7分の1です。
この膨大なコストの差は、テスラとウェイモの自動運転への取り組み方の違いに直接起因しています。ウェイモの車は、現在生産中止となったジャガーI-Paceのような、高級なサードパーティ製の電気自動車に、高価な特注のセンサー一式を後付けしたものです。このセンサー一式には、複数のLiDARユニット、レーダー、カメラが含まれています。
Tesla’s ability to scale autonomous driving faster than its rivals gives it an edge in the self-driving race, says Bloomberg Intelligence's Steve Man https://t.co/B1x5Jhx6Lf pic.twitter.com/XYPCblWmXn
— Bloomberg TV (@BloombergTV) June 16, 2025
一方、テスラは、比較的安価なカメラと自社設計のFSDコンピュータというハードウェアを、自動運転に必要なすべての機能として各車に標準装備しています。手頃な価格のハードウェアを実装することで、より多くの車を生産し、市場に投入することが容易になり、その結果、より多くのデータを収集することができます。
さらに、より低価格でより多くの車を製造することで、時間の経過とともに経済的な差が大きくなり、テスラのロボタクシーはウェイモよりもはるかに早く収益化を達成することになります。
累計30億マイル
自動運転分野に参入した他の企業よりもテスラが持つ最大の優位性は、まさにデータそのものです。テスラの車両は、世界中で既に30億マイル以上の走行データを収集していますが、ウェイモの車両はわずか2,200万マイルにとどまっています。
これを比較すると、ウェイモの車が1マイル走行するごとに、テスラは135マイル以上走行していることになります。さらに加えてテスラの優位性は、そのデータがグローバルであるという点にもあります。このデータには、砂漠から北極、都市部から極度の農村部まで、さまざまな環境下で走行した車両からの映像が含まれており、一般的な自動運転を実現することができます。
ウェイモのデータは都市部や郊外に偏っており、一般的な自動運転には事実上使用できません。結局のところ、より大規模で高性能な車両群は、効果的なロボタクシーサービスを提供する上で重要な要素なのです。
製造の規模拡大
最後に、ウェイモは自社では自動車を製造していません。テスラはロボタクシーをゼロから製造しており、生産ラインから出荷されるすべての車両は、監視なしのFSDを実行し、最終的にはロボタクシーの車両群に加わります。ウェイモは、優れたプラットフォームを持つ他の企業と協業し、そのプラットフォームに自社の技術を適応させる必要があります。
ウェイモの車両数は2025年末までに2,500台に達すると予想されていますが、ブルームバーグは、テスラのロボタクシー車両数が同年に35,000台に達すると予想しています。これは、2026年末までにAI4を搭載した何百万台もの車両が車両群に加わる可能性も考慮に入れていません。
全体として、ロボタクシーの競争ではテスラが明らかに優位です。その理由は1つだけではありません。テスラは、データ、コスト、拡張性で優位に立っており、その差は今後さらに拡大し続けると考えられます。
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コメント
いつも否定的なコメントを残して申し訳ないですが「テスラの自動運転への取り組み、グーグル・ウェイモより7倍安全」の訳がないです。
例えば、今日のニュースを一読されましたか?
「テキサス州民主党議員、テスラにオースティンでのロボタクシー開始延期を要請」
https://jp.investing.com/news/stock-market-news/article-1150350
ここで重要なのは民主党の議員は否認される可能性が高い云々ではなくて、本文にある
現行のテキサス州法では、基本的な登録と保険の要件を満たせば、ロボタクシー車両は州内のどこでも運行できる。
しかし先月テキサス州議会で承認された新法では、ロボタクシー運営者は自動車局から直接認可を求めることが必要となり、安全に関する規定も強化される。この法案はまだ知事による署名を待っており、9月からの施行が予定されている。
の部分です。
現行のテキサス州法では、基本的な登録と保険の要件を満たせば、ロボタクシー車両は州内のどこでも運行できる。
そこで、Copilotに次のような質問を投げかけました。
【質問】
要するに、テスラはテキサス州オースティンからsafety driver Noであることを承認したのは、実質的にテスラが自己申告したから受理したに過ぎず、テスラの自動運転技術を認めたからではないという結論でいいかな?
【回答】
はい、その理解は実情に非常に近いと言えます。
テスラがテキサス州で「Safety Driver: No(安全運転手なし)」として登録されているのは事実ですが、これはあくまで同州の“届出制”に基づく登録であり、州政府や交通局がテスラの自動運転技術を審査・承認したわけではありません。
🔍 実態はこうです:
テキサス州では、安全運転手なしの公道試験に事前審査や技術検証は不要です。
テスラが所定の形式で「Safety Driver: No」と登録すれば、その申告が制度上自動的に受理される仕組みです。
州からの正式な技術認可や安全保証は一切ありません。
この仕組みは、企業にとって迅速な開発・試験を促す柔軟性のある制度でもありますが、同時に、「承認済み」や「信頼された」という誤解を招く余地が大きいことが、今回のような議論を呼んでいます。
つまりご指摘の通り、「技術を認めた承認」ではなく、「申告に基づく受理」に過ぎないというのが正確なニュアンスですね。
この構造、制度的な“落とし穴”としてとても興味深いですよね。さらに州ごとの制度の厳しさや認証プロセスを比較してみますか?📜⚙️🚗 たとえばカリフォルニア州はWaymoやZooxに対してどう違う運用をしているか…という視点も面白いかもしれません。続けてみましょうか。
【補足】制度の“抜け穴”を突いたとも言えるこの戦略、企業にとってしたたかですが、社会的信頼の獲得とは別の話ですよね。
Copilotの回答は統計学的に高い意見を代弁しているだけで、正しいとは限らないことをここに言い添えておきます。間違いの場合はご容赦下さいませ。
今、moomooと言う証券会社からのニュースがありました。このため、URLは貼れませんことをご了承ください。
「今、moomooと言う証券会社からのニュースがありました。このため、URLは貼れませんことをご了承ください。
「テキサス州の議員たちは、イーロン・マスクのテスラに対して、6月22日のロボタクシーの発売を9月まで延期するように促しています」
この中で重要なポイントを抜き出せば、
「新しい規制では、乗客や財産を輸送する全ての自動車(AV)オペレーターは、人間のドライバーなしで公共の道路で運転する前に
車両管理局から事前の承認を受けなければならない」👈最重要ポイント(1)
と報告されています。規制では遵守には全てのAVが州の交通法を遵守し、
テキサス州法律の下で登録及びタイトルのある保険を持ち、👈最重要ポイント(2)
記録装置を備え、「自動運転システムが機能停止した場合の最低リスクの条件」を持つ必要があると示唆されています。
ここに、AVオペレータとはテスラのことです。
👈最重要ポイント(1)によれば、
テスラは、テキサス州のDMVから「無人で公道を試運転する」資格を取得していない
👈最重要ポイント(2)によれば、
テスラは、自動車としてテキサス州に正式登録され、所有権証明(=「タイトル」)があり、それに適用される有効な自動車保険に加入していること
の条件を満たしているから、DMVに「Safety Driver」を「No」と自己申告して登録したから自動的に「Safety Driver: No」と表示されていると読めます。
つまり、テスラが「Safety Driver: No」として登録されているのは、ナンバープレート・所有権・保険といった行政的条件を満たしたうえで、「Safety Driver: No」と申告したのが全ての理由であり、テキサス州がその運転技術の安全性を認めた証拠ではないということです。
つまり、今現在テスラが
「無人で公道を試運転する」
ことがあったとしても、
それに対抗するテキサス州の現行法に明確な規制が存在しない
ために、それは合法的でグレーな状況にあった、と言うことです。
そこで、テキサス州は、2025年9月1日に施行される予定の自動運転車に関する新法で、
テスラがオースティンで「無人での公道の試運転している」ことを非合法化
しようとしているのです。
2025年9月1日に施行予定の自動運転車に関する新法は、
州議会で可決済みで、知事の署名待ち(形式的な段階)
にあるらしいので、トランプ政権の圧力がなければ、成立する見込みのようです。