テスラの年次株主総会「サイバーラウンドアップ2024」で語られた事まとめ

tesla-cyber-roundup-2024 TESLA Blog
Credit:Tesla
スポンサーリンク

テスラの2024年年次株主総会、別名「サイバーラウンドアップ2024」が6月13日(現地時間)開催されました。このイベントに対する注目度は非常に高く、その理由の1つは、イーロン・マスクCEOが事前にXに投稿した、2018年のCEOの報奨の承認と、デラウェア州からテキサス州へのテスラの法人登記移転案を承認する方向で大きく動いているという内容によるところが大きいでしょう。

テスラは、ソーシャルメディアプラットフォームXにサイバーラウンドアップ2024の公式ライブストリームへのリンクを掲載しましたので、今回はこのイベントの中で語られたことを項目ごとにまとめてみます。

株主投票結果

まず、株主総会なのでテスラからの提案と、株主からの12の提案の賛否を見てみましょう。

テスラの提案

  • 第1号議案:テスラは、クラスII取締役2名を3年間、または後任者が正式に選出され適格となるまで務めるよう選任する提案を行いました。 – 取締役会の推奨:「賛成」 – 投票結果:「賛成」
  • 第2号議案:テスラいよる、拘束力のない諮問的立場での役員報酬を承認する件。 – 取締役会の推奨:「賛成」 – 投票結果:「賛成」
  • 第3号議案:テスラによる、デラウェア州からテキサス州への州変更によるテスラの国内移転を承認する提案。 – 取締役会の推奨:「賛成」 – 投票結果:「賛成」
  • 第4号議案:2018年に当社の株主によって提案され承認された、イーロン・マスク氏への100%業績連動型株式オプション付与を承認するテスラ提案– 取締役会の推奨:「賛成」 – 投票結果:「賛成」
  • 第5号議案:2024年12月31日に終了する会計年度におけるテスラの独立登録公認会計事務所としてプライスウォーターハウスクーパースLLPの任命を承認するテスラ提案(「提案5」) – 取締役会の推奨:「賛成」 – 投票結果:「賛成」

株主提案

  • 第6号議案:取締役の任期を1年に短縮することに関する株主提案 – 取締役会の推奨:「反対」 – 投票結果:「賛成」
  • 第7号議案:定款の単純多数決規定に関する株主提案– 取締役会の推奨:「反対」 – 投票結果:「賛成」
  • 第8号議案:セクハラや差別に対する取り組みについて、年次報告を行うという株主提案 – 取締役会の勧告:「反対」 – 投票結果:「反対」
  • 第9号議案:結社の自由と団体交渉に関する方針の採用に関する株主提案 – 取締役会の勧告:「反対」 – 投票結果:「反対」
  • 第10号議案:電磁放射線およびワイヤレス技術に関連する影響とリスクに関する報告に関する株主提案 – 取締役会の勧告:「反対」 – 投票結果:「反対」
  • 第11号議案:持続可能性の指標を上級経営陣の報酬制度に組み込むことの実現可能性を評価するための目標の採用と測定基準の報告に関する株主提案 – 取締役会の勧告:「反対」 – 投票結果:「反対」
  • 第12号議案:深海鉱山からの鉱物調達の一時停止を確約することに関する株主提案 – 取締役会の勧告:「反対」 – 投票結果:「反対」

テスラ会長:ロビン・デンホルム氏

デンホルム会長は、テスラの株主をテキサスにある同社の本拠地ギガテキサスで歓迎し、以下のように述べて株主総会が始まりました。

「テスラほど多様で熱心、そして支援的な株主を持つ企業は、世界中にありません」

また、モデルYが世界で最も売れている車になったこと、サイバートラックの最初の納車、テスラエナジーの急速な成長など、テスラの過去1年間のハイライトについても言及し、さらに、FSD(監修型)の開始や、次世代プロジェクトへの取り組みについても言及しています。取締役会長は、テスラは可能な限り持続可能な事業運営に重点を置いていることを以下のように強調しました。「私たちは、社内外でバッテリーリサイクル素材エコシステムの構築に取り組んでいます」とデンホルム氏は述べ、テスラはモデルY RWD数千台分のバッテリー素材のリサイクルを支援したと付け加えました。

デンホルム氏はまた、テスラの取締役会は株主の声に耳を傾け、経営陣はより高いスタンダードを自らに課していると以下のように強調しました。

「取締役の日常業務を目にすることはあまりありませんが、私は断言できます。テスラは非常に熱心な取締役会なのです。」

ロボタクシーの事業モデル

マスク氏はテスラのロボタクシーモデルについて述べました。同氏は、車両の一部はテスラが所有し、一部は顧客が所有すると述べました。これにより、テスラの所有者は、所有する車両がいつロボタクシーネットワークの一部として使用されるかを完全にコントロールできるようになります。

テスラの株主が、ハンドルのないデザインのロボタクシーについて、テスラはこのような車両が何らかのトラブルに陥り手動で運転しないといけない場合にどのように扱うのか質問しました。マスク氏は、このような車両は極めて慎重な運転を行うため、そもそも歩行者を傷つけるような事故の確率は非常に低いと述べています。しかし、何らかの介入が必要な場合は、テスラは恐らく遠隔操作で自動運転車をコントロールできるだろうとマスク氏は述べています。

オプティマスの進化

イーロン・マスクCEOは、誰もが欲しがるようなものになるだろうと述べたオプティマスの可能性について「C3POを欲しくない人なんていないよね」と、スターウォーズの象徴的なキャラクターを引き合いに出して表現しました。マスク氏は、テスラは1万ドルでオプティマスを量産できるとも述べています。1台2万ドルで販売すれば、テスラは年間1兆ドルの利益を上げることができます。オプティマスだけでこれだけの評価額になるというのは、驚くべきことです。

「新しい本の執筆を始めると言ったら、それは最高の本になるだろう。次のレベル、その次のレベルなのです。」

マスク氏は、ここ数年で驚くほどの進歩を遂げたオプティマスの進捗状況についても説明しました。また、テスラが来年限定生産する目標を再確認し、来年には数千台のオプティマスのロボットがテスラの工場で稼働している可能性があると述べました。

「私の予測では、来年には1,000台、もしかしたら数千台のオプティマスのロボットが工場で稼働しているでしょう。」

マスク氏は、オプティマスに今後予定されているアップデートにより、22の自由度を持つ手を持つようになるなど、いくつかの重要な改良点をほのめかしました。マスク氏によると、オプティマスはこのような「手」を使ってピアノを弾くことができるはずであり、オプティマスに対する最も楽観的な見通しでさえ控えめなものになるということです。

「私はオプティマスだけで(テスラの株価が)25兆ドルの時価総額になると考えています。そこまで到達するには膨大な作業が必要ですが、私たちはその道を非常に速く進んでいます。」

株主から、オプティマスにはユーザーが設定できる性格のようなものがあるのかという質問に対して、イーロン・マスク氏は、確かにそのような機能があると述べました。

「性格や声をカスタマイズできます。あなたを理解するようなものになるでしょう。」

キャシー・ウッドの正確な見通し

マスク氏は、自分が楽観的になりすぎる傾向があると認めています。

「もし私が楽観的でなければ、この工場(ギガテキサス)は存在していないでしょう。私は生まれつき病的に楽観的です。だからこそ、これらすべてが実現しているのです。最終的には必ず実現します。それが重要なのです」

マスク氏はまた、キャシー・ウッド氏のアーク・インベストが、テスラの将来性について最も正確な見通し(2029年に株価2600ドル)を持っているとアドバイスしました。テスラの株主が、マスク氏はテスラが世界で最も価値のある企業になる時期をいつと考えているのか質問したのに対しては、マスク氏は、アーク・インベストの分析が最も正確であるため、彼らの予測に注目する価値があると述べました。

つまりマスク氏は、5年(2029年)というタイムラインは実現可能かもしれないと述べました。

子どもの好きなサイバートラック

イーロン・マスク氏は、テスラ・サイバートラックの生産台数が週1,300台という記録に達し、2024年末までに週2,500台を達成することを目指していると述べました。また、サイバートラックは賛否両論あるものの、子供たちを含め多くの人々の共感を呼ぶ車であるとも述べました。マスク氏は、何かについて率直な意見を聞きたい場合は、子供たちが間違いなく率直な意見を言ってくれると述べています。そして今のところ、子供たちはサイバートラックが大好きだとのことです。

株主から、サイバートラックの国際的な評判についての質問に対して、マスク氏は、サイバートラックは北米向けに設計されているが、テスラは来年、他の市場向けの認証を取得できる可能性がある、と述べました。しかし、そのためには複雑な作業が必要となり、おそらくサイバートラックが大量生産体制に入るまでは実施すべきではない、とのことです。その時点で、コスト削減や他の市場への適合に向けた取り組みが開始されるということになります。

また、マスク氏は、サイバートラック・ファウンデーション・シリーズはまもなく終了し、来四半期にはファウンデーション・シリーズ以外のサイバートラックが販売開始されると述べました。

モデルYは2024年も1位に

CEOは、再設計されたモデル3についても「素晴らしい、素晴らしい車」と賞賛しました。また、モデルYが世界で最も売れている車となった功績についても改めて言及しました。マスク氏は、モデルYが2024年も販売台数で世界一になると予測しています。

テスラセミの大量生産

イーロン・マスクCEOは先週、テスラセミの大量生産計画に承認を与えたとレポートしました。マスク氏は、テスラセミは最終的に各企業にとって非常に大きな意味をなすだろうと述べました。というのも、輸送に必要な運転手に関連する多額のコスト削減をもたらすからとのことです。

フューチャープロダクト

マスク氏はテスラのフューチャープロダクトについても言及しました。 これらのプロジェクトの一部は、最初は期待外れに感じられるかもしれませんが、長期的には状況を一変させるものになると述べました。

スーパーチャージャーの拡大は慎重に

テスラのスーパーチャージャーネットワークは現在も拡大中であるものの、充電ステーションの設置場所についてはより慎重になるだろうと強調しました。 「スーパーチャージャーネットワークが消滅するという噂は、非常に誇張されている」とマスク氏は述べ、テスラは今年、スーパーチャージャーネットワークの拡大に5億ドルを投資すると改めて強調しました。加えて、「今年は、業界全体の急速充電器設置数を上回る数のスーパーチャージャーを設置する予定です」とマスク氏は述べています。

4680バッテリーセルは順調

マスク氏は、テスラが4680バッテリーセルプログラムで順調に進捗していると述べました。マスク氏によると、路上を走るすべてのサイバートラックには4680セルが搭載されていますがしかし、マスク氏は4680プログラムが「非常に難しい」ことも認めました。

別の株主が、テスラの4680プロジェクトについて、それがどのように車の価格競争力を高めるのかについて質問しました。マスク氏は、(テスラの4680への取り組みにより)バッテリーセルのサプライヤーがバッテリー価格を大幅に引き下げることに繋がったと指摘しました。また、車を手頃な価格にするのは、ゲーム・オブ・スローンズを小銭でプレイするようなもの、つまり、バッテリーセルは方程式の一部に過ぎないということです。

マスク氏は、テスラは今年、バッテリーへの取り組みによりコストの均衡化への道筋が見えてくるとも指摘しました。

急成長するテスラエナジー

テスラエナジーは今年昨年と比較して200~300%の成長を記録しているとマスク氏は以下のように述べました。

「2024年のエネルギー貯蔵導入量は前年比200~300%の成長を見込んでいます。」

また、テスラ・パワウォール3はゲームチェンジャーとなる製品であり、2~3年後に発売されるメガパック3も同様であると述べました。マスク氏は、メガパック3は簡単かつシームレスな設置に最適化された製品になると述べました。

次世代コンピュータ 「AI 5」の設計完了

イーロン・マスク氏は、テスラが「AI 5」と呼ぶハードウェア5(HW5)の設計を完了したと述べました。同氏は、現在消費者が目にしているものはすべて、まだ性能が最大限に発揮されていないハードウェア3(HW3)だと述べました。そして「ハードウェア3の限界に達するには、まだ長い道のりがあります」とマスク氏は述べました。

マスク氏は、ハードウェア4(HW4)はハードウェア3の3倍から8倍優れ、ハードウェア5はハードウェア4の10倍優れていると述べています。ハードウェア5は、約18か月後に発売される予定です。そしてマスク氏は、ハードウェア4に関するいくつかのエキサイティングな最新情報をシェアしました。「今年後半に、ギガファクトリー・テキサスでトレーニングされたハードウェア4専用モデルを発売します」とマスク氏は述べました。そしてハードウェア5に関しては以下のようにも付け加えています。

「AIハードウェア5は、ピーク時の負荷で700~800ワットまで対応できるようになります。」

FSDの無料体験とトランスファー

テスラの販売部門に勤務していたテスラ株主は、FSDを他のサービスとバンドルして消費者にアピールできないかとイーロン・マスク氏に尋ねました。マスク氏は、FSDの無料体験が役立つだろうと述べました。そして、アップデートのたびに無料体験を提供する可能性を示唆しました。

「FSDに大幅な改善を加えるたびに、無料体験を提供し続けることができると思います。」

テスラの株主によるFSDの権利の他車へのトランスファーを恒常的なものにしてほしいという要望に対して、マスク氏は、会社にはある程度の収益が必要なので難しいと述べ、少なくともFSDのトランスファーはあと1四半期は有効であると述べました。

紹介プログラムの復活

別の株主はテスラの紹介プログラムについての質問に関して、いつ乗用バンを発売するのか尋ねました。マスク氏は、いずれその乗用バンを紹介プログラウのリストに追加すると述べました。また、テスラは次の四半期に紹介プログラムを再検討すると述べ、紹介プログラムは結果として車の価格を引き上げることになるが、テスラはそれを検討すると述べました。

「何らかの紹介プログラムが効果があると思うのです。」

マスクCEOはまた、自動車購入の需要を制限しているのは依然としてコストであると指摘し、モデルYの価格が2万ドル以下であれば、年間500万台を販売できるだろうと述べました。

「手頃な価格にしなければならない。それが肝心なのです」

HVAC(空調技術)の優先順位

株主が、テスラは依然としてHVACシステムの開発に取り組んでいるのかどうかを尋ねたのに対して、マスク氏はこの事を認め、テスラには優れたHVACシステムを作るために使用できる多くの技術革新があると述べました。しかしこのHVACは、テスラが取り組むべき課題の上位に位置するものではないとのことです。

ドナルド・トランプ

株主がドナルド・トランプについての質問に対して、マスク氏は、トランプ氏がテスラとマスク氏の仕事を愛していることを認めた上で、説得力があるかもしれないと冗談を言いました。また、マスク氏は、トランプ氏の友人の多くがテスラを運転しており、同氏はサイバートラックのファンでもあると付け加えました。

イーロンのいないテスラ

投資家からイーロン・マスクCEOがいないテスラについて質問がありました。マスク氏は、自分はテスラの未来にとって有益な推進力ではあるが、自分がいなくなっても会社は大丈夫だと考えていると述べました。しかし、現在の状況では、彼がテスラにもたらした最大の貢献は、同社のイノベーションを加速させたという点です。

「重要なのは、他よりも速く動けるかどうかなのです。」

テスラ関連の最新ニュースをほぼ毎日アップしていますのでこちらを参照ください。

※免責事項:この記事は主にテクノロジーの動向を紹介するものであり、投資勧誘や法律の助言などではありません。また、記事の正確性を保証するものでもありません。掲載情報によって起きたいかなる直接的及び間接的損害に対しても、筆者・編集者・運営者は一切責任を負いません。また、運営者はテスラ株式のホルダーです。

タイトルとURLをコピーしました