高額なバッテリー費用が、これまでEVの普及を妨げてきました。新しいEVの価格は高く、保証期間が切れた中古車のバッテリー交換費用がどの程度になるのか、人々は不安を抱えています。しかし、高額なEVバッテリーの交換費用を心配する必要は、もうすぐなくなると考えられます。
この記事では、バッテリーコストの驚くべき低下について、今後の価格動向を含めて探っていきます。
急落するバッテリー価格
ゴールドマン・サックスは最近、2026年までにバッテリー価格は80ドル/kWhまで低下するだろうと報告しました。これは2023年の価格のおよそ半分の50%に相当します。
少し考えてみてください。3年間でほぼ半額にまで下がったのです。
これは、電気自動車の価格が手頃になるという素晴らしいニュースであり、また、リチウムイオンバッテリーに依存する多くのエネルギーおよびテクノロジープロジェクトにとっても素晴らしいニュースです。バッテリー価格がこれほどまでに低くなれば、2026年には電気自動車とガソリン車の価格が同等になると考えられます。
しかし、バッテリー価格が下がるにつれ、さらにワクワクするようなことが起こりそうです。
新車のEVだけではない
新しいEVとガソリン車の価格が同等になることは重要ですが、本当にワクワクするのは中古EVのバッテリー交換です。 念のためにお伝えしておくと、ほとんどのアメリカ人は新車を購入しません。ガソリン車であれEVであれ、希望小売価格は彼らが支払ってもよいと思う金額よりも高額です。 そのため、私たち米国人の約75%は中古車を購入することになります。そして中古EVを購入する際に消費者が最も懸念するのは、バッテリーの健康状態と、高額な(可能性は低いとしても)バッテリー交換の必要性です。
そして、ここからが興味深いのですが、バッテリー価格が下がると、交換用バッテリーは非常に手頃な価格になります。やがては、バッテリーパックの交換費用の方が、内燃エンジンの交換費用よりも安くなるでしょう。
また、ガソリン車のように、経年劣化により何百もの可動部品が機械的な問題を引き起こすことも、電気自動車では摩耗するような可動部品が数がエンジン車に比べるとはるかに少ないのです。
念のため追記しますが、EVにおけるバッテリーの交換は極めてまれであり、通常は8年または10万マイル以上のバッテリー保証の対象となっています。さらにリチウムイオンバッテリーの寿命は20万マイル以上と予想されています。
価格はどこまで下がるか
ゴールドマン・サックスの2024年10月のレポートでは、2030年におけるEVバッテリーパック価格の推定値を64ドル/kWhとしています。他の推定値と比較すると、この数字は高い部類です。2024年1月には、業界リーダーであるRMIが2030年のバッテリーセル価格を32~54ドル/kWh、バッテリーパック価格を45~65ドル/kWhと推定していました。しかし、2024年の間に、中国CATLが56ドル/kWhという低価格のLFPセルの提供を開始し、BYDもこれに続きました。この夏、CEA(Clean Energy Associate)は、リチウムイオンバッテリーの世界市場は2028年まで供給過剰の状態が続くと予測しており、これは予想よりもさらに低い価格になっていく事を意味します。
業界関係者であり、RMIレポートの著者でもあるダーン・ウォルター氏は、2030年のバッテリーセル価格の予測として、35ドル/kWhは達成可能と思われるが、楽観的な予測であると述べています。 これに基づくと、バッテリーパック価格は50ドル/kWh以下となります。 100kWhの大型パックの場合、交換費用は4500~5000ドル、よりスタンダードな75kWhパックの場合は3375ドルとなります。これはエンジンの交換費用とほぼ同額の水準なのです。
さらに、2030年には、賢い消費者は競争が激化する二次市場でバッテリーを転売することで、交換用パックの費用を相殺できるようになるはずです。現在、EVドライバーがバッテリーの交換を必要とするケースはまれですが、その場合、サービスショップは通常、古いバッテリーパックを保管します。バッテリーを修理して再販するか、古いバッテリーを大型蓄電池やバックアップパワー用に再利用する企業に販売します。しかし、EVバッテリーの寿命が延び、中古バッテリー市場が拡大していることから、2030年には顧客が自分のバッテリーパックの販売を交渉できるようになる可能性があり、化学構成、品質にもよりますが、新車の価格を1kWhあたり10~20ドル引き下げることにもつながります。
今後の展開では10年以上前のEVは価値がないという状況ではなくなるでしょう。数千ドルでバッテリーパックを交換できるため、安価なEVを購入することは十分に現実的です。
なぜ価格が下がるのか?
リチウムイオンバッテリーの価格下落と、米国の石油・ガス市場の価格が比較的安定していることを比較すると、EVが安価になる理由がわかります。
バッテリーパックの価格は、技術の進歩により低下しています。主に3つの要因に分類され、RMIが図示しています。
- LFPなどの安価な化学物質
- コストパフォーマンスの高い高エネルギー密度バッテリーパック
- 採掘材料のリサイクル/再利用
ゴールドマンサックスのレポートでは、価格が低下し続けている理由として、以下のように記述しています。
バッテリー用材料価格の継続的な下落です。これにはリチウムやコバルトが含まれ、バッテリーコストのほぼ60%が金属由来です。…2020年から2023年にかけて環境規制によるインフレが続いたため、下落の約40%は商品価格の低下によるものです。
2020年代の終わりに目を向けると、現在販売されている多くの電気自動車が保証期間を過ぎる頃になりますので、バッテリー交換の脅威が潜在的な購入者を遠ざけることはなくなるでしょう。バッテリーは予想よりも長持ちするだけでなく、交換コストも安く、性能がやや低下したバッテリーパックもさまざまな用途に再利用できるからです。
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