2025年末までにテスラの自動車が顧客のもとへ自動運転で納車されるようになります。そのメリットと潜在的な課題について今回は見ていきます。
FSD の将来の可能性について議論する際に、常に話題になるのが、テスラを注文すると、その車が完全に自動運転で自宅に現れるという機能です。
ギガファクトリー・テキサスの組立ラインから生産された自動車が、出庫場まで無人の自動運転で移動し、高速道路に合流する様子を想像してみてください。その目的地は、ニューヨーク州北部の顧客宅です。その間、自動車は充電の停止場所を独自に計画し、交通状況を判断して、購入者の自宅まで休憩なしでノンストップで走行します。
もちろん、検討すべき点や解決すべき課題は数多くありますが、イーロン・マスク氏は、2025年末までにテスラの自動車を自動運転で配送することを目指すと発表し、その実現に向けた取り組みを加速しています。もちろん、その実現にはいくつかの条件があると思いますが、テスラが販売する自動車 1 台あたり数千ドルのコストを削減できる、エキサイティングなアイデアです。
FSD 監視なしでの配送・納車
その中心的な考え方は、FSD 監視なし機能がほぼ完成に近づき、テスラの最初のロボタクシーネットワークが 6 月に開始される予定であることです。テスラが監視なし自動運転の安全性を実証できれば、その用途は A から B への乗客の輸送だけにとどまらず、どんどん拡大していくでしょう。

これには、工場から消費者への車両の輸送も含まれ、テスラの配送プロセスが大幅に効率化され、テスラが競合他社よりもどれだけ先を行っているかをはっきりと示すことになるでしょう。
配送コストの削減
テスラの歴史を通じて最大の鍵のひとつは、コスト削減能力でした。配送コストは車両価格に追加される費用であり、その内容は車両の輸送費用だけでなく、配送センターや人員を含む配送業務全体の費用も含まれます。
一方、将来、テスラの自動車が消費者まで直接無人自動運転で配送できるようになれば、テスラは車両価格をさらに引き下げたり、利益率を向上させたりすることが可能になります。
顧客体験の向上
金銭的な面とは別に、真に画期的なのは、テスラのような車両配送体験は他のどのメーカーも実現できないという点です。工場から直接、自動運転車で顧客の自宅まで車を配送できるメーカーは、他にどこにあるでしょうか?
自動運転車には、顧客への配送時間の短縮など、他のメリットもあります。顧客は、配送センターまで車を取りに行く必要がなくなります。車両は、工場から顧客まで、その間に何の手間もかからずに直接配送されます。
携帯電話に通知を受け取り、外を見たら、真新しいテスラが自動運転で自分の家の車庫に停車しているのを見る…。
制限
もちろん、新しいプロセスや機能には、テスラが対処しなければならない制限や課題があり、その解決には時間と労力がかかります。
テスラが解決しなければならない課題について、いくつか考えてみましょう。
充電インフラ
真の自動運転の実現に加え、もう 1 つの大きな課題は充電インフラです。現在のテスラは、スーパーチャージャーで自ら自動的に充電することはできません。自動運転で長距離の走行を行うには、ワイヤレス充電機能を備えた次世代の V4 スーパーチャージャーへのアクセスが必要となります。
特に、テスラはこれまで旧式の V2 スーパーチャージャーの交換をあまり進んで行っておらず、新しいスーパーチャージャーの設置に注力しているため、最初の数年間は充電設備の問題で導入が難航するでしょう。ワイヤレス充電の導入も限定的であり、テスラのより高級な車種とロボタクシーだけがワイヤレス充電に対応することになる可能性が高いと考えられます。
自動運転に関する方針/地理的制限
テスラはこれまで、官僚的な手続きに常に足かせを掛けられてきました。また、監視の無い無人自動納車は、多くの州や地方自治体、そして連邦政府レベルでも大きな障害となるでしょう。これは、ロボタクシーネットワークの初期段階におけるテスラにとって最大の課題となるでしょうが、認可が広まるにつれて、これらの制限は解除され、規制が緩和されるものと予想されます。
走行距離と損傷
顧客にとって問題となる可能性のある項目の 1 つは、走行距離と損傷です。新品の車両が輸送中に損傷した場合、購入者はどのように対応すればよいかという事です。車両を自宅からサービスセンターに持ち込む必要があり、事実上、納車が無効になってしまいます。
もちろん、多くの人々は、工場から出荷されたばかりの新しい車の走行距離が短いことを望むでしょう。それは当然のことです。タイヤや塗装に数百キロ、あるいは数千キロの摩耗や損傷のある車が到着することは、大きなマイナス要因となる可能性があります。
起こりうる事態
テスラは今後も長距離の車両輸送を継続すると思いますが、おそらく、お客様の地元のサービスセンターに車両が到着すると、従業員がボタンをタップして、自己配送プロセスが開始されるでしょう。これにより、充電や追加の走行距離など、上記の問題の多くが解消され、多くのメリットもそのまま維持されます。
今年後半にテキサス州オースティンでテスラを注文したお客様には、テスラが車両を直接お届けする可能性があります。
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コメント
テスラは、規制が緩いテキサス州オースティンであれば、2025年6月中に「無人ロボタクシーを商用化する」資格を取得できるかもしれないとの声を耳にします。しかし、現在の状況を踏まえると、それは楽観的すぎる味見方でしょう。
例えば、
テスラのロボタクシー、「規制回避狙い」でテキサス州を選んだ?
規制が厳しい加州では、1つの認可は取得
https://jidounten-lab.com/u_53477(2025年3月28日)
より、一部抜粋すれば、
「テスラがカリフォルニア州でのロボタクシー実用化に向けてまずしなければいけないのは、DMVのドライバーレスの自動運転のテスト許可だが、まだ申請も行っていないようだ。そしてテキサス州でも、テスト走行している様子がないという。」
とあります。
DMVは「有人で公道を試運転した実績」を基に、「無人で公道を試運転する」資格を付与し、その結果として安全性が確認された場合に「無人ロボタクシーの商用化」を認可するというプロセスを採用しています。仮に規制が緩いテキサス州であっても、「有人での試運転すら行っていない」テスラに対し、いきなり「無人ロボタクシーの商用化」を認可する可能性は極めて低いと考えるのが妥当です。
テスラに過大な幻影を与えるあなた様は応分の責任があることをご自覚する必要があると私のは思えます。
テスラが為すべきは、
「無人で公道を試運転する」資格、そして「無人ロボタクシーを商業化する」資格です。
現状のテスラがそれらを実現できないのは、イーロン・マスク氏の存在が全てです。
OpenAIのサム・アルトマン氏がOpenAIから、イーロン・マスク氏を追放することで今日の大成功を収めたように、テスラに今必要なのは、テスラから、イーロン・マスク氏を追放することです。