イーロン・マスク氏の控えめな期待とは裏腹に、2023年はテスラ・サイバートラックの年になるのかもしれません。テスラはこれまでの自動車市場に類似車がない新世代車両である電動ピックアップトラック、サイバートラックの生産を開始するからです。
テスラサイバートラックは2019年末に発表され、それ以来、テスラで最も期待されている車両の一つとなっています。非公式なデータによれば、その予約受注は150万台を超えたというから、これは間違いなく成功例といえるでしょう。
この電動ピックアップトラックはデザインが独特なので、魅力的でないと感じる人がいる一方で、狂おしいほど惚れ込んでいる人にも出会うことができます。しかし、サイバートラックの外観は、空力や保護シェル、ボディの手入れのしやすさなど、多くの実用的な特性を備えており、万人とは言わないまでも、ほとんどの人にアピールすることができます。
テスラのチーフデザイナーであるフランツ・ホルツハウゼン氏は、「サイバートラックは、強靭さを外側に出すという、これまでとは異なる素材の製造方法というアイデアから生まれたものです」と語っています。そのスタイリングは、現在の自動車市場にあるどのようなものとも大きく異なり、新鮮な空気を吹き込むものです。
サイバートラックの未来的な「折り紙デザイン」は、自動車業界全体にとって革命的なものです。テスラのピックアップトラックは、スペースXのスターシップロケットの外殻と同じ素材であるステンレス合金で外骨格を形成しています。サイバートラックは非常に頑丈で、ゾンビが出現するような未来に最適です。
「9ミリ拳銃の防弾も可能です。私たちが開発した超硬質冷間圧延ステンレス鋼合金でできています。スターシップロケットにも、サイバートラックにも同じ合金を使うつもりです」と、2019年11月に行われたピックアップのお披露目会でテスラCEOのイーロン・マスク氏は語っています。
しかし、サイバートラックは単なる外観デザインの特異さにとどまりません。ポルシェのように速く、極めて俊敏でありながら、フォードF-150のようなパワーを持つ車になるのです。サイバートラックは、信じられないような収納スペースに加え、テスラ車には珍しい車載コンセントも備えています。マスク氏は、このピックアップトラックは小川を渡ることもでき、しばらくの間であれば水上を浮くこともできると予告しています。そして、これらはすでに知られている機能の一部に過ぎず、一部はまだ秘密であるということです。
サイバートラックは、デザインと技術におけるブレークスルーであり、自動車市場に新風を吹き込み、自動車産業全体に対する挑戦でもあります。このようなユニークな製品を製造すること自体が、非常に困難な作業であることは明らかです。しかし、テスラの行く手には、数カ月前に緩和されたばかりのコロナ流行やサプライチェーンの混乱など、さらなる逆風が押し寄せているのです。遅れはあるものの、同社は2022年第4四半期の決算報告で認めたように、今年中に生産を開始する意向です。
昨年、同社は初期生産が2023年半ばに予定されていることを明らかにしましたが、現時点ではその計画を堅持しているようです。2022年度決算説明会で投資家から質問されたマスク氏は、同社が夏に生産を開始する見込みである、と述べました。ただし、大量生産・納車は2024年以前に期待すべきではないとも述べ、誤った期待を持たせるよりは、比較的保守的な予想を述べました。
マスク氏は、生産開始は常に非常に遅いが、指数関数的に増加すると説明し、そのため、2023年にはサイバートラックはテスラの収益に大きく貢献しないが、来年にはこれが変わると指摘し、投資家にこの点を考慮して期待するように伝えました。サイバートラックが数台でも最初の顧客に引き渡されるかどうかについては言及しなかったのですが、もしそうなれば、実にポジティブなニュースになるはずです。今年の電動ピックアップトラックの生産開始は、テスラにとっても、自動車業界全体にとっても、ターニングポイントとなるだろう。
現在、サイバートラックの生産ラインはすでに設置されています。テスラのパワートレイン&エネルギーエンジニアリング担当SVP、アンドリュー・バグリーノ氏は、現在ギガ・テキサスで「鋳造、GA、一般組立、ボディショップ」が設置され、それと並行してベータ車両が生産されていると述べました。
「ギガ・テキサスでは、鋳造、GA、組立、車体など、生産設備の設置が始まっています。ベータ版車両は全て製造し、来月にはまだ何台か来ますが、おっしゃる通り、本格的な立ち上がりは2024年になります。」
マスク氏自身、サイバートラックに惚れ込んでいるのは、心を込めて開発したからだそうです。これは、彼の愛車であり、彼の日常の乗り物になるとにことです。
「だから、信じられないような製品なんだ。個人的に運転するのが待ち遠しいです。毎日乗るクルマになるんですから。」
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