これで何度目か覚えていないですが、改めてダイエットを始めてから1年が経過しました。下のグラフは、この2020年1年間の体重変化を毎日記録したものです。90キロ近くあった体重をこの1年で80キロ弱までおよそ10キロ落とすことができました。
グラフを見ていただくと、最初の半年でほぼ80キロを切るところまでいき、その後の半年はずっと80キロ弱の体重を行き来してあまり減っていません。結構努力しているのですが‥‥‥。
この体重の変化によって、明らかに体感として違う点があります。それは、本日のテーマと大いに関係するのですが、去年より明らかに寒がりになったことです。そこで、今回は脂肪の断熱効果について考察してみたいと思います。
脂肪細胞とは?
脂肪細胞とは細胞質に脂肪滴をもつ細胞のことを指し、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。それぞれ白色脂肪細胞は単泡性脂肪細胞、褐色脂肪細胞は多泡性脂肪細胞と呼ばれています。
白色脂肪細胞(単泡性脂肪細胞)

読んで字のごとく、白色脂肪細胞は色が白い脂肪のことで、通常私達がお肉などで見ているいわゆる「脂身」がこれです。
この白色脂肪細胞は別名を単泡性脂肪細胞といい、一つの脂肪細胞の中に大きな一つの「脂肪滴」(しぼうてき)が含まれています。通常、脂肪と言う場合コチラを指します。
いわゆる肥満の人についている脂肪はこちらの白色脂肪細胞で、食事などを通して過剰になった脂肪や糖を「脂肪滴」の形で溜め込んで、いざというときにエネルギーの形で使われるものです。
褐色脂肪細胞(多泡性脂肪細胞)
一方で、脂肪細胞の中に複数の脂肪滴がある細胞を多泡性脂肪細胞(褐色脂肪細胞)といい、白色脂肪細胞が脂肪を溜め込むのに対して、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させる働きを持っていると言われています。
この褐色脂肪細胞は私達が赤ん坊のときに内蔵周辺に多く存在し、体温調節など生命機能の維持に必要とされる細胞です。成長するにつれてその体温維持の基礎代謝機能は筋肉が担うようになり、この褐色脂肪細胞も徐々に少なくなると近年までは考えられていました。
ただ、最近の研究ではこの褐色脂肪細胞の減少が肥満と大きく関係しているのでは?とも言われています。この褐色脂肪細胞は熱の生産量が骨格筋の70〜100倍もあるので、高齢化に伴ってこの細胞が減少してエネルギー消費量が抑えられそれが肥満につながるという研究もあるようです。
脂肪の断熱効果
ですので、脂肪の断熱効果を考えるときには白色脂肪細胞の断熱性能を考えればいいことになります。脂肪の断熱性能を少し調べて見た中で、発見した論文が下の「体脂肪率の違いは末梢部皮膚温 に影響するか?」という研究論文です。
この論文では、太った人の手足の皮膚温度は痩せた人より低くなりバランスを取っているということのようです。
皮下脂肪により物理的に抑制された体幹部からの熱放散量は、末梢部からの熱放散量を生理学的な血流調節反応により促進することで、全身の熱バランスを維持していることが示唆された
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho1966/30/4/30_4_187/_pdf
脂肪の熱的性能
それでは、脂肪の断熱性能について見ていきましょう。ここでも昭和46年に奇特な研究をされた以下の論文を参考にしています。
肉と脂肪の熱伝導率
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsam1937/33/3/33_3_298/_pdf/-char/ja
この論文では、豚肉と牛肉、そしてそのそれぞれの脂肪分を実験分析し熱伝導率を導き出しています。肉も脂肪も個体差があるのでその熱的性能はばらつきますし、牛や豚と人の脂肪も多少違うと思いますが、ざっくりいうと以下のようになります。
・豚脂肪の熱伝導率=0.214 kcal/mh℃
単位をSI単位系に変換すると
・脂肪の熱伝導率=0.249 W/mK
となります。この熱伝導率は、建築材料に例えるとゴム(0.24 W/mK)や石膏ボード(0.22 W/mK)に近い数値です。なんとなく実感としても脂肪の熱的性能がゴムに近いと言われると納得感もありますよね。
次に私がダイエットにより減らした10キロの脂肪がどの程度の断熱性能かを検討してみましょう。10キロ体重が落ちたからと言ってその全てが皮下脂肪であるということはなく、内臓脂肪もあれば筋肉などもあるでしょう。ひとまずここでは、8割が皮下脂肪であったと仮定します。
まず、身長と体重から体表面積を求めます。これも非常に便利なことにこのサイト(体表面積計算)で身長と体重を入力すると、計算してくれます。身長183センチ、体重79キロなので体表面計算サイトで計算すると、
身長183センチ+体重79キロ = 体表面積 1.955㎡
つまり、私の体表面積は約2㎡とのことです。
また、脂肪の比重は0.9とのことですので、話を簡単にするために皮下脂肪は体表面に一様に分布すると仮定し、8キロの皮下脂肪の厚さを計算してみます。
8kg÷0.9g/cm3÷1.955㎡ = 8000g÷0,9g/cm3÷19550cm2 = 0.454cm
ということで、少し寒くなるのも納得?ですかね。今回はこれまで。