電気自動車に関しては、中国は日本(およびその他の世界のほとんどの国々)を大きく引き離しており、すぐさま追いつかれるような状況ではなさそうです。
非常に手頃なEV
日本の自動車メーカーは2000年代初頭には電気自動車や電動車両で世界をリードしていましたが、その後はリードを失い、この点では現状ほとんどの先進国に対して遅れをとっています。現在、EVの分野では中国が世界をリードしていることは疑いのない事実であり、日本の経済産業省は、他国がいかに進んでいるかを認知させるために、複数のEVの分解セミナーを開催しました。
日経新聞によると、BYDアット3(下の写真)は、そのサイズと仕様を考慮すると非常に手頃な価格であることが参加者を感心させました。中国では「元プラス」という名称で、価格は139,800人民元(約300万円)からとなっており、201馬力のモーターとEVに50kWhのバッテリーを搭載し、CLTC規格(中国の電費規格)による航続距離は430kmとなっています。
オプションの60.5kWhの大型バッテリーを追加すると、CLTC航続距離は510kmに伸びますが、その場合は10,000人民元(約21万円)のオプション料金が必要です。この大型バッテリーは、中国よりもほぼ2倍の価格となる欧州版アット3にも搭載されています。この価格上昇は、値上げと輸入関税の両方が原因ですが、来月からは関税がさらに上昇する予定です。
分解調査
日本でのアット3の分解調査により、BYDがコストを抑え、その削減分を購入者に還元していることが明らかになりました。その秘訣は、できる限り多くの部品を社内で生産し、それらを統合すること、つまり垂直統合型の自動車生産です。この記事では、BYDが以前は使用していた、いわゆる「E-Axle」をアピールしています。これは8つの異なる部品で構成されています。
モーター、インバーター、トランスミッション、コントロールユニットだけでなく、車載AC充電器、DC-DCコンバーター、バッテリーモニタリングシステム(BMS)も含まれています。このアプローチと規模の経済(生産台数が増えれば増えるほど、より安価に生産できる)を組み合わせることで、BYDの中国製EVが低価格で販売できる理由を説明することができます。
BYDアット3がこのプロジェクトに選択されたのは、国際的な成功を収めているからだけではなく、2023年日本のEV・オブ・ザ・イヤーで非常に高い評価を得たこと、そしてBYDの別のモデルが受賞したことも理由のひとつです。
産業機械会社である三洋貿易の取締役であり、セミナーの主催者のひとりである伊藤健一氏は、以下のようにコメントしています。
「中国メーカーは低コスト生産を非常に重視しています。また、彼らの品質に対する考え方は、日本メーカーとは異なります。」
これは、同じスタンダード(規格)で製造されていないことをほのめかす微妙な言い方ですが、市場は気にしないようで、BYDは2022年2月に生産を開始した最初の年に主に中国でアット3を30万台販売しました。また、欧州市場でもかなり好調です。
テスラもコスト削減のために複数の部品を組み合わせる「垂直統合」という同様のアプローチを取っています。その最たる例がモデルYのギガキャスティング構造で、従前のモデル3の70個の部品をフロントとリアのわずか2つの大型アルミ鋳造部品(ギガキャスティング)に減少させることに成功しています。興味深いことに、コスト削減と複雑性の低減を実現しているにもかかわらず、テスラはギガキャスティングをさらに追求し、他のモデルに適用することには今のところ興味を示していません。
これは、テスラの関心が今では自動車製造技術の向上よりも完全自動運転技術へと移っているためかもしれません。
いずれにせよ、中有国で圧倒的な強さを示すBYDは自社生産のバッテリーと、タイヤとワイパー以外自社で生産するという強力な垂直統合システムで非常に安価なEVを市場に供給できるということです。
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