【2026年テスラ株展望】「車」を捨てたイーロン・マスクの勝算:AI・ロボット・自動運転への全振り戦略

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1. 決算の衝撃:減収でも「株価が崩れなかった」理由

2025年はテスラにとって試練の年でした。かつて「EVの王者」として君臨した同社は、ついにその王座を中国のBYDに明け渡しました。BYDが年間約226万台のBEV(バッテリー電気自動車)を販売したのに対し、テスラは164万台にとどまり、前年比で納車台数が減少するという、かつてない事態に直面しました。

通年の売上高も前年比3%減の948億ドルとなり、上場以来初となる通年減収を記録しました。しかし、この「悪いニュース」の裏で、投資家が注目したのは驚異的な「利益率の回復」でした。

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驚異の粗利率20.1%への回復

第4四半期、自動車の販売台数が減少したにもかかわらず、売上高総利益率は20.1%に達し、過去2年間で最高水準を記録しました。これは、徹底的なコスト削減と、エネルギー貯蔵部門(Megapack)の爆発的な利益貢献によるものです。エネルギー部門の売上は前年比25%増の38億ドルに達し、過去最高を更新しました。

市場は、「車が売れなくても利益を出せる体質」へとテスラが進化したことを好感し、決算発表後の時間外取引で株価は上昇しました。

2. さらば、Model S & X:「名誉ある退役」とロボットへの場所譲り

今回の決算説明会で最も衝撃的だったのは、テスラのブランドを築き上げたフラッグシップモデル、Model SとModel Xの生産終了に言及したことでしょう。

イーロン・マスクは、2026年第2四半期をもってこれら2車種の生産を終了(”wind down”)すると発表しました。マスクはこの決断を「名誉ある退役(honorable discharge)」と表現しましたが、その真の目的はあまりに合理的かつ冷徹です。

フリーモント工場が「ロボット工場」へ

カリフォルニア州フリーモント工場でModel S/Xを製造していたラインは、人型ロボット「Optimus」の製造ラインへと転用されます。マスクは、このスペースで年間100万台のOptimusを生産する計画を明らかにしました。

「高級車を作って小銭を稼ぐよりも、ロボットを作って世界経済(GDP)そのものを変える」――これがテスラの新しいミッションです。Optimusの第3世代(Gen 3)は数ヶ月以内に発表される予定であり、2026年末までには量産体制に入るとされています。

3. 2026年の勝負手:Cybercabと「完全無人」への道

2026年、テスラの運命を握るのは、既存のEVではなく、ハンドルもペダルもない自律走行専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」です。

Cybercabの量産は2026年4月開始

テスラは、2026年4月からCybercabの生産を開始すると発表しました。この車両は、個人の所有車としてではなく、週50〜60時間稼働するロボタクシー専用車両として設計されています。現在の自家用車が週10時間程度しか稼働しないのに対し、Cybercabはその5倍以上の効率で利益を生み出す「金の卵」となる計算です。

オースティンでの無人走行開始

すでにテキサス州オースティンでは、安全ドライバーを乗せない「完全無人(Unsupervised)」でのロボタクシー運行が開始されています。マスクは、2026年末までに全米の4分の1から半分の地域で完全自動運転車が走行することを目指していると語りました。

また、FSD(Full Self-Driving)の販売モデルを「買い切り」から「月額サブスクリプション」へと完全移行することも発表されました。これにより、テスラはハードウェアの売り切り型ビジネスから、高収益なSaaS(Software as a Service)企業へと変貌を遂げようとしています。

4. 200億ドルの超巨額投資:AIインフラへの一点突破

CFOのVaibhav Taneja氏は、2026年の設備投資(CapEx)が200億ドル(約3兆円)を超えると予告しました。2025年の85億ドルから倍増以上の規模です。

この巨額資金はどこに消えるのか? 答えは以下の3点です。

  1. 6つの新工場立ち上げ: Cybercab、Semi、Optimus、新型Megapack工場などの同時立ち上げ。
  2. AI計算基盤(Cortex 2): テキサス州に建設中のAIトレーニングセンターの計算能力を倍増。
  3. 自社製半導体工場(Terafab): マスクは、将来的なAIチップ不足と地政学的リスクに備え、米国内にロジックとメモリを統合した自社製チップ工場「Terafab」を建設する構想をぶち上げました。

また、テスラはマスク氏のAIスタートアップであるxAIに約20億ドルを出資することも発表しました。これは、xAIの言語モデル「Grok」をテスラの自動運転やロボット制御に統合し、「オーケストラの指揮者」として機能させるための戦略的提携です。

5. アナリストの視点:株価は「600ドル」か「400ドル」か?

2026年のテスラ株については、ウォール街でも見方が真っ二つに分かれています。現在の株価(約430ドル)は、すでに将来のAI事業の成功をかなり織り込んでおり、PER(株価収益率)は約300倍という超割高水準にあります。

強気派(Bull Case):目標株価 $600

Wedbushのアナリスト、ダン・アイブス氏は、2026年がテスラの「AIとロボティクスの章」の始まりであるとし、目標株価を600ドルに設定しています。彼は、ロボタクシーやFSDの普及が、テスラを時価総額2兆ドル(約300兆円)企業へと押し上げると予測しています。

慎重派・弱気派(Bear Case):目標株価 $405〜$425

一方、ゴールドマン・サックスは目標株価を405ドルに引き下げました。AIへのシフトは評価しつつも、200億ドルもの巨額投資が短期的には利益を圧迫することや、Waymoなどの競合他社との競争激化を懸念しています。モルガン・スタンレーも、AIへの期待値はすでに株価に反映されているとして、中立的な姿勢を崩していません。

結論:2026年は「投資」か「ギャンブル」か?

2026年のテスラへの投資は、もはや「自動車メーカーへの投資」ではありません。それは、イーロン・マスクが描く「物理的AI(Physical AI)による労働からの解放」というビジョンへの投資です。

もし、Cybercabの量産が順調に進み、Optimusが工場で実用的な働きを見せれば、現在のPER300倍という株価すら「割安」だったと言われる日が来るかもしれません。しかし、規制の壁や技術的な遅延が発生すれば、その反動は計り知れません。

Model SとXという「過去の栄光」を捨て、全チップをAIとロボットという「未来」に賭けたテスラ。2026年は、その賭けの結果が出る運命の1年となるでしょう。


参考リンク・出典

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